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第1章 初級冒険者として活躍 シルヴィ、ユヅキ
8話 駆け出し冒険者としての基盤づくり
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冒険者ギルドに登録して、1週間ほどが経過した。
あの日のチンピラ2人組……アーノルドとレオンとの稽古は無事に終了した。
彼らのような面倒見のいい先輩と出会えたのは、ラッキーだったといえるだろう。
あとで受付嬢のセリアと話したところ、彼らは低級冒険者や町民から慕われているベテラン冒険者だそうだ。
むしろ、面倒見がよすぎて本人たちのランクアップが少し遅れ気味だとか。
彼らが俺に絡んできたときに彼女が少し呆れたような表情で見ていたのは、そのあたりの事情だろう。
俺はこの1週間、エルカを拠点に草原で狩りをしていた。
MSCの知識と彼らから教わったことをすり合わせつつ、ジョブレベルを上げるためだ。
それに、この世界で生きていくためにちゃんと稼げるかの確認の意味合いもある。
「まず、MSCとこの世界のシステムは酷似していることがわかったな」
思い込みは禁物だが、基本的にはMSCの知識や経験に基づいて活動していけばいいだろう。
しかし一方で、人間たちはAIではなく、本物の人間と考えたほうがいい。
商人ルモンド、奴隷の少女シルヴィ、冒険者ギルドの受付嬢セリア、ベテラン冒険者のアーノルドとレオン。
彼らと会話していて、AIのような違和感のある受け答えはなかった。
町の宿屋や露店の店員たちも同様だ。
「ジョブレベルも上がった。とりあえず、今のステータスを再確認しておこう」
俺はアイコンを選択し、ステータス画面を表示させる。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:風魔法使いレベル8
セカンドジョブ:剣士レベル6
HP:E+
MP:D
闘気:E+
腕力:E+++
脚力:E+
器用:E+
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
アクティブスキル:
ウインドカッター
ラッシュ
MPがようやくE評価を脱出し、D評価となった。
風魔法使いのレベルが10になれば、新しい魔法も覚えられるはずだ。
順調だと言っていい。
「しかし、ホーンラビットやゴブリン程度では、レベルが上がりにくくなってきたな……」
MSCでは、レベルが上がる度に必要経験値は増していく。
まあ、他のゲームでもほとんどは似たような仕様だが。
ホーンラビットやゴブリンだけでレベルを上げていくのは、いずれムリがくる。
この1週間で風魔法使いレベル6から8になったわけだが、次の1週間でレベル8から10にはできないだろう。
2週間か、下手をすれば1か月かかるかもしれない。
MSCにおいては、レベルが上がればさっさと次の狩場に行っていた。
あえて低級モンスターでレベル上げに勤しんだ経験はない。
レベリングに必要な期間の細かな算定は、俺にはムリだ。
「稼ぎはそこそこ……。日々の暮らしに加えて、若干の貯金もできている」
俺の1日あたりの稼ぎは、銀貨7枚から金貨1枚といったところだ。
日本円にして、7000円から1万円ぐらいのイメージである。
宿屋の宿泊費や飲食代を差し引いても、若干の黒字がある。
ホーンラビットやゴブリンを相手にするだけであれば、本来はもう少し稼ぎは控えめとなる。
しかし俺は、MSCの知識と経験を活かしてサクサクと狩っているので、駆け出し冒険者としてはやや多めの収入を得ているわけだ。
「しかし、ストレージは相当に便利な能力だな……」
MSCにおいては、全プレイヤーに標準装備されていた基本的なシステムスキルだ。
課金額やストーリーの進行状況に応じて、容量に多少の差はあったが。
今の俺には、MSCにおける無課金の新人くらいのストレージ容量がある。
具体的には、六畳間の部屋ぐらいの容量だ。
大型の魔獣を討伐すれば容量が足りなくなるだろう。
しかし、今の俺にはこれぐらいで十分である。
「貨幣のような貴重品や、飲料水や携帯食を収納できるだけでもかなり助かっているしな」
今の俺は宿屋住まい。
貴重品は、宿屋の部屋に置いておくか、狩りの際にも携帯するかの二択である。
宿屋の部屋に置いておくのは防犯上の懸念がある。
しかし、狩りの際に持ち歩くのは、落として紛失するなどのリスクがある。
ストレージに収納しておけば、そういった心配はしなくて済む。
また、飲料水や携帯食を気軽に持ち運べることも便利だ。
冒険者たちは、リュックやポケットなどに飲料水や携帯食を入れている。
地味に疲労は増すだろうし、狩りの際に若干ながらも動きが阻害されてしまう。
ストレージを持つ俺は、そういった細かな煩わしさとは無縁というわけだ。
「今後、魔獣を狩る機会が増えてくれば、より重宝するだろうな」
ホーンラビットやゴブリンは『魔物』という分類に属する。
魔物の死体は虚空に消えて、魔石が残される。
魔石同士は融合させることができ、魔力が蓄積されるに連れてどんどん黒くなっていく。
魔石の大きさと色の濃さから、価値は決められる。
冒険者にとっての大きな収入源の1つである。
今の俺は日銭が必要なので、こまめに魔石を売り払っている。
その収入が、銀貨7枚から金貨1枚というわけである。
ホーンラビットやゴブリンのような魔物は、討伐してもかさばらない。
一方で、魔獣を討伐すればかさばる。
今後、俺のストレージの能力が活かされる機会もあるはずだ。
冒険者ギルドなどで目立ってしまうかもしれないので、取り扱いには気を配る必要があるだろうが。
「MSCとこの世界のすり合わせはひとまず終了だ。ジョブレベルも順調に上がっているし、1人で生きていくだけの稼ぎもある」
この世界で生きていく基盤づくりには成功したと言っていいだろう。
「次にやるべきは……。やはりミッションか」
俺は、改めてミッションに目を通すことにする。
あの日のチンピラ2人組……アーノルドとレオンとの稽古は無事に終了した。
彼らのような面倒見のいい先輩と出会えたのは、ラッキーだったといえるだろう。
あとで受付嬢のセリアと話したところ、彼らは低級冒険者や町民から慕われているベテラン冒険者だそうだ。
むしろ、面倒見がよすぎて本人たちのランクアップが少し遅れ気味だとか。
彼らが俺に絡んできたときに彼女が少し呆れたような表情で見ていたのは、そのあたりの事情だろう。
俺はこの1週間、エルカを拠点に草原で狩りをしていた。
MSCの知識と彼らから教わったことをすり合わせつつ、ジョブレベルを上げるためだ。
それに、この世界で生きていくためにちゃんと稼げるかの確認の意味合いもある。
「まず、MSCとこの世界のシステムは酷似していることがわかったな」
思い込みは禁物だが、基本的にはMSCの知識や経験に基づいて活動していけばいいだろう。
しかし一方で、人間たちはAIではなく、本物の人間と考えたほうがいい。
商人ルモンド、奴隷の少女シルヴィ、冒険者ギルドの受付嬢セリア、ベテラン冒険者のアーノルドとレオン。
彼らと会話していて、AIのような違和感のある受け答えはなかった。
町の宿屋や露店の店員たちも同様だ。
「ジョブレベルも上がった。とりあえず、今のステータスを再確認しておこう」
俺はアイコンを選択し、ステータス画面を表示させる。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:風魔法使いレベル8
セカンドジョブ:剣士レベル6
HP:E+
MP:D
闘気:E+
腕力:E+++
脚力:E+
器用:E+
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
アクティブスキル:
ウインドカッター
ラッシュ
MPがようやくE評価を脱出し、D評価となった。
風魔法使いのレベルが10になれば、新しい魔法も覚えられるはずだ。
順調だと言っていい。
「しかし、ホーンラビットやゴブリン程度では、レベルが上がりにくくなってきたな……」
MSCでは、レベルが上がる度に必要経験値は増していく。
まあ、他のゲームでもほとんどは似たような仕様だが。
ホーンラビットやゴブリンだけでレベルを上げていくのは、いずれムリがくる。
この1週間で風魔法使いレベル6から8になったわけだが、次の1週間でレベル8から10にはできないだろう。
2週間か、下手をすれば1か月かかるかもしれない。
MSCにおいては、レベルが上がればさっさと次の狩場に行っていた。
あえて低級モンスターでレベル上げに勤しんだ経験はない。
レベリングに必要な期間の細かな算定は、俺にはムリだ。
「稼ぎはそこそこ……。日々の暮らしに加えて、若干の貯金もできている」
俺の1日あたりの稼ぎは、銀貨7枚から金貨1枚といったところだ。
日本円にして、7000円から1万円ぐらいのイメージである。
宿屋の宿泊費や飲食代を差し引いても、若干の黒字がある。
ホーンラビットやゴブリンを相手にするだけであれば、本来はもう少し稼ぎは控えめとなる。
しかし俺は、MSCの知識と経験を活かしてサクサクと狩っているので、駆け出し冒険者としてはやや多めの収入を得ているわけだ。
「しかし、ストレージは相当に便利な能力だな……」
MSCにおいては、全プレイヤーに標準装備されていた基本的なシステムスキルだ。
課金額やストーリーの進行状況に応じて、容量に多少の差はあったが。
今の俺には、MSCにおける無課金の新人くらいのストレージ容量がある。
具体的には、六畳間の部屋ぐらいの容量だ。
大型の魔獣を討伐すれば容量が足りなくなるだろう。
しかし、今の俺にはこれぐらいで十分である。
「貨幣のような貴重品や、飲料水や携帯食を収納できるだけでもかなり助かっているしな」
今の俺は宿屋住まい。
貴重品は、宿屋の部屋に置いておくか、狩りの際にも携帯するかの二択である。
宿屋の部屋に置いておくのは防犯上の懸念がある。
しかし、狩りの際に持ち歩くのは、落として紛失するなどのリスクがある。
ストレージに収納しておけば、そういった心配はしなくて済む。
また、飲料水や携帯食を気軽に持ち運べることも便利だ。
冒険者たちは、リュックやポケットなどに飲料水や携帯食を入れている。
地味に疲労は増すだろうし、狩りの際に若干ながらも動きが阻害されてしまう。
ストレージを持つ俺は、そういった細かな煩わしさとは無縁というわけだ。
「今後、魔獣を狩る機会が増えてくれば、より重宝するだろうな」
ホーンラビットやゴブリンは『魔物』という分類に属する。
魔物の死体は虚空に消えて、魔石が残される。
魔石同士は融合させることができ、魔力が蓄積されるに連れてどんどん黒くなっていく。
魔石の大きさと色の濃さから、価値は決められる。
冒険者にとっての大きな収入源の1つである。
今の俺は日銭が必要なので、こまめに魔石を売り払っている。
その収入が、銀貨7枚から金貨1枚というわけである。
ホーンラビットやゴブリンのような魔物は、討伐してもかさばらない。
一方で、魔獣を討伐すればかさばる。
今後、俺のストレージの能力が活かされる機会もあるはずだ。
冒険者ギルドなどで目立ってしまうかもしれないので、取り扱いには気を配る必要があるだろうが。
「MSCとこの世界のすり合わせはひとまず終了だ。ジョブレベルも順調に上がっているし、1人で生きていくだけの稼ぎもある」
この世界で生きていく基盤づくりには成功したと言っていいだろう。
「次にやるべきは……。やはりミッションか」
俺は、改めてミッションに目を通すことにする。
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