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第3章 武の名地テツザンへ

132話 一夜の過ち

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 俺はふと目が覚めた。

「……ん? ここはどこだ?」

 見慣れない場所だ。
 荒れた山地が広がっている。
 昨日は確か、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンの4人と深夜までハッスルしていたのだったか。

「あれ? なんで裸なんだ?」

 俺は全裸だった。
 近くにはシルヴィたちが寝ているが、服はちゃんと着ている。
 昨日の終わりはどうなったのだったか。

 ずきっ。
 不意に俺のあそこが痛んだ。
 俺は息子に目をやる。
 ……土まみれだった。
 なぜ?

「ふあぁ……。ご主人様、おはようございます」

 シルヴィが目を覚まし、そうあいさつをしてくる。

「ああ、おはようシルヴィ。ところで、これはどういうことだろう?」

 俺は股間についた汚れを指差し、シルヴィに尋ねた。

「えっと、それは……」

 シルヴィは言葉を濁す。

「……わたしはナニモミテイナイデスヨ?」

 彼女はカタコトでそう答えた。

「シルヴィ、何か知っているんだな? 教えてくれないか?」

 俺はそう詰め寄る。
 俺の息子が土まみれになっている理由がわからないと、俺は気になって夜しか眠れなくなってしまう。

「その、ですね。ええと……」

 シルヴィの目が泳ぐ。
 と、そこで横からガサガサという音が聞こえた。
 どうやらユヅキが起きたようである。

「おはよう。ユヅキ」

「おはよう……。コウタ」

 ユヅキがローテンションでそう言う。
 彼女は朝に弱いタイプだっただろうか。
 あまりそういう印象はない。
 いや、これは二日酔いか?

「つらそうだな」

「う~。飲みすぎちゃった……。頭が痛い。それにあそこも痛いような……? って、ああ!」

 ユヅキは突然叫び声を上げた。

「どうした? 大丈夫か?」

「ど、どうしてこんなことに!? 僕の初めてが……」

 ユヅキが涙目になりながら叫ぶ。

「覚えていないのか? 昨日の事」

「覚えてはいるよ。ううっ。酔いに任せて、コウタと一線を超えちゃうなんて……」

「すまなかったな。俺も理性を保てなかったんだ」

「うう……」

 彼女が沈痛な表情をして下を向く。

「ユヅキの処女を奪った責任は取る。そう悲しい顔をしないでくれ」

 俺は真面目な表情を作って言う。
 俺との一夜の過ちをそうも悲観されると、居た堪れなくなってくる。

「ほ、本当? 僕みたいなのでもいいの?」

「もちろんだとも。ただ、シルヴィたちも同じく妻にしたい思いはあるがな」

「そういえば、ハーレムを目指すとか言っていたね。やっぱり本気なんだ……。お金がいくらあっても足りないよ?」

「そこは頑張るしかないな。まあ、俺の例の力があればハーレムを維持することは十分に可能だと思う。申し訳ないが、ユヅキ自身の活躍にも期待しているぞ」

 俺はそう言う。

「僕はもともと頑張るつもりだよ。でも、もし僕を捨てたら、一生恨むからね」

「絶対にそんなことはしないさ」

「そう。コウタを信じるよ。大切にしてね」

 ユヅキがそう言って微笑む。
 彼女の笑顔はとても可愛かった。
 この笑顔を守っていかなければならない。
 俺は心からそう思った。
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