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3.今日から婚約者
しおりを挟む「ようこそクレマー辺境伯邸へ」
父の言葉にハッとして慌ててカーテシーをする。
(もの凄い何かありましたって顔してらっしゃいますが!?)
国王陛下かガンダー公爵から何か言われたのかもしれない。
「イヴァ嬢…申し訳ない頑張ってくれと負けないでくれと言ってくれたのにこんな事に巻き込んでしまって」
そう言って頭を深く下げた。
「あっ頭を上げてください!」
また慌てる私とは違いお父様が彼の肩に手を置く。
「ヒューゴ様、どうか安心してほしい。私達は貴方が嫌がらせをしたなんて思っていませんし貴方が悪いとも思っていませんよ」
その言葉に続くようにお母様が
「どんな形であれ正式な婚約なのですから。これから貴方は我がクレマー家の一員ですわ家族だと思ってくださいな」そう微笑んだ。
その言葉を聞いたヒューゴ様が呟く。
「…情けないな」
嬉しそうだけど酷く悲しそうな顔。
もしや家族間で何かあったのだろうか。
「イヴァ、この家とお庭を案内してあげて?私達は最終チェックしてくるわ」
「はい分かりました」
2人っきりになり少し気まずい。
「まずはガンダー公爵令息様のお部屋に」
「ヒューゴで構わないもう、ガンダー公爵家の人間ではないしな…」
やはり何かあった様子、しかし詳しく聞けるような間柄ではない。
いや婚約者ではあるけれど。
「では、私の事もイヴァとお呼びくださいヒューゴ様」「…様もいらないんだが」
流石にそれは勘弁してほしい。
いや将来的にはそう呼ぶ事になるかもしれないが心の準備がしたい。
「こちらがヒューゴ様のお部屋です」
「ここが…」
彼の部屋はお父様が主体となって準備し落ち着いた雰囲気を重視したシンプルな部屋である。
「お気に召しませんでしたか?」
何も言わず呆然と見ている姿についそう聞いてしまった。
「いや違うっ…とても落ち着いた雰囲気で好ましかったから驚いたんだ装飾品が多い部屋はあまり好まなくて」
「分かりますっ私もギラギラしてると落ち着かなくて、我が家では基本的にこういう雰囲気なのですよ貴族としては地味だと言われる事もありますが家の中ぐらい好きにさせてほしいものです…」
部屋を気に入って貰えたようで嬉しくなりつい話が長くなる。
「はっ!すみませんペラペラと」
「…いや気にならないさ他の場所も案内してくれるか?」「勿論です」
部屋から出て厨房や仕事場等を案内していった。
そして庭へと続く扉を開ける。
「これはっ素晴らしいな」
「ふっふっふっ…我が家の自慢のお庭なんですよ!」
開けた先には辺り一面花畑。
石畳の道を進むと中央にお茶を飲めるようテーブルと椅子が置かれている。
雨でも楽しめるように屋根付きだ。
それに花だけではない果物や野菜が成る植物、ハーブなんて物もある。
「自然豊かな土地だとは知っていたが…庭にこんなにも様々な植物が生えているなんて」
「我が領地の自慢ですから!よければ少しお茶をしましょう」
恐らくお母様が使用人に命じて用意されたのであろう紅茶がテーブルに置かれていた。
その側に私の侍女が立っている。
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