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他が為の怒り
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ジニアのアジトは、ディネクスの町の一つトーファスからそれほど遠くない山奥にある。ジニアの集めた国の裏の情報はここで整理される。
何故国に指名手配されている身でありながら、国の近くに居を構えているのかというと、この山そのものが鬱蒼と木々が生い茂り、アジトを探しにくくなっているからだ。さらに水属性魔法により光の屈折を作り出すことで、幻を作り見えづらくしている。そして単純に近いと調べるための行き来も便利だ。
そんな山奥の木々の上にあるアジトに、うずくまっていた女を案内した。男一人なため女性を迎えるような環境は整っていない。壁、机、椅子、あらゆる家具が木でできている。ジニアが国の図書館で読んでいた本の中に、木造の建築様式についての書物があったので、それを試すためも兼ねられていた。
ジニアは女の名を聞いた。
「名前は?」
「...カクノトウカ」
「...そうか、私はジニアだ」
それ以降話はせず、爛々とランプが照らすアジトの一室で、椅子に座っているトウカは終始下を向いていた。
その木造の棚から保存食のトウモロコシの粉末を取り出し、お湯に溶かす。ジニアはこれが昔からの好物なのだ。
トウカは鼻をスンスンさせながら、
「コーンスープ?」
と、自己紹介をして以降初めて口を開いた。聞きなれない言葉を。
「コーン...何だそれは?これのことか?」
「香りがコーンスープだから」
「はぁ、まぁ飲め」
差し出した飲み物を飲もうともせず、トウカはずっと下を向く。椅子は一つしかないためジニアはずっと立っていた。だからトウカとはずっと目が合わない。
「冷めてから...飲む」
「好きにしろ」
布団はトウカに譲り、夜の星が輝く空を眺め時間を潰していた。するとトウカは布団をめくり、面と向かって礼を言った。
「ありがとう、ジニア」
「目を見て話せないのかと思ったよ、君は」
嘆息する。弱い者は目を見ずに逃げる。その代わり決してこちらに心を開くことはない。昔の職場はそんな人々が多かった。だがしっかりと働いているから別に不自由はなかった。
だが、ジニアは見てしまった。
ある丸々と太った女が、牢屋の場所ではない何処かに人を引っ張り、幽閉しようとするあの光景。だがそんなのどうだってよかった。所詮は対岸の火事。
にも関わらず、国は自分を陥れて解雇どころか犯罪者にしたてあげた。そうとうまずいモノを見てしまったのだと後からそう考え、復讐という名目で国の裏を探っている。
...だが多分、私が燃やした奴等が今まで自分を僻みの目でしか見てこなかったのにも関わらず、情状酌量の余地なく捕まえようとした国に対する失望が大きいのかもしれない。
そう頭で回想しながらトウカを見た。そしてまたため息を吐いた。
こいつを誘拐させたといて、それを後からつけた方が情報を得られたのではなかろうか?と。だが仕方がない。見てられなかったのだから。
「今は大丈夫、眩しくないから」
「眩しい?あのランプがか?」
トウカは頷く。それほど明るいとは思っていなかったのだが、と首を捻る。あまり明るいと見つかりやすい。
ジニアはそこではっと思い至った。
「お前は何か、特別な力を持っていないか?」
「特別...分からない。」
「そうか...」
思い違いかもしれないと思った矢先、トウカはガバッと布団を押し上げて窓を見た。
「ど、どうした!?」
驚く私を余所に、トウカは血眼になって周りを見ている。
「人がいる」
「何?何故わかる?」
「足音がした。明らかに人の足音、10人はいる、あ!いた!」
と、真っ暗闇の方向へ指を指した。
「...ほう、」
ジニアには何も見えていない。だが彼女には見えているし聞こえている。
「君の力はそれか、面白い」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そろそろだ、情報によるとこの近くに木でできた家が、あった!」
遠くではモコモコとしていた森の木々は、中に入ったら最後、迷いすぎて出ることすら諦め、それこそジニアの如く森に拠点を建ててしまいたいくらいの濃厚な森。だが少しずつ足取りを掴み、漸く拠点らしき建物を見つけたとの情報が入った。
ギルドに貼られた国からの依頼、大罪人ジニアの無力化だ。「捕獲」や「逮捕」とは書かれていなかった。これは生死を問わないことを表している。
俺はもうギルドに入って3年になる。それなのにまだ剣士として成果を上げられていない。このチームを率いて、いや利用してこの俺のために成果を積み上げてきた。この大仕事を達成できれば、剣士ギルドの中でも屈指の評価を得られることだろう。
同じ鎧を着込むことで一致団結できるのも剣士の良いところだ、結束は力となり、利用しやすい。
「俺が合図を出す、魔法剣はとっておけ、奴の魔法を切り裂いて後に俺が、斬る!」
仲間のアサシンが木造の家を遠くの木から眺める。窓からは見えない。もっと踏み込む必要がある。
丸いペンダントのような魔法道具がパカッと開き、中身が暗く点滅した。二回と一回の点滅、これは中にいないことを表している合図だった。
逃げられた、気付かれたのか、それならばかなりまずい!
「周囲を見張れ!」
背中を合わせ、残りの剣士達と共に暗い森の奥に目を見張る。緩い風がガサガサと静かに揺れる。だが見えない。逃げられたならいい、だがどうして気がついた?
「それで統率しているつもりか、マニュアル通り過ぎるな」
背中合わせのど真ん中!
振り向く瞬間、ひらりと揺れる布を見た。
「うわぁぁぁぁっ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大勢の断末魔と共に、真っ暗な森から光が漏れた。
杖を地面に立てるジニアの周囲には、バタバタと倒れた剣士達。
口ほどでもないか、そういえばトウカには拠点の裏に隠れるように指示していたが、
「振り向くな、」
私は冷や汗を拭いたいのを、振り向いて直ぐ様魔力を放出したいのをなんとか堪え、動かなかった。
「この女を殺されたくないか?殺されたくないだろう、ならば杖を投げ捨て地面に這いつくばれ」
後ろの何者か(恐らくアジトに入ろうとした忍)が、ナイフか何かをトウカの首に当てているのだ。
苦い声が漏れてしまうも、杖を遠くにやり、四つん這いになった。
「んんー!」
「お前も動くな、刃が食い込む」
「んんんー!」
口を縛られているのか、それに刃が首に、だとしたら良くない。
この時点ですでにトウカの特質についてある程度の推測はあった。トウカは五感が他者よりも恐ろしく鋭い。だから周囲に来る者の足音を捉えられたし、まぶしいランプを直視しないように気を配り、コーンスープ?の香りをすぐさま理解していた。ならば恐らく触覚も鋭い、刃が食い込むその刺激は、彼女にとって切腹に等しいかもしれない。
「よし、とりあえずっと!」
「んぐっ!」
手足にクナイを投げられた。回復しようにも、できない。魔力を封じる力が込められている。
「無様だな、そういや自分で同僚を焼き付くしたんだって?どんな気分だった?楽しかったか?」
「そんなわけ、ないだろう、」
「あそう、まいっか、さっさと首貰うよ」
忍はトウカの首を片手で持ちながら、腰に据えた刀を首に向ける。
「そうそう、俺以外の奴等を倒してくれてありがとうな、お陰で手柄を独り占めできる。人生最後に人の役に立つことができて良かったな」
振り下ろそうとする刀を、既の所で止められた。トウカが刀身を片手で掴んだのだ。滴る血を背中で感じた。
まさか、トウカがそんな事をすれば、激痛では済まない、気を失うぞ!
「止めろトウカ!」
ガリガリガリガリ。
トウカは歯軋りをしていた。痛みに耐えるためでない、無意識に。
心に激痛が走ったのだ。
掴んだ刀を、血だらけの手の握力だけで砕いた。
「なっ!」
忍は身の危険を感じ後退する。そして懐から取り出したナイフを構え目の前の少女に警戒しようとした。
しかし、いない。目の前には四つん這いになり、手足が血だらけのジニアと仲間達だけ。
殺気を感じる頃には、既に首の骨を砕かれていた。トウカの拳が後頭部に直撃。一瞬にして絶命した。
「トウカ...お前...」
その場でトウカは倒れた。そこで真っ先に考えたのは何だっただろうか。「こいつの戦闘力は良い武器になる」か?「危険だから牙を向かれる前に早めに始末しておこう」か?
あるいは...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おい、お前」
「な、なんだよ」
私はトウカへのバインドを続けながら、後ろに倒れるサツキという男に尋ねた。
「洞窟で私の悪口を言わなかったか?」
「は?えっ...あー、はははどうだったかなぁ?」
「やっぱりか」
とぼけるサツキに、予想が当たったことを確信した。
今そのトウカが激昂しているのは、私のためだ。きっとあいつが私を侮辱したことに怒り、たがが外れ、全感覚を失った状態で暴れている。そんなところだろう。
彼女は私のために尽くしてくれていたのだ。思ってくれていたのだ。だから刀がてに食い込もうとも決して離さなかった。全ては
私の...ために...。
「手足が傷だらけだな、そんなに頑張ってくれていたのか、馬鹿な奴だ」
そういうと、手から杖が離れ、トウカを抱き締めた。胸のなかでトウカが暴れる。
「んんー!!!」
「今は休め、もうここに敵はいない。私は無事だ。だからもう、休め」
力強く抱き締める。暴れて抜け出そうとする力がとても強い。
トウカの目に生気が復活したような気がした。その直後、隙をついてトウカに魔力を集中させる。
「ちょ、お前また何した!」
「大丈夫、この光はこれは睡眠魔法よ、彼女を眠らせるつもりね」
カレンはサツキの疑問に素早く答えた。
トウカは次第に暴れる気力を失い、崩れ落ちた。
何故国に指名手配されている身でありながら、国の近くに居を構えているのかというと、この山そのものが鬱蒼と木々が生い茂り、アジトを探しにくくなっているからだ。さらに水属性魔法により光の屈折を作り出すことで、幻を作り見えづらくしている。そして単純に近いと調べるための行き来も便利だ。
そんな山奥の木々の上にあるアジトに、うずくまっていた女を案内した。男一人なため女性を迎えるような環境は整っていない。壁、机、椅子、あらゆる家具が木でできている。ジニアが国の図書館で読んでいた本の中に、木造の建築様式についての書物があったので、それを試すためも兼ねられていた。
ジニアは女の名を聞いた。
「名前は?」
「...カクノトウカ」
「...そうか、私はジニアだ」
それ以降話はせず、爛々とランプが照らすアジトの一室で、椅子に座っているトウカは終始下を向いていた。
その木造の棚から保存食のトウモロコシの粉末を取り出し、お湯に溶かす。ジニアはこれが昔からの好物なのだ。
トウカは鼻をスンスンさせながら、
「コーンスープ?」
と、自己紹介をして以降初めて口を開いた。聞きなれない言葉を。
「コーン...何だそれは?これのことか?」
「香りがコーンスープだから」
「はぁ、まぁ飲め」
差し出した飲み物を飲もうともせず、トウカはずっと下を向く。椅子は一つしかないためジニアはずっと立っていた。だからトウカとはずっと目が合わない。
「冷めてから...飲む」
「好きにしろ」
布団はトウカに譲り、夜の星が輝く空を眺め時間を潰していた。するとトウカは布団をめくり、面と向かって礼を言った。
「ありがとう、ジニア」
「目を見て話せないのかと思ったよ、君は」
嘆息する。弱い者は目を見ずに逃げる。その代わり決してこちらに心を開くことはない。昔の職場はそんな人々が多かった。だがしっかりと働いているから別に不自由はなかった。
だが、ジニアは見てしまった。
ある丸々と太った女が、牢屋の場所ではない何処かに人を引っ張り、幽閉しようとするあの光景。だがそんなのどうだってよかった。所詮は対岸の火事。
にも関わらず、国は自分を陥れて解雇どころか犯罪者にしたてあげた。そうとうまずいモノを見てしまったのだと後からそう考え、復讐という名目で国の裏を探っている。
...だが多分、私が燃やした奴等が今まで自分を僻みの目でしか見てこなかったのにも関わらず、情状酌量の余地なく捕まえようとした国に対する失望が大きいのかもしれない。
そう頭で回想しながらトウカを見た。そしてまたため息を吐いた。
こいつを誘拐させたといて、それを後からつけた方が情報を得られたのではなかろうか?と。だが仕方がない。見てられなかったのだから。
「今は大丈夫、眩しくないから」
「眩しい?あのランプがか?」
トウカは頷く。それほど明るいとは思っていなかったのだが、と首を捻る。あまり明るいと見つかりやすい。
ジニアはそこではっと思い至った。
「お前は何か、特別な力を持っていないか?」
「特別...分からない。」
「そうか...」
思い違いかもしれないと思った矢先、トウカはガバッと布団を押し上げて窓を見た。
「ど、どうした!?」
驚く私を余所に、トウカは血眼になって周りを見ている。
「人がいる」
「何?何故わかる?」
「足音がした。明らかに人の足音、10人はいる、あ!いた!」
と、真っ暗闇の方向へ指を指した。
「...ほう、」
ジニアには何も見えていない。だが彼女には見えているし聞こえている。
「君の力はそれか、面白い」
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「そろそろだ、情報によるとこの近くに木でできた家が、あった!」
遠くではモコモコとしていた森の木々は、中に入ったら最後、迷いすぎて出ることすら諦め、それこそジニアの如く森に拠点を建ててしまいたいくらいの濃厚な森。だが少しずつ足取りを掴み、漸く拠点らしき建物を見つけたとの情報が入った。
ギルドに貼られた国からの依頼、大罪人ジニアの無力化だ。「捕獲」や「逮捕」とは書かれていなかった。これは生死を問わないことを表している。
俺はもうギルドに入って3年になる。それなのにまだ剣士として成果を上げられていない。このチームを率いて、いや利用してこの俺のために成果を積み上げてきた。この大仕事を達成できれば、剣士ギルドの中でも屈指の評価を得られることだろう。
同じ鎧を着込むことで一致団結できるのも剣士の良いところだ、結束は力となり、利用しやすい。
「俺が合図を出す、魔法剣はとっておけ、奴の魔法を切り裂いて後に俺が、斬る!」
仲間のアサシンが木造の家を遠くの木から眺める。窓からは見えない。もっと踏み込む必要がある。
丸いペンダントのような魔法道具がパカッと開き、中身が暗く点滅した。二回と一回の点滅、これは中にいないことを表している合図だった。
逃げられた、気付かれたのか、それならばかなりまずい!
「周囲を見張れ!」
背中を合わせ、残りの剣士達と共に暗い森の奥に目を見張る。緩い風がガサガサと静かに揺れる。だが見えない。逃げられたならいい、だがどうして気がついた?
「それで統率しているつもりか、マニュアル通り過ぎるな」
背中合わせのど真ん中!
振り向く瞬間、ひらりと揺れる布を見た。
「うわぁぁぁぁっ!!」
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大勢の断末魔と共に、真っ暗な森から光が漏れた。
杖を地面に立てるジニアの周囲には、バタバタと倒れた剣士達。
口ほどでもないか、そういえばトウカには拠点の裏に隠れるように指示していたが、
「振り向くな、」
私は冷や汗を拭いたいのを、振り向いて直ぐ様魔力を放出したいのをなんとか堪え、動かなかった。
「この女を殺されたくないか?殺されたくないだろう、ならば杖を投げ捨て地面に這いつくばれ」
後ろの何者か(恐らくアジトに入ろうとした忍)が、ナイフか何かをトウカの首に当てているのだ。
苦い声が漏れてしまうも、杖を遠くにやり、四つん這いになった。
「んんー!」
「お前も動くな、刃が食い込む」
「んんんー!」
口を縛られているのか、それに刃が首に、だとしたら良くない。
この時点ですでにトウカの特質についてある程度の推測はあった。トウカは五感が他者よりも恐ろしく鋭い。だから周囲に来る者の足音を捉えられたし、まぶしいランプを直視しないように気を配り、コーンスープ?の香りをすぐさま理解していた。ならば恐らく触覚も鋭い、刃が食い込むその刺激は、彼女にとって切腹に等しいかもしれない。
「よし、とりあえずっと!」
「んぐっ!」
手足にクナイを投げられた。回復しようにも、できない。魔力を封じる力が込められている。
「無様だな、そういや自分で同僚を焼き付くしたんだって?どんな気分だった?楽しかったか?」
「そんなわけ、ないだろう、」
「あそう、まいっか、さっさと首貰うよ」
忍はトウカの首を片手で持ちながら、腰に据えた刀を首に向ける。
「そうそう、俺以外の奴等を倒してくれてありがとうな、お陰で手柄を独り占めできる。人生最後に人の役に立つことができて良かったな」
振り下ろそうとする刀を、既の所で止められた。トウカが刀身を片手で掴んだのだ。滴る血を背中で感じた。
まさか、トウカがそんな事をすれば、激痛では済まない、気を失うぞ!
「止めろトウカ!」
ガリガリガリガリ。
トウカは歯軋りをしていた。痛みに耐えるためでない、無意識に。
心に激痛が走ったのだ。
掴んだ刀を、血だらけの手の握力だけで砕いた。
「なっ!」
忍は身の危険を感じ後退する。そして懐から取り出したナイフを構え目の前の少女に警戒しようとした。
しかし、いない。目の前には四つん這いになり、手足が血だらけのジニアと仲間達だけ。
殺気を感じる頃には、既に首の骨を砕かれていた。トウカの拳が後頭部に直撃。一瞬にして絶命した。
「トウカ...お前...」
その場でトウカは倒れた。そこで真っ先に考えたのは何だっただろうか。「こいつの戦闘力は良い武器になる」か?「危険だから牙を向かれる前に早めに始末しておこう」か?
あるいは...。
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「おい、お前」
「な、なんだよ」
私はトウカへのバインドを続けながら、後ろに倒れるサツキという男に尋ねた。
「洞窟で私の悪口を言わなかったか?」
「は?えっ...あー、はははどうだったかなぁ?」
「やっぱりか」
とぼけるサツキに、予想が当たったことを確信した。
今そのトウカが激昂しているのは、私のためだ。きっとあいつが私を侮辱したことに怒り、たがが外れ、全感覚を失った状態で暴れている。そんなところだろう。
彼女は私のために尽くしてくれていたのだ。思ってくれていたのだ。だから刀がてに食い込もうとも決して離さなかった。全ては
私の...ために...。
「手足が傷だらけだな、そんなに頑張ってくれていたのか、馬鹿な奴だ」
そういうと、手から杖が離れ、トウカを抱き締めた。胸のなかでトウカが暴れる。
「んんー!!!」
「今は休め、もうここに敵はいない。私は無事だ。だからもう、休め」
力強く抱き締める。暴れて抜け出そうとする力がとても強い。
トウカの目に生気が復活したような気がした。その直後、隙をついてトウカに魔力を集中させる。
「ちょ、お前また何した!」
「大丈夫、この光はこれは睡眠魔法よ、彼女を眠らせるつもりね」
カレンはサツキの疑問に素早く答えた。
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