押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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意地悪なお土産

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 「あー楽しかった」

夜になった頃、楽し気な声とともに玄関の扉が開く音がした。

私は家の掃除や排気になったお菓子の処理をしておきなさいと言われており、床を磨いていた手を止める。

するとご機嫌なお姉様の声が聞こえてきた。

「パーティは疲れるけど、お土産もたくさんもらえるし最高だわぁ」

その後に続いて、お父様とお母様も帰ってきた。

「零も色んな人と話していたわね」

「まぁ~交流ってやつ?メンドクサイけど、御堂家としてはやっていかないといけないし?」

「零の振る舞いは素晴らしかったぞ」

零お姉様は、華やかなドレスの裾をひらひらとさせながら、リビングに入ってきた。
ドレスの胸元には、小さな花のブローチが光っている。

それは、今日のレセプションパーティーでもらったものだろう。

……ステキ。

私も、目立たなくていいからパーティに参加したかった。

私は掃除の手を止めたまま、そっと影からその光景を見ていた。

するとお姉様は、私を見つけこっちへやってくる。

「留守番だけで可哀想だし、澪にも見せてあげるわ」

そう言うと、お姉様は両手で抱えていた紙袋を次々に見せてきた。

「ねえ、見て! これもらったの。全部よ!私に似合うからって」

光り輝くジュエリーボックス。
エレガントなデザインのハンドバッグ。

有名ブランドの革財布や、小物が詰まったギフトセットなどたくさんのものがそこには入っていた。

「す、すごいわ……零お姉様……」

こんな高価なもの、当然だけど私はもらったことがない。

「実は今日は澪にはお土産持ってきたのよ」
「えっ」

私は驚いて思わず声が漏れた。

今までお姉様がお土産を私に持ってきてくれたことはない。
もしかして今日はすごくご機嫌で私のこともパーティ中に思い出してくれたんだろうか。

少しだけ、胸が高鳴る。

「お土産って……?」

期待を込めて、そう尋ねた瞬間。

「はい、お土産~!」

──バラバラバラ!

頭の上から何かが零れてきた。

「……っ!」

ぬるりとした感触。
見下ろすと、皿からこぼれたソースや、半分だけかじられたパン、食べかけの野菜が、私の足元に散らばっていた。

「な、なに、これ……」

「何ってお土産よ。さっきのレセプションで出された料理の残り。残して帰るのは失礼でしょ?」

お姉様は私の今の恰好を見て、楽しそうに笑っている。

「澪もお腹すいてるんだし、それ……食べなさいよ」

足元に転がる残飯。
華やかなパーティーの名残が、汚れたまま床に広がっている。

「……っ、ぅ」

声が出ない。

「どうして……」

なんでこんなヒドイことが出来るんだろう。

「キャハハハハ、あんたには残飯がお似合いね。本当にブランド物でももらえると思った?」

ブランドものなんて望んでいなかった。

お姉様が私のことをほんの少しでも考えてくれた時間があったことが嬉しかっただけなのに……。

涙が、溢れて床に落ちた。
この家の中で私のことを考えてくれる人なんていない。

分かっていたのに期待してしまった。

「もう、いや……」

笑いものにされるために存在しているのは。
バカにされるために毎日を過ごしているのは。


もう、いやだ……。

 
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