36 / 62
少年と少女 それぞれの理由
少年の怒り2
しおりを挟む
「レイリア、お前はこれからどうしたい?」
「え?私、ですか?」
自分自身の事ではあるが、選択権があるとは思っていなかったため、レイリアは問われた事に驚いた。
「そうだ。魔法を今まで通り使いたいのか、それとも、魔力を封じてでも剣士になりたいのか?どちらを選ぶつもりだ?」
「うーん」
悩んだレイリアは小さく唸ると、ふと思い付いた考えを口に出した。
「魔法も使える剣士は駄目ですか?」
「魔力量が低ければ可能だろうが、私の娘として生まれてしまった以上、叶える事は難しいな」
「そうですか…」
閃いた瞬間、名案だと思ったものの、あっさりと否定されてしまい、ガックリとなる。
「すまない」
まさか家長たるファウスに謝られるとは思わず、レイリアは慌てた。
「いいえ!父様のせいではありません。それに私、父様の事を誇りに思っていますから、父様の娘に生まれて良かったです!」
「そうか」
レイリアの言葉が余程嬉しかったのか、ファウスは相好を崩した。
そんなファウスを前に、レイリアがもじもじとしながら尋ねた。
「あの、父様。実は私、兄様に私は剣士に向かないから、剣術大会で優勝出来なければ剣士なるのを諦めて魔術士になれと言われたのです。父様も、私は剣士に向かないとお思いですか?」
レイリアの問いに、ファウスが困ったような顔で答える。
「私にはお前が、剣士にも魔術士にも向いるとは思えないのだがな」
まさかの両方を否定され、レイリアが目を丸くする。
「魔術士にも、ですか?」
「そうだ。お前はシェリアに似てとても優しい子だ。そんなお前では職務のためとは言え、剣や魔法で人を傷つける事は出来ないだろう」
「……」
「恐らくカイが魔術士になれと言ったのは、魔術士であれば人を傷つけない道があるからかもしれんな」
(兄様がそこまで考えてくれているとは思えないけれど、父様の言う通り、人を傷つけるために剣や魔法は使いたくないし…。でも騎士になるために軍へ入ったら、人に剣を向けないといけないだなんて…)
軍人となれば当然起こりうる出来事を今まで考えていなかったレイリアは、突き付けられた事実に顔色を失い、呆然となった。
「まぁ父としては、剣士でも魔術士でも無く、相応しい相手と結婚をし、幸せになってもらいたいだけなのだがな」
「け、結婚、ですか…」
思いもよらぬ単語がファウスの口から出てきた事で、レイリアの意識は現実へと引き戻されたものの、答える声が裏返ってしまった。
「まだまだ先の話だがな。はっはっは」
まさか、ファウスが剣士でも魔術士でも無い、第三の道を娘に歩ませようとしているとは流石に思わなかったレイリアは、楽しそうに笑うファウスに反し、顔を引きつらせた。
(もしかして、今の私って、何気に人生の分かれ道っていうのに立っているんじゃ…)
そんな事を思いつつ、レイリアは夕食の案内が来るまでの時間を、久し振りに父と二人だけで過ごしたのだった。
「え?私、ですか?」
自分自身の事ではあるが、選択権があるとは思っていなかったため、レイリアは問われた事に驚いた。
「そうだ。魔法を今まで通り使いたいのか、それとも、魔力を封じてでも剣士になりたいのか?どちらを選ぶつもりだ?」
「うーん」
悩んだレイリアは小さく唸ると、ふと思い付いた考えを口に出した。
「魔法も使える剣士は駄目ですか?」
「魔力量が低ければ可能だろうが、私の娘として生まれてしまった以上、叶える事は難しいな」
「そうですか…」
閃いた瞬間、名案だと思ったものの、あっさりと否定されてしまい、ガックリとなる。
「すまない」
まさか家長たるファウスに謝られるとは思わず、レイリアは慌てた。
「いいえ!父様のせいではありません。それに私、父様の事を誇りに思っていますから、父様の娘に生まれて良かったです!」
「そうか」
レイリアの言葉が余程嬉しかったのか、ファウスは相好を崩した。
そんなファウスを前に、レイリアがもじもじとしながら尋ねた。
「あの、父様。実は私、兄様に私は剣士に向かないから、剣術大会で優勝出来なければ剣士なるのを諦めて魔術士になれと言われたのです。父様も、私は剣士に向かないとお思いですか?」
レイリアの問いに、ファウスが困ったような顔で答える。
「私にはお前が、剣士にも魔術士にも向いるとは思えないのだがな」
まさかの両方を否定され、レイリアが目を丸くする。
「魔術士にも、ですか?」
「そうだ。お前はシェリアに似てとても優しい子だ。そんなお前では職務のためとは言え、剣や魔法で人を傷つける事は出来ないだろう」
「……」
「恐らくカイが魔術士になれと言ったのは、魔術士であれば人を傷つけない道があるからかもしれんな」
(兄様がそこまで考えてくれているとは思えないけれど、父様の言う通り、人を傷つけるために剣や魔法は使いたくないし…。でも騎士になるために軍へ入ったら、人に剣を向けないといけないだなんて…)
軍人となれば当然起こりうる出来事を今まで考えていなかったレイリアは、突き付けられた事実に顔色を失い、呆然となった。
「まぁ父としては、剣士でも魔術士でも無く、相応しい相手と結婚をし、幸せになってもらいたいだけなのだがな」
「け、結婚、ですか…」
思いもよらぬ単語がファウスの口から出てきた事で、レイリアの意識は現実へと引き戻されたものの、答える声が裏返ってしまった。
「まだまだ先の話だがな。はっはっは」
まさか、ファウスが剣士でも魔術士でも無い、第三の道を娘に歩ませようとしているとは流石に思わなかったレイリアは、楽しそうに笑うファウスに反し、顔を引きつらせた。
(もしかして、今の私って、何気に人生の分かれ道っていうのに立っているんじゃ…)
そんな事を思いつつ、レイリアは夕食の案内が来るまでの時間を、久し振りに父と二人だけで過ごしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる