君を好きになるんじゃなかった

きなこ

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01 理人side .

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家へと辿り着くと仕事服を脱ぎ捨て、シャワーを浴びることにした。
頭を濡らしながら、朝の出来事をふと思い出す

昨夜、恭弥もたまたま同じホテルで女とヤッてたって事だよな…なんか複雑だな。
…しかも、あいつ俺が要さんとラブホから出てるの見てドン引きしてた…よな…?

恭弥が俺らを見て少し驚いた顔が頭から離れない

俺はシャワーの水を止めるとバスタオルでガシガシと頭を拭きながら洗面所から出たのと同時にチャイムが鳴る


「あ…?誰だよ、こんな昼前から」

なんか宅配でも頼んだっけ?なんて思いながらバスタオルを腰に巻き、ドアを少しだけ開けた

「はい、どちら様……っえ?何で来たん…?」

目の前には恭弥がヨッと手をひらひらしてた
さっきバイバイしたよな…?なんて思ってる間にドアの間に足を入れられた

「つーか、お前風呂上がりだったんだな。タイミング悪かったか?」

「…いや別に良いんだけどさ…まぁ上がっとけば、何もないけど」

俺は恭弥を家の中へと上げると慣れた足付きでリビングへ入っていった

俺はタオルを腰に巻いたまま、冷蔵庫から水の入ったペットボトルを持ち、ソファーで寛いでる恭弥に渡した

「ありがとうな、てか今日の朝はびっくりしちゃったよ。まさかあんなとこでお前と会うと思わなかったわ」

恭弥は先程あった出来事を思い出したかのように俺に話しかけてきた
俺はそれに対して大したリアクションもせずに、そうだな、とだけ相槌をした。

だって俺は恭弥が好きで、でも恭弥は女が好きで、俺はその寂しさを紛らわすように他の男を恭弥に重ねてヤッて…そんなの恭弥が知ると絶対ドン引きするし、嫌われるに決まってる。
そんな会話を誰がしたいと思うんだ。
俺はその会話を出来るだけ広げようとしないように意識をした。

リビングに置いてた自分の下着を履き、上服を着ようと袖を通そうとした時だった。


「あ?待てよ、お前それ何?」


恭弥は俺の肩に指を指してきた
俺は何だ?って思いながら指さされた肩を見ると赤くなった歯形がくっきりと付いてた


やべ…ッ昨日の夜噛みつかれた時のやつだ…と思いながらバッと手で隠すようにしたがもう遅い


恭弥はソファーから立ち上がり、俺の元へと来ると肩に置いてる俺の手を掴み、肩から離した

「歯形…?何?誰に付けられたの?…まさか今日の朝のヤツじゃないよね?」

「…だったら何?お前には関係ねぇだろ」

歯形見られた以上、嘘は付けないし誤魔化せない

「え…いやいや、冗談はきついって…お前男好きなの?」

先程から、何だか俺がゲイなことを否定されてるような気がしてイライラが止まらない

「男好きだったらダメなのか?さっきから聞いてりゃ…否定してるような発言ばっかすんじゃねぇよ」

「…あー…否定してるつもりはなかったけど…何、お前あいつと付き合ってんの?」

「付き合ってはない、ただ…しただけの関係だよ。もう良い、とりあえずお前帰れ。顔見たくねえ」

俺は恭弥の胸を押し、ソファーに置いてあった荷物を恭弥に渡した。

「え、いやいや…待てよ話は終わってねえって…!」


俺は恭弥を無理やり玄関まで連れて行くと、ドアを開け恭弥を追い出した



ドア越しから、恭弥が何やら喋っていたが俺は何も聞きたくなくて、ドアにもたれそのまま顔に両手で覆った


最悪だ。こんな形でバレるなんて思わなかった。
俺は気付くと涙ポロポロ流しながら、リビングへと戻ると携帯を取り、さっき別れたばかりの要さんに連絡をした。









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