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42話 2回戦の日
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「ふう……。いよいよ今日は、2回戦の試合日か」
桃色青春高校の野球部キャプテンである龍之介が、緊張した面持ちで呟く。
その周りにいるのは、彼のチームメイトたちだ。
「緊張されていますわね、龍さん……。ふふっ……」
「当たり前だろ? 俺の退学が懸かってるんだからな」
龍之介が苦笑を浮かべる。
そんな彼の言葉を聞いた後、ミオは腕を組んで呟いた。
「今回は負けても即座に退学というわけではないそうですが……。それでも、できれば勝っていきたいところですね」
「うん! ボクも頑張って、いっぱいアウトを取りまくるよ!!」
ミオの言葉に、アイリが賛同する。
2人の決意に満ちた表情を見て、龍之介は満足そうに頷いた。
「2人ともやる気満々だな……。頼りにしているぜ。もちろん、ノゾミもな」
「はいっ! 皆さんの足を引っ張らないように、精一杯頑張ります!!」
ノゾミが胸の前でぐっと拳を握る。
その可愛らしい仕草に、龍之介は微笑みながら頭を撫でた。
「あぅ……!? りゅ、龍先輩……?」
そんな突然のスキンシップに対し、ノゾミは顔を真っ赤に染める。
しかしすぐに笑顔を取り戻すと、今度は自分から龍之介の胸に顔を埋めた。
「えへへ……。龍先輩、頑張っていきましょうね」
「ああ、もちろんだ!」
ノゾミの言葉に、龍之介は力強く頷いた。
そんな2人の様子を羨ましそうに眺めながら、アイリが龍之介の脇腹を肘で突く。
「……いいなぁ。ボクも、龍之介くんに甘えよっと!」
「わっ!? あ、アイリ!?」
龍之介が驚いたように声を上げる。
しかし彼女は構わず、彼の背中に抱き着いた。
そんな3人の様子を傍目に見ながら、ユイはやれやれと言った様子で笑う。
「全く……。何をやっていますの……。本番前に、怪我をしないでくださると良いのですけれど」
「えっと、ユイ先輩も混ざりますか? あなたも先輩に甘えたいなら全然オーケーですけど……?」
「結構ですわ。わたくしは淑女ですから。公共の場で殿方に抱きついたりはしないのです」
ノゾミの誘いをすげなく拒絶するユイ。
しかし、もう1人残されていたミオは違った。
「ふふっ! それでは、私は遠慮なく龍様に触れさせていただきましょう!!」
ミオはそう言うと、龍之介の右腕に抱き着く。
彼女は満足そうな笑みを浮かべたまま、彼に向かって声をかけた。
「龍様……。絶対に勝ちましょうね」
「そうだな。俺はみんなと共に優勝したい。そして、無事に高校を卒業して思い出を作りたいと思っている」
龍之介がそう言って微笑む。
そんな彼の言葉に対し、ミオは誇らしげに胸を張った。
「私も同じ気持ちです! 4番打者として、必ずや龍様の期待に応えてみせます! 私の豪打で、相手を圧倒します!!」
「頼もしいな。頼りにしているぞ、ミオ」
「はうっ! お、お任せを……!!」
龍之介の言葉に、ミオの顔が瞬時に真っ赤になる。
そんな2人の様子を、ユイは嫉妬の視線で眺めていた。
「むむ……! 公共の場でそのようなことを……!! ハレンチですわ……!!」
「? ユイさん、どうかしましたか?」
ミオがユイに尋ねる。
そんな彼女に対し、ユイはため息をついた後、首を横に振った。
「いえ……なんでもありませんわ。あなたたちを見ていると、細かいことを気にしている自分こそが間違っているのだと、そう思えてきました」
「???」
ユイの言葉に、ミオは不思議そうに首を傾げる。
そんな彼女を余所に、ユイは龍之介の左腕に抱きついた。
「わたくしも龍さんに触れることにいたします! 淑女がどうとか言っていたら、正妻の座を奪われてしまいますもの!!」
「えっ!? 正妻は……わたしなんですけど!!」
「いーや、ボクだよ!!」
「私です!!」
龍之介に抱き着いている4人の少女が、バチバチと火花を散らす。
そんな彼女たちに対し、龍之介が困ったように笑う。
「ははは……。みんな、仲良くしてくれよ? 今日は試合なんだからさ」
「「「「でも……」」」」
「負けても即座に退学ではないが、2回戦ごときで負けていたら来年のラストチャンスでも厳しい戦いになるだろう。そうなれば、俺はいよいよ退学になり桃色青春高校を去ることになるんだぜ?」
「「「「…………」」」」
彼の言葉に、4人は急に黙り込む。
そして、少し寂しそうに俯いた後、上目遣いで彼を見つめた。
「龍様がいなくなれば、私たちの学園生活は一気に色褪せてしまいます」
「そうだね……。できれば独り占めしたいけど、そうも言ってられないよ」
「ここは一致団結しましょう。心を一つにするのです」
「皆様の言う通りですわね。まずは、勝つこと。龍さんの心を奪い合うのは、その後ですわ」
4人が頷き合う。
その様子を見て、龍之介は満足げに笑った。
「ははっ! 心強いな、みんな!! よしっ! 張り切っていくぞー!!」
「「「「おお~!!」」」」
4人の少女の掛け声がグラウンドに響き渡る。
そんな彼女たちの様子を眺めるのは――
「ふふふ……。元気いっぱいのようですが……それもいつまで続きますかね? 私たち『プリンセスガーディアン・ハイスクール』を相手に……」
2回戦の相手高校のキャプテン、ソフィだ。
彼女は不敵に笑いながら、グラウンドに足を踏み入れていくのだった。
桃色青春高校の野球部キャプテンである龍之介が、緊張した面持ちで呟く。
その周りにいるのは、彼のチームメイトたちだ。
「緊張されていますわね、龍さん……。ふふっ……」
「当たり前だろ? 俺の退学が懸かってるんだからな」
龍之介が苦笑を浮かべる。
そんな彼の言葉を聞いた後、ミオは腕を組んで呟いた。
「今回は負けても即座に退学というわけではないそうですが……。それでも、できれば勝っていきたいところですね」
「うん! ボクも頑張って、いっぱいアウトを取りまくるよ!!」
ミオの言葉に、アイリが賛同する。
2人の決意に満ちた表情を見て、龍之介は満足そうに頷いた。
「2人ともやる気満々だな……。頼りにしているぜ。もちろん、ノゾミもな」
「はいっ! 皆さんの足を引っ張らないように、精一杯頑張ります!!」
ノゾミが胸の前でぐっと拳を握る。
その可愛らしい仕草に、龍之介は微笑みながら頭を撫でた。
「あぅ……!? りゅ、龍先輩……?」
そんな突然のスキンシップに対し、ノゾミは顔を真っ赤に染める。
しかしすぐに笑顔を取り戻すと、今度は自分から龍之介の胸に顔を埋めた。
「えへへ……。龍先輩、頑張っていきましょうね」
「ああ、もちろんだ!」
ノゾミの言葉に、龍之介は力強く頷いた。
そんな2人の様子を羨ましそうに眺めながら、アイリが龍之介の脇腹を肘で突く。
「……いいなぁ。ボクも、龍之介くんに甘えよっと!」
「わっ!? あ、アイリ!?」
龍之介が驚いたように声を上げる。
しかし彼女は構わず、彼の背中に抱き着いた。
そんな3人の様子を傍目に見ながら、ユイはやれやれと言った様子で笑う。
「全く……。何をやっていますの……。本番前に、怪我をしないでくださると良いのですけれど」
「えっと、ユイ先輩も混ざりますか? あなたも先輩に甘えたいなら全然オーケーですけど……?」
「結構ですわ。わたくしは淑女ですから。公共の場で殿方に抱きついたりはしないのです」
ノゾミの誘いをすげなく拒絶するユイ。
しかし、もう1人残されていたミオは違った。
「ふふっ! それでは、私は遠慮なく龍様に触れさせていただきましょう!!」
ミオはそう言うと、龍之介の右腕に抱き着く。
彼女は満足そうな笑みを浮かべたまま、彼に向かって声をかけた。
「龍様……。絶対に勝ちましょうね」
「そうだな。俺はみんなと共に優勝したい。そして、無事に高校を卒業して思い出を作りたいと思っている」
龍之介がそう言って微笑む。
そんな彼の言葉に対し、ミオは誇らしげに胸を張った。
「私も同じ気持ちです! 4番打者として、必ずや龍様の期待に応えてみせます! 私の豪打で、相手を圧倒します!!」
「頼もしいな。頼りにしているぞ、ミオ」
「はうっ! お、お任せを……!!」
龍之介の言葉に、ミオの顔が瞬時に真っ赤になる。
そんな2人の様子を、ユイは嫉妬の視線で眺めていた。
「むむ……! 公共の場でそのようなことを……!! ハレンチですわ……!!」
「? ユイさん、どうかしましたか?」
ミオがユイに尋ねる。
そんな彼女に対し、ユイはため息をついた後、首を横に振った。
「いえ……なんでもありませんわ。あなたたちを見ていると、細かいことを気にしている自分こそが間違っているのだと、そう思えてきました」
「???」
ユイの言葉に、ミオは不思議そうに首を傾げる。
そんな彼女を余所に、ユイは龍之介の左腕に抱きついた。
「わたくしも龍さんに触れることにいたします! 淑女がどうとか言っていたら、正妻の座を奪われてしまいますもの!!」
「えっ!? 正妻は……わたしなんですけど!!」
「いーや、ボクだよ!!」
「私です!!」
龍之介に抱き着いている4人の少女が、バチバチと火花を散らす。
そんな彼女たちに対し、龍之介が困ったように笑う。
「ははは……。みんな、仲良くしてくれよ? 今日は試合なんだからさ」
「「「「でも……」」」」
「負けても即座に退学ではないが、2回戦ごときで負けていたら来年のラストチャンスでも厳しい戦いになるだろう。そうなれば、俺はいよいよ退学になり桃色青春高校を去ることになるんだぜ?」
「「「「…………」」」」
彼の言葉に、4人は急に黙り込む。
そして、少し寂しそうに俯いた後、上目遣いで彼を見つめた。
「龍様がいなくなれば、私たちの学園生活は一気に色褪せてしまいます」
「そうだね……。できれば独り占めしたいけど、そうも言ってられないよ」
「ここは一致団結しましょう。心を一つにするのです」
「皆様の言う通りですわね。まずは、勝つこと。龍さんの心を奪い合うのは、その後ですわ」
4人が頷き合う。
その様子を見て、龍之介は満足げに笑った。
「ははっ! 心強いな、みんな!! よしっ! 張り切っていくぞー!!」
「「「「おお~!!」」」」
4人の少女の掛け声がグラウンドに響き渡る。
そんな彼女たちの様子を眺めるのは――
「ふふふ……。元気いっぱいのようですが……それもいつまで続きますかね? 私たち『プリンセスガーディアン・ハイスクール』を相手に……」
2回戦の相手高校のキャプテン、ソフィだ。
彼女は不敵に笑いながら、グラウンドに足を踏み入れていくのだった。
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