無自覚な色気

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おつかい

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2週間ほど経った金曜日。
いつも通りに香奈は俺の部屋で両親のどちらかが帰宅する時間まで過ごしていた。

正直、あの日以来以前のように純粋に幼なじみという意識でいるのは俺の下半身事情的に罪悪感があった。
無意識とはいえ、柔らかな胸で腕を挟まれた感触は何度となく蘇り、至近距離で今まで目にする事のなかった白くムチッとした太ももとパンツを思い出し体が火照り、ついまたラッキースケベ的な出来事を期待している自分がいる。

「ジンちょっと下来て!」

パリッとした通る声で1階にいる母に呼ばれると俺より先に香奈が反応する。

「おばさん呼んでるよ、ジン!!早くっ!」

急かされるように部屋を出ると俺より先に香奈が1階に向かう。

「香奈ちゃんごめんね、騒がしくして。
あっ、ジンあんた明日隣町のおばさん家にこれ届けに行ってくれない?」

言うが早いか返事も聞かず母は電話をかけ始める。

「行くって言ってないじゃん」

「ねっ」

ポソッと苦笑いと一緒にこぼした言葉に香奈は笑いを堪えて相槌を打つ。

「返事聞かないのいつもだもんね、既に決定事項」

堪えきれない笑いと共に香奈が言う事に深く頷き

「それにしても笑い過ぎ」

笑いのハードルが低すぎる。これしきの事に涙を滲ませながら笑う香奈に半分呆れながら言うと

「だって面白いんだもん。ジンのおばさんのキャラ大好きだからしょうがないじゃん」

思えば子供の頃から母は香奈を笑わせるのが天才的に上手かった。どんなに泣いていても母の手にかかると香奈はいつの間にか笑っていた。

「私も香奈ちゃん大好きよ。ジンこんなんでしょ?無口だしすぐ部屋に籠るし。娘も欲しかったなぁ。だからね、香奈ちゃん! いつ嫁に来ても大歓迎だからね」

電話の終わった母が香奈を抱きしめながら言う。
いつからかは忘れたが、香奈を嫁には母の口癖になりつつある。
言われた本人、香奈は母の戯言に未だに慣れずに耳まで真っ赤になっているのを横目で見ながら

「んじゃ、無口な息子は部屋戻るわ」

明日隣町のおばさんの家に届ける品を抱えて2階に戻る。しばらくしてから香奈が俺の好物のスナックを2袋持って部屋に来た。

「前払いだって」

部屋の真ん中の小さなテーブルの方へ移動し、黙って手を出すと封を開けて香奈がいつも座る所ではなく俺にくっついて座った。

「…近っ…近いって」

「ジンの明日のおつかいのお駄賃だけど、これ私も好きだもん。一緒に食べたい」

「んな…くっつかなくたって届くだろ」

「…くっつかれるのイヤ?」

無意識の上目遣いに勝てるはずもなく、潔く完敗すると満面の笑みを向けられる。

「味の好み一緒だもんね。このお菓子ジンと一緒の時しか食べられないから久々食べたけどやっぱり美味しいね」

「ん?俺と一緒の時しか食べられないって?何で?自分で買って食べればいいじゃん」

「…怒んない?」

「場合による」

言いづらそうにしぶる香奈。

「何?何でよ?」

「…このお菓子のせいか分かんないけど、食べたその日のうちにお腹痛くなる事多いから…ヤダ寄せないでよっ!!」

俺は無言でお菓子を香奈の届かない方へ寄せる。

「合わないかもしれないの食うなよ!おじさんやおばさんに心配かけんなっ!」

小さい時は体がかなり弱かった香奈。今はそうでもないがそれでも1年に1回は1週間以上寝込む事があり、おじさんやおばさんに心配をかけている。

「ごめんなさい…」

「香奈このお菓子あとは禁止な」

微かに頷く。



















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