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また強くなった!

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 翌日になった。
 また剣の稽古が始まろうとしている。

「クロム坊っちゃん。昨日の件だけど……」

 サーシャが口を開く。

「……はい」

 説教が始まってしまうのか。
 身分では明確な上下関係がある。
 しかし、剣術の領域では俺は彼女に頭が上がらない。

「……貴族様とはいえ、ああいうのは止めた方がいいと思う。クロム坊っちゃんだから許したけど……。他の貴族からされたら、後で八つ裂きにしていたかもしれない……」

 サーシャがそう言う。
 怖え。
 しかし確かに、剣聖である彼女の不興を買えば、それぐらいはされてもおかしくない。
 代わりに彼女も捕らえられて処刑されるだろうから、生半可な覚悟ではできないだろうが。

「わかりました。他の女性にはしないことを誓います」

 実際のところ、俺の身近にいる女性で最も魅力的なのがカリナとサーシャだ。
 この二人のおっぱいを堪能できた今、新たに危険を犯す必要性は低くなった。
 また、『おっぱいを揉むほど強くなるスキル』による強化も、かなり進んでいる。
 カリナの胸を揉みしだいたことにより、彼女に勝てるぐらいには強くなった。

 そして、サーシャの胸を堪能したことによる強化の結果は――
 ガコンという音を立てて、俺の足元に木刀が転がる。
 俺の勝ちだ。

「……参った」

 サーシャが小さく呟いた。

「ふははっ。どうです? 師匠。俺の成長は?」

「……すごい。昨日はああ言ったけど……。まさか、こんなにすぐに追い抜かれるとは思わなかった……」

 サーシャが悔しそうな顔で言う。

「ふっ。俺なら当然のことです」

 俺は得意げにそう言い放つ。

「……でも、まだ完全に負けたわけじゃない」

「ほう」

「……次は私も本気で行く」

 サーシャの目つきが変わる。

「いいでしょう」

 結果を言えば、本気になったサーシャは今の俺よりも少し上手だった。
 やはり、剣聖の称号は伊達ではない。
 俺もまだまだ上を目指さないとな。
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