†血族たちの秘密†

如月統哉

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†闇の花霞†

唯香の今までの子育て記録

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【20XX年:春 累世・1歳】


…初めて、累世が歩いた。

すごく覚束なくて、危なっかしくて…
よろめいてはいたけれど。

自分で立って、自分の意志で歩いた。


「累世、もうちょっと…あと少し…!
頑張って! もうちょっとだから…!」
「…う、あー… ん、う」

喃語を話しながらも、累世は懸命にゆっくり、一歩、また一歩と歩く。

…何だか嬉しくて、涙が溢れて…
そのままハンカチを片手に、延々と泣きそうになってしまった。

「あ…、う…」

累世は私の元まで、ほんの五歩程度だったが、確実に歩いた。

そのまま倒れ込んで来る累世を、私は両手でしっかりと抱きとめる。

「頑張ったね、累世!」
「…う? あ…」

私が満面の笑みを向けると、累世もつられたのか、太陽のように輝いた笑顔を見せた。

…可愛い。
自分の子どもだからという欲目じゃないけれど。


…きっとこの子のためなら、自分は何でも出来るだろう。




【20XX年:春 累世・2歳】


累世のオムツが、完全にとれた。

普通の子どもなら、まだまだ出来ないはずのことも、累世は難なくこなしてしまう。


その様子は、明らかに他の子どもとは違っていた。


やはり、カミュの…
吸血鬼一族の皇子の子であると思わざるを得なくなる。


普通じゃない。それはよく分かっている。
それでも、累世は累世。
自分の子どもだ。

「…まま? どうしたの…?」

2歳にして、こちらに対する気遣いも、話の内容も確立している。

まだまだ辿々しくても、
累世は確実に…優しく、私を気にかけてくれている。

「ん? …何でもないよ、累世」

だから今、微笑むことが出来るのだろう。
累世が居たから。


累世が居なかったら
双子でなかったら

自分は、いつかきっと…!


「累世」
「…ん?」

累世は、くりっとした蒼の目を上目遣いにし、不思議そうに私を見上げる。
私は、累世の頭を撫でた。



「生まれて来てくれて、ありがとうね」



…まだ、その意味は…
累世には遠く、深く、分からなくとも。
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