押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery

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愛を返したい

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「澪、大丈夫だったか?あの二人が来るとは俺も予想していなかった。辛い思いをさせた」

一真さんはポンポンと私の頭を撫でた。

「家はキミが嫌がるなら引っ越したっていい。すぐに手配をしよう」
「いえ……」

私は首をふった。

「お父様とお母様があんな風に謝ってきた時……私は、ふたりを許さないといけないと思いました」
「澪……」

「必死になって頭を下げ、涙を流しながら謝罪の言葉を述べる両親を許さないと切り捨てることが非情なことだと思っていました」

「キミは優しいんだな……」

「だからこそ、一真さんが私の代わりに許さないと、許さない選択もあることを教えてくれたのがすごく嬉しかったんです」

誰かが自分の味方でいてくれる経験が今までなかった。

自分のために、怒ってくれる人がいる。
自分のために許さないと明言してくれる人がいる。

それってなんて幸せなんだろう。

一筋の涙が頬を伝って流れ出す。

「澪……辛かったんだな」

一真さんは私の涙を悲しみの涙だと捉えたのだろう。

「いえ、嬉しかったんです……許さない選択があるということ、教えてくださってありがとうございます」

私はたぶん、本当は許したくなかった。

例え「許します」と口にしたところで、本当の心から許せるはずがなかった。

それを一真さんが代わりに伝えてくれたんだ。

「私……こんなにステキな人に出会えて幸せです」

「それはこっちのセリフだ。キミは非情なんかじゃない。大事な人を守るため、そして自分を守るためには許さない選択だって必要だ。キミが心を壊してしまわぬように」

「そうですね……」

一筋の涙が頬を伝ってぽろりと床に流れた。

心の底から幸せだと思った。

ごめんなさい、お父様、お母様……。

今はまだ私は許すことができません。

でもいつか、許せるようになったら……今度は私とお姉様を比べずに見てほしいと思う。

今は愛してくれる人がそばにいる。

その人を、私も一真さんに愛を返したいと思う──。

 
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