押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

文字の大きさ
27 / 43

屈辱のデート【御堂零side】

しおりを挟む

澪と入れ替わった私は、ショッピングモールの入口付近で、凰条一真を見つけて駆け寄った。

服も澪が着ていたものを脱がせて私が着た。
そしてメイクも限りなく澪に似せた。ぱっと見て私たちの違いが分かる人はいないだろう。凰条一真を見つけて駆け寄っていく。

「お待たせしました」

声色も昔から似ていると言われていた。
声だけだとお母様とお父様は区別がつかないくらいだ。

口調も、仕草も、歩き方も、ほぼ違和感がない。
凰条一真は、ごく自然に微笑んだ。

「大丈夫だ」

今日この日がやってくるまで、私たちは凰条家の周辺を見張っていた。

澪と凰条一真が同時に出かけた時が合図だった。

私たちの車であとをつけて、作戦を実行する。

まさか家を見に行くとは思わなくて驚いたけれど、チャンスはいくつもあった。

その中で人があまりいないインテリアショップで作戦を実行することにした。

チャンスは一度きり、失敗はできない。


「お腹も空いてきただろう。さっき言ってたレストランで食事でもしようか?」

こんなふうに凰条一真に笑顔を向けられたことはない。
いつも厳しい目つきで見下ろすような視線を向けられるだけ。

澪にはこんな優しい顔を向けるんだと思うと苛立った。
なんであいつの方が優遇されないといけないの。

ああ、腹が立つ。
私が優遇されて当然なのに。

そう考えていて、はっと我にかえった。

いけないわ。澪になりきらなくちゃ。

私は澪の柔らかい雰囲気を意識しながら、ふんわりと微笑んだ。

「あの……一真さん!私、行ってみたいところがあるんです」
「どこだ?」

「BARに行ってみたくて……」

私が伝えると、凰条一真は少し意外そうな表情を浮かべた。

「……キミがBARに行きたいなんて珍しいな」

一瞬、私の中に焦りがよぎる。

「違う雰囲気を味わってみたくて……それに一真さんと一緒になるにはお酒も飲めた方がいいかなと」

「無理する必要はないよ。でもキミが行きたいと言うなら車を停めて行こうか」

「はい……!」

私は頬を赤らめるような表情を作り、照れたように笑った。

こうして凰条一真はまんまと騙されてくれたようだった。

よし、これで計画通り。
このまま凰条一真を酔わせてホテルに誘い出す。

そして既成事実を作ってしまえば、澪はもう戻れない。心の中でニヤリと笑みを浮かべながら、私は凰条一真の腕にそっと触れた。

「行きましょう」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。 ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。 そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。 彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。 「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~

百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!? 男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!? ※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。

処理中です...