人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん

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守られているということ

目を覚ますたび、同じ天井があった。

高く、白く、装飾が施された天井。その下で俺は柔らかい布に包まれ、一定の温度の中に置かれている。寒さも痛みもない。

そして必ず、近くに気配があった。

金色の獅子の獣人――公爵だ。
彼は椅子に腰掛けたまま俺を腕に抱き、書類に目を通していることもあれば、ただ静かに呼吸を合わせていることもあった。巨大な体に似合わず動きは慎重で、俺を持ち上げるときは壊れ物を扱うようだった。

泣けばすぐに抱き上げられる。

目を覚ませば視線が合う。

孤独な時間がない。

それがどれほど異常なほど恵まれているか、前世の記憶があるから分かった。

俺は守られている。

理由も条件もなく。
言葉はまだ話せない。体も思うように動かない。それでも、ここが安全だということだけは本能で理解できた。

公爵はよく話しかけてきた。

意味は半分も分からない。それでも声の調子で感情は伝わる。穏やかで、低くて、どこか安心する響き。

「……よく眠るな」

頬に触れる指は温かい。

俺はその指を掴もうとして失敗し、代わりに小さく息を漏らした。公爵はそれを見て、ほんのわずかに笑う。

その振動が胸越しに伝わる。
心臓の音と重なり、子守歌みたいに心地よかった。

この世界は知らないことだらけだ。

獣人が普通で、人族は異端。魔法が日常に存在し、貴族が国を動かす。前世の常識は何の役にも立たない。

それでも俺は、生きると決めた。

ここで。

この人の腕の中で。

何度目かの眠りに落ちる直前、そう強く思った。
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