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カレンが地面にへたりこんだ。
夕暮れも後半を迎え、今や太陽の光も残り少ない。視界が悪くなる中で、コボ朗の淡い光が目立っていた。トウカは正座するジニアの膝を枕に眠っている。
「そういえばこの子何なの?すごい力ね!」
カレンが黙りこくるジニアに聞いた。
「せやせや!わしちゃうかったら死んでたであれ!」
コボ郎もカレンに続いて聞いた。殴られた張本人だからな。
いや俺も食らってるんだけどね、まぁどうでもいいか。今はとにかく疲れていた。
それらの質問に、疲労困憊なジニアはトウカを見ながら答えた。その目には申し訳なさがある。多分俺とカレンにではなくトウカにか。
「トウカは、自分の五感を封じることで身体能力を飛躍的に上げることができる。封じる五感が強ければ強いほど、多ければ多いほどな。そのせいで眠らせるのにかなり魔力を使ってしまった」
「なるほど、五感の全てを封じたことで、あの強さになったわけか」
俺は洞窟の奥から外までの道のりで、追いかけられている時のことを思い出していた。
俺を洞窟まで追いかけている間は音を聴く必要がないので、ジニアの魔法で聴力を封じていたから速かった。しかし視力は木をなぎ倒すために拳で捉える必要があったから残されたのだろう。
だがカレンがジニアを抑えている間、トウカ一人がサツキを追いかけなくてはならなかった。だからその命令のために聴力を復活させた。その代わり制御される五感が少なくなり、力が弱くなった。
そして洞窟から出るとき、トウカは暴走状態になった。その時五感は全てを無くしていたから恐ろしい力を発揮していたのだ。だからゼロ・ハピネスで(かどうから分からないが)強化された力で走っても追い付かれそうになった。
...?暴走状態で全ての五感が失われた?何故?感覚を封じるためにはジニアの魔法が必要なはず。そんな疑問が浮かび上がったものの、新しい力を無理に行使した疲れからか、これ以上の思考ができなかった。
そして、ちょうどその話をカレンから振られた。
「トウカちゃんもそうだけど、あんたもおかしかったわよ?」
俺は地面に大の字になり答えた。
「あれな、ゼロ・ハピネスっていう能力らしいよ、周りの運を吸い取って自分だけを幸運にする力らしい」
ジニアがトウカの頭を撫でながら答えた。
「なるほど、だからあの時変な波動を洞窟から感じたわけか」
白い世界で出会った彼女から聞かされたこの能力の話を、この場の皆にも話しのだが、自分で話していて疑問に浮かぶことがあった。
「だけどなんかおかしいんだよなぁ、何で魔力が使えたんだろう?」
俺の言葉に、ジニアは驚いた。
「お前、まさか魔力が使えないのか?」
「そうなのよ、パラメータには魔力マイナスって書いてあって、見てみる?」
カレンが呆れて言うので、ジニアの側まで行ってステータスを見せた。態度がいちいち腹立つけど、まぁ一先ず目をつぶろう。
「なるほど、その腕輪はステータスを表示させることもできるのか...!?」
ジニアは腕についている腕輪から表示されたステータスに目を丸くした。そして悲しさが帯びてくる。
「運と魔力がマイナスか、なるほど、頑張れよ」
「慰めるんじゃねー、空しくなるわ」
となりに気持ちよく眠っている子がいるのであまり大声をだせないので、奥歯を噛んで睨み付ける。
「良かったじゃないサツキ、ジニアが人を労るなんてそうあることじゃないわ」
「はぁ、何んんにも嬉しくない...あ」
馬鹿にされただけだわ。と肩を落とした。
だがこの話から、俺はある仮説にたどり着いた。自分の内なる力を意識しながら、小さく呟く。
「そうだ、実際に魔力が出現していて、原因が運気上昇だとすれば、その『運気によって魔力が上昇したこと』そのものが、俺の固有スキルなのかも」
「確かに!それかもしっ...」
とカレンのはビシッ!と指をさした。だが急に顔が疑念の顔に固まった。何だ?何をしてるんだ?パントマイムか何かか?
動き出したカレンの口が開いた。
「...ねぇサツキ、あんたの固有スキルって、『予知能力』じゃなかったっけ?自分でもそう言ってたわよね?」
「あ」
と視線をカレンから反らした。だが睨み付ける攻撃は明らかに俺の精神的防御力を下げている。これは正直に話した方がいいか。隠せるものでもなさそうだし...。
「あ?」
「いやぁ、実は別に予知なんて出来ませんでした~...なーんちゃって...」
頭をポリポリしながらすーっとゆっくりカレンを見る。杖を持ち、陰る笑顔が向けられているのを視界に捉えた。
杖が光ってる!しかもこの光なんか見たことある!サツキの顔が恐怖で歪み、あの痛みの記憶がよみがえる。
「ヒール!ヒールヒールヒール!」
「イィィィデデデデデ!癒えるから!隅から隅まで癒えるからぁ!」
お陰さまで、疲れがめっきり取れました。激痛と引き換えに。
夕暮れも後半を迎え、今や太陽の光も残り少ない。視界が悪くなる中で、コボ朗の淡い光が目立っていた。トウカは正座するジニアの膝を枕に眠っている。
「そういえばこの子何なの?すごい力ね!」
カレンが黙りこくるジニアに聞いた。
「せやせや!わしちゃうかったら死んでたであれ!」
コボ郎もカレンに続いて聞いた。殴られた張本人だからな。
いや俺も食らってるんだけどね、まぁどうでもいいか。今はとにかく疲れていた。
それらの質問に、疲労困憊なジニアはトウカを見ながら答えた。その目には申し訳なさがある。多分俺とカレンにではなくトウカにか。
「トウカは、自分の五感を封じることで身体能力を飛躍的に上げることができる。封じる五感が強ければ強いほど、多ければ多いほどな。そのせいで眠らせるのにかなり魔力を使ってしまった」
「なるほど、五感の全てを封じたことで、あの強さになったわけか」
俺は洞窟の奥から外までの道のりで、追いかけられている時のことを思い出していた。
俺を洞窟まで追いかけている間は音を聴く必要がないので、ジニアの魔法で聴力を封じていたから速かった。しかし視力は木をなぎ倒すために拳で捉える必要があったから残されたのだろう。
だがカレンがジニアを抑えている間、トウカ一人がサツキを追いかけなくてはならなかった。だからその命令のために聴力を復活させた。その代わり制御される五感が少なくなり、力が弱くなった。
そして洞窟から出るとき、トウカは暴走状態になった。その時五感は全てを無くしていたから恐ろしい力を発揮していたのだ。だからゼロ・ハピネスで(かどうから分からないが)強化された力で走っても追い付かれそうになった。
...?暴走状態で全ての五感が失われた?何故?感覚を封じるためにはジニアの魔法が必要なはず。そんな疑問が浮かび上がったものの、新しい力を無理に行使した疲れからか、これ以上の思考ができなかった。
そして、ちょうどその話をカレンから振られた。
「トウカちゃんもそうだけど、あんたもおかしかったわよ?」
俺は地面に大の字になり答えた。
「あれな、ゼロ・ハピネスっていう能力らしいよ、周りの運を吸い取って自分だけを幸運にする力らしい」
ジニアがトウカの頭を撫でながら答えた。
「なるほど、だからあの時変な波動を洞窟から感じたわけか」
白い世界で出会った彼女から聞かされたこの能力の話を、この場の皆にも話しのだが、自分で話していて疑問に浮かぶことがあった。
「だけどなんかおかしいんだよなぁ、何で魔力が使えたんだろう?」
俺の言葉に、ジニアは驚いた。
「お前、まさか魔力が使えないのか?」
「そうなのよ、パラメータには魔力マイナスって書いてあって、見てみる?」
カレンが呆れて言うので、ジニアの側まで行ってステータスを見せた。態度がいちいち腹立つけど、まぁ一先ず目をつぶろう。
「なるほど、その腕輪はステータスを表示させることもできるのか...!?」
ジニアは腕についている腕輪から表示されたステータスに目を丸くした。そして悲しさが帯びてくる。
「運と魔力がマイナスか、なるほど、頑張れよ」
「慰めるんじゃねー、空しくなるわ」
となりに気持ちよく眠っている子がいるのであまり大声をだせないので、奥歯を噛んで睨み付ける。
「良かったじゃないサツキ、ジニアが人を労るなんてそうあることじゃないわ」
「はぁ、何んんにも嬉しくない...あ」
馬鹿にされただけだわ。と肩を落とした。
だがこの話から、俺はある仮説にたどり着いた。自分の内なる力を意識しながら、小さく呟く。
「そうだ、実際に魔力が出現していて、原因が運気上昇だとすれば、その『運気によって魔力が上昇したこと』そのものが、俺の固有スキルなのかも」
「確かに!それかもしっ...」
とカレンのはビシッ!と指をさした。だが急に顔が疑念の顔に固まった。何だ?何をしてるんだ?パントマイムか何かか?
動き出したカレンの口が開いた。
「...ねぇサツキ、あんたの固有スキルって、『予知能力』じゃなかったっけ?自分でもそう言ってたわよね?」
「あ」
と視線をカレンから反らした。だが睨み付ける攻撃は明らかに俺の精神的防御力を下げている。これは正直に話した方がいいか。隠せるものでもなさそうだし...。
「あ?」
「いやぁ、実は別に予知なんて出来ませんでした~...なーんちゃって...」
頭をポリポリしながらすーっとゆっくりカレンを見る。杖を持ち、陰る笑顔が向けられているのを視界に捉えた。
杖が光ってる!しかもこの光なんか見たことある!サツキの顔が恐怖で歪み、あの痛みの記憶がよみがえる。
「ヒール!ヒールヒールヒール!」
「イィィィデデデデデ!癒えるから!隅から隅まで癒えるからぁ!」
お陰さまで、疲れがめっきり取れました。激痛と引き換えに。
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