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少年と少女 それぞれの理由
少年の怒り14
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来た道を戻り、違う通路へと二人が足を踏み入れると、目の前に剣を持った青髪水色の目の若い男と、携帯用の簡易杖を持った赤髪赤目の眼鏡の男が立ちはだかっていた。
「おっと。小鼠発見」
「気を付けろ!そっちの水色のが魔術士だ」
「まさかお嬢ちゃんまで魔術士だとは思わなかったぜ」
青髪の男の言葉に、レイリアが言い返した。
「私は魔術士ではなくて剣士よ!」
その言葉と共に、レイリアは右手に持った剣を突き出した。
「は?」
レイリアのまさかの返しに、青髪の男はポカンとした顔となり、眼鏡の男は眉を顰めた。
「じゃあ聞くが、さっきの風の魔法はお前じゃ無いとでも言うのか?」
眼鏡の男がちらりと黒髪と黒い瞳のウィリスを見る。
魔力を持つのは髪と瞳に四属性の色である水色、茶色、青色、赤色を持つ、いわゆる『色持ち』と呼ばれる人間だ。
逆に、魔力を持たない黒髪に黒い瞳の人間は『色無し』と言われている。
つまり、ウィリスに魔力が無いのは誰から見ても明らかなのだ。
「確かに私だけれど、私は魔術士ではなくて剣士になりたいの!」
そう言ってムッとなったレイリアに、目の前の男二人は理解出来ないとでも言いたげな顔をした。
「ま、まあ、そんな事はどうでもいい。お前ら二人もあいつらの仲間な以上、覚悟は出来てるんだろうな?」
「どうせ仲間じゃ無いって言っても、信じてくれないんでしょ?」
「当たり前、だろっ!」
語尾の言葉を発すると共に、青髪の男が剣を構えてレイリア達へと向かってきた。
「レイリア、魔法だ!」
ウィリスの声に弾かれたようにレイリアが魔法を放つ。
「ファーナ!」
だが、レイリア達の動きを読んでいたのか、青髪の男の陰で魔力を貯めていた赤髪の男が、レイリアの詠唱に被さるように呪文を唱えてきた。
「フォルグ・クレスティナ!」
魔法を防ぐ『フォルグ・クレスティナ』は中級魔法に区分けされるが、光属性を持つ魔法のため扱いが難しく、魔術師の中でもそれなりに実力のある者しか使えない魔法だった。
そんな難しい魔法を目の前の魔術士が使った事にレイリアは目を見開いて驚くと、更にはその瞳に魔法防御の淡い金の光を纏った青髪の男が映った。
(このままだと、私の魔法が打ち消されちゃう!)
瞬時にそう判断したレイリアは、魔法防御魔法フォルグ・クレスティナを押し壊そうと、己の魔力を風魔法に出来るだけ込める事にした。
体中を巡る魔力を突き出した左手へと集めれば、手は水色に光り、レイリアの体の周りをふわりと柔らかな風が包む。
「いっけー!」
雄叫びにも似た声をレイリアが上げながら、思い切り風を舞起こす。
先ほど以上に激しい風が、まるで厚い空気の壁となって青髪の男を襲う。
すると、青髪の男を覆っていた金色がだんだんと薄れていき、とうとう色を失った。それはレイリアの魔力が赤髪の男の魔力を力でねじ伏せ、赤髪の男の魔法防御魔法を打ち消したという事だ。
と同時に、レイリア達に近付いていた青髪の男が、風圧に押されて後方へと吹き飛ぶ。
「うわっ!」
予想外の出来事に思わず声を漏らした青髪の男は、そのまま壁に激突し崩れ落ちた。
「やったぁ!」
思わず喜びの声を漏らしたレイリアの耳に、再び赤髪の男の声が響く。
「リフィリオス!」
詠唱後に現れたいく筋もの炎が、細い矢の様な形となりレイリア達を目掛けて飛んでくる。
魔法防御魔法を使えないレイリアには、風の力で炎を吹き消すしか無い。
「ファーナ!」
レイリアの声により巻き起こった強風が、複数の炎の矢を阻む。
レイリアの魔力の方が赤髪の男よりも高い以上、『火より風の力が強ければ、火は消える』という理通り、レイリアの魔力を纏う風がもうすぐ炎の矢の力を削ぐだろう。
レイリアがそう考えていると、赤髪の男がまたも呪文を唱えてきた。
「フィリオス!」
男の声に合わせて、炎の矢が形を変える。
十本近くあった炎の矢が合わさり、一本の太い炎の矢となったのだ。
数があった時の細い炎の矢を防ぐためにと、広く薄い風の壁を作っていたのが仇となり、太くなった炎の矢があっさりと風の壁を押し退け飛んできた。
「レイリアッ!」
迫り来る大きな炎の矢に、ウィリスが悲鳴に近い声を上げる。
それを耳に入れながらも、勢いよく自分目指して飛んで来る炎の矢を前に、レイリアはこの速度では避けるのは無理だと悟った。
しかも、あの大きさの炎の矢に襲われれば、火傷どころか死ぬかもしれないとさえ思った。
だがそんな結果をすんなりと受け入れられるほど、レイリアは生きることに消極的な性格ではない。
最後まで諦めないという信念の下、レイリアは両手を前に突き出して碧あおい魔力を溜めると、今度は水魔法の呪文を唱えた。
「水魔法!」
得意な風魔法より水魔法の威力は低くなるが、火に水であればもしかしたら風よりも抑えられるかもしれないという判断からだ。
果たしてレイリアの考えは合っていた。
レイリアの作り出した水の壁に、炎の矢が突き刺さる。すると、水の壁に触れた炎の勢いが削がれていき、矢の形が小さくなっていった。
しかし、レイリアの水の壁もどんどんと蒸発して薄くなり、遂には消え去ってしまった。
そこへ、まだ形を残していた炎の矢がレイリアに突き刺さった。
「うぅっ…」
痛みに歯を食いしばりながら耐え、腹部の傷口を片手で押さえながら、レイリアは赤髪の男へ向けて、素早く風の攻撃魔法の呪文を唱えた。
「ファーネス!」
それは、レイリアが幼い時に習ったものの、一度も人に向けて放った事のない攻撃魔法だった。それ故レイリアは、自分が込めた魔力がどれほどの威力となるのかも分からないまま、ただあの赤髪の魔術士がウィリスを攻撃しないようにとだけを願い、魔法を放った。
レイリアが唱えた魔法により、一本の鋭く太い疾風の刃が赤髪の男を襲い、その体を突き抜ける。男の体に赤いものが見え始めた時、レイリアは意識が薄れていくのを感じた。
「ウィル、今のうちに、逃げ、て…」
レイリアはウィリスにそう言い残すと、がくりと両膝を床につかせた。そして、意識が途切れる寸前に、辛うじて残る魔力を使って一つの呪文を小声で唱えると、そのままパタリと前に倒れ込んだ。
「おっと。小鼠発見」
「気を付けろ!そっちの水色のが魔術士だ」
「まさかお嬢ちゃんまで魔術士だとは思わなかったぜ」
青髪の男の言葉に、レイリアが言い返した。
「私は魔術士ではなくて剣士よ!」
その言葉と共に、レイリアは右手に持った剣を突き出した。
「は?」
レイリアのまさかの返しに、青髪の男はポカンとした顔となり、眼鏡の男は眉を顰めた。
「じゃあ聞くが、さっきの風の魔法はお前じゃ無いとでも言うのか?」
眼鏡の男がちらりと黒髪と黒い瞳のウィリスを見る。
魔力を持つのは髪と瞳に四属性の色である水色、茶色、青色、赤色を持つ、いわゆる『色持ち』と呼ばれる人間だ。
逆に、魔力を持たない黒髪に黒い瞳の人間は『色無し』と言われている。
つまり、ウィリスに魔力が無いのは誰から見ても明らかなのだ。
「確かに私だけれど、私は魔術士ではなくて剣士になりたいの!」
そう言ってムッとなったレイリアに、目の前の男二人は理解出来ないとでも言いたげな顔をした。
「ま、まあ、そんな事はどうでもいい。お前ら二人もあいつらの仲間な以上、覚悟は出来てるんだろうな?」
「どうせ仲間じゃ無いって言っても、信じてくれないんでしょ?」
「当たり前、だろっ!」
語尾の言葉を発すると共に、青髪の男が剣を構えてレイリア達へと向かってきた。
「レイリア、魔法だ!」
ウィリスの声に弾かれたようにレイリアが魔法を放つ。
「ファーナ!」
だが、レイリア達の動きを読んでいたのか、青髪の男の陰で魔力を貯めていた赤髪の男が、レイリアの詠唱に被さるように呪文を唱えてきた。
「フォルグ・クレスティナ!」
魔法を防ぐ『フォルグ・クレスティナ』は中級魔法に区分けされるが、光属性を持つ魔法のため扱いが難しく、魔術師の中でもそれなりに実力のある者しか使えない魔法だった。
そんな難しい魔法を目の前の魔術士が使った事にレイリアは目を見開いて驚くと、更にはその瞳に魔法防御の淡い金の光を纏った青髪の男が映った。
(このままだと、私の魔法が打ち消されちゃう!)
瞬時にそう判断したレイリアは、魔法防御魔法フォルグ・クレスティナを押し壊そうと、己の魔力を風魔法に出来るだけ込める事にした。
体中を巡る魔力を突き出した左手へと集めれば、手は水色に光り、レイリアの体の周りをふわりと柔らかな風が包む。
「いっけー!」
雄叫びにも似た声をレイリアが上げながら、思い切り風を舞起こす。
先ほど以上に激しい風が、まるで厚い空気の壁となって青髪の男を襲う。
すると、青髪の男を覆っていた金色がだんだんと薄れていき、とうとう色を失った。それはレイリアの魔力が赤髪の男の魔力を力でねじ伏せ、赤髪の男の魔法防御魔法を打ち消したという事だ。
と同時に、レイリア達に近付いていた青髪の男が、風圧に押されて後方へと吹き飛ぶ。
「うわっ!」
予想外の出来事に思わず声を漏らした青髪の男は、そのまま壁に激突し崩れ落ちた。
「やったぁ!」
思わず喜びの声を漏らしたレイリアの耳に、再び赤髪の男の声が響く。
「リフィリオス!」
詠唱後に現れたいく筋もの炎が、細い矢の様な形となりレイリア達を目掛けて飛んでくる。
魔法防御魔法を使えないレイリアには、風の力で炎を吹き消すしか無い。
「ファーナ!」
レイリアの声により巻き起こった強風が、複数の炎の矢を阻む。
レイリアの魔力の方が赤髪の男よりも高い以上、『火より風の力が強ければ、火は消える』という理通り、レイリアの魔力を纏う風がもうすぐ炎の矢の力を削ぐだろう。
レイリアがそう考えていると、赤髪の男がまたも呪文を唱えてきた。
「フィリオス!」
男の声に合わせて、炎の矢が形を変える。
十本近くあった炎の矢が合わさり、一本の太い炎の矢となったのだ。
数があった時の細い炎の矢を防ぐためにと、広く薄い風の壁を作っていたのが仇となり、太くなった炎の矢があっさりと風の壁を押し退け飛んできた。
「レイリアッ!」
迫り来る大きな炎の矢に、ウィリスが悲鳴に近い声を上げる。
それを耳に入れながらも、勢いよく自分目指して飛んで来る炎の矢を前に、レイリアはこの速度では避けるのは無理だと悟った。
しかも、あの大きさの炎の矢に襲われれば、火傷どころか死ぬかもしれないとさえ思った。
だがそんな結果をすんなりと受け入れられるほど、レイリアは生きることに消極的な性格ではない。
最後まで諦めないという信念の下、レイリアは両手を前に突き出して碧あおい魔力を溜めると、今度は水魔法の呪文を唱えた。
「水魔法!」
得意な風魔法より水魔法の威力は低くなるが、火に水であればもしかしたら風よりも抑えられるかもしれないという判断からだ。
果たしてレイリアの考えは合っていた。
レイリアの作り出した水の壁に、炎の矢が突き刺さる。すると、水の壁に触れた炎の勢いが削がれていき、矢の形が小さくなっていった。
しかし、レイリアの水の壁もどんどんと蒸発して薄くなり、遂には消え去ってしまった。
そこへ、まだ形を残していた炎の矢がレイリアに突き刺さった。
「うぅっ…」
痛みに歯を食いしばりながら耐え、腹部の傷口を片手で押さえながら、レイリアは赤髪の男へ向けて、素早く風の攻撃魔法の呪文を唱えた。
「ファーネス!」
それは、レイリアが幼い時に習ったものの、一度も人に向けて放った事のない攻撃魔法だった。それ故レイリアは、自分が込めた魔力がどれほどの威力となるのかも分からないまま、ただあの赤髪の魔術士がウィリスを攻撃しないようにとだけを願い、魔法を放った。
レイリアが唱えた魔法により、一本の鋭く太い疾風の刃が赤髪の男を襲い、その体を突き抜ける。男の体に赤いものが見え始めた時、レイリアは意識が薄れていくのを感じた。
「ウィル、今のうちに、逃げ、て…」
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