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183話 ダーク・シールド

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「【ダーク・シールド】!!」

 アリシアの前に闇魔法の障壁が出現する。
 それはあらゆる攻撃を防ぎきる強力な防御魔法であるが――

「ああぁぁっ!?」

 次の瞬間には、アリシアの胸が貫かれていた。
 闇魔法が破られたのだ。

(う、嘘……。わたしの闇魔法が……)

 動揺するアリシア。
 イザベラやオスカーの影に隠れがちではあったが、彼女も現第二学年のトップ層なのである。
 本来の得意魔法は光魔法とはいえ、闇の瘴気をその身に宿した今、闇魔法の腕前も一流であった。
 そのはずなのだが、カインの剣はそれを容易く突破したのだ。

(ありえない……!!)

 なぜ、どうして?
 そう混乱する頭を振り払いながら、必死に打開策を考える。

(あ、だめ……。意識が……)

 だがそれも限界だった。
 出血多量により意識を失う寸前、アリシアの瞳に映ったものは――

「ああ、やっぱり美しいです……。共に人生を歩みたかった……」

 憧れの女性、イザベラの姿だった。
 そして、アリシアは意識を失う。
 彼女の魔法抵抗がなくなり、オスカーの氷魔法が侵食してくる。
 こうして、アリシアとオスカーは共に物言わぬ氷像となった。

「グルルルル……」

 氷に閉じ込められた二人を見て、カインは唸るような声を上げる。
 もう、この二人に対する興味はないらしい。
 そして次にカインは、ゆっくりと視線を移動させる。
 彼の視線の先にあるのは、イザベラだった。
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