押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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誘拐

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それから、目を覚ますと、私は車の中の中にいた。
この車は……御堂家の車だ。

「……っ!」

体が自由に動かない。
後部座席に座らせられて手足はしっかりと拘束されていた。

「お目覚めかしら?」

冷たい声が降ってくる。
見上げると、そこには、お母様の姿があった。

「お母、様……」

動揺する私を横目にお母様は優雅に微笑んだ。

「ずいぶん凰条家で楽しい生活を送っていたそうじゃない」
「お母様これは……!」

「あまり騒がないでちょうだい?これから貴方には見守ってもらう必要があるんだから」
「……見守る?」

「そうよ。気づかない?服が変わっていること」

「……っ!」

自分の着ていた服が別の服に変わっていた。

これは零お姉様がよく着ていた服……。

その動作に、ぞくりと嫌な予感が背筋を走る。

「まさか……っ」

「ええ、零があなたの代わりに凰条一真のもとへ行ったわ。あなたの服を着てあなたの顔そっくりの化粧、ホクロまでしっかりかいてね」

「そんなことして、どうするおつもりですか……っ!」

「決まってるでしょ?既成事実を作るのよ」

その言葉に血の気が引いた。

「零が凰条一真の子どもをこしらえればいい」

「そんな……おやめください……!そんなこと誰も幸せにはなりません!」

必死に叫ぶ。
するとお母様は余裕の笑みを浮かべたまま言った。

「そんなことないわ。これで御堂家の未来は守られる。私たちは幸せになれるの……」
「お母様……」

どうしてここまで……。

何がお母様をそうさせてしまったのだろう。

「零が役割を果たすまで、あなたを家にいてもらう。そして作戦が上手く行ったらあんたは用無しよ」

 「そん、な……」

「凰条一真だって、零との子どもが出来たらあんたなんかに興味がなくなるはずよ。劣等生をわざわざ選ぶ理由なんて、ないのだから……」

どうあがいても手の隙間から零れてしまう幸せ。
掴むことは出来なくて、抗うことも許してくれない。

劣等生じゃなければ、もっと幸せな道が許されただろうか。
もっとお父様とお母様が望むような子になれていたら、祝福された恋だっただろうか。

目から頬を伝って涙が流れ、床へと落ちる。


「一真、さん……っ」



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