S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

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第1章

144話 お前たちのせいで

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 身体中に殴られた後のある獣人の女性を発見した。
 先んじて見つけていた奴隷少女の母親らしい。

「母さん! ううっ……あいつら、よくも母さんを……!」

 母親に泣きつく少女。
 希少種族である彼女たちは親子共々奴隷狩りに遭ったようだ。
 ただ、戦闘奴隷としても愛玩奴隷としても、娘の方が価値は高い。
 母親の方は、憂さ晴らしに拷問でもされていたのだろうか。
 まあ、今となってはどちらでも構わない話か。

「おい、お前」

 俺は少女の背後へと近づき、話しかける。
 少女はハッとした顔で振り返った。

「じ、人族……お前たちのせいで母さんが……!!」

「だから、俺と奴隷商どもを同じにするな。……まぁ、それはいい。それより、お前の母親のことだ。このままだと死ぬぞ?」

「え……?」

 彼女は一瞬呆けた顔をする。
 しかし、すぐに意味を理解したらしく、顔面蒼白になった。

「ど、どういうことだ!?」

「お前の母親は身体中傷だらけだ。内臓や骨にもダメージが入っている。恐らくだが、もうすぐ死に至る」

「なんで、見ただけでそんなことが……!」

「俺にとっては造作もないことだ。それより、お前の父親はどうしている? 一緒にいるのか?」

「父さんは……アタシたちを守るために……」

「そうか」

 女子供を守るため、男の戦士が犠牲になる。
 よくあるパターンだ。
 俺は彼女に近づくと、回復薬の入った瓶を手渡すのだった。
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