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少年と少女 それぞれの理由
少年の思い出5
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その瞬間、ウィリスの心臓が一気に跳ね上がった。
(うわっ!なんて可愛いんだろう!)
澄んだ水色のサラサラとした長い髪に、髪色と同じ水色のクリクリとした大きな瞳。更にその下には小さめの鼻と、ほんのり丸みを帯びた両頬。そして、笑みを湛えた薄紅色の愛らしい唇。
個々のパーツが絶妙なバランスで配置され、最高に可愛らしく見える。
ウィリスの人生はまだ八年という短いものではあるが、こんなにも可愛い女の子に会ったのは初めてだった。
そう。ウィリスはこの時、目の前に現れた水色の髪と瞳を持った少女に、一目惚れをしてしまったのだ…。
そんなウィリスが目の前の少女に見惚れている間にも、少女は次の動作へと移っていく。
「皆様ようこそゼピス家へ!私はレイリア=ゼピスと申します」
そう元気良く名乗った少女は、花柄のレースが施された薄桃色のワンピースの胸元に両手を添えると、右足を左足の後ろへと軽く引き、足を屈めてちょこんとお辞儀をした。
「私、ハーウェイ家の皆様にお会い出来るのをとても楽しみにしていたんです!今日はどうぞよろしくお願い致します」
はきはきとした口調で少女、レイリアはそう言うと、再びにっこりと笑顔を見せた。
そのとびきり可愛い笑顔に釣られ、ウィリスの顔も自然とほころんだ。
その瞬間、目の前のレイリアがハッとした表情となり、ウィリスを凝視してきた。
レイリアと目が合った事で急に恥ずかしくなったウィリスが固まっていると、何故だか瞳をキラキラと輝かせたレイリアがウィリスへと近づいて来た。
そして、レイリアはウィリスの正面へやって来たかと思うと、いきなり両手を広げてウィリスを抱き上げた。
「あなた、なんて可愛らしいの!まるでお人形さんみたい!」
レイリアはそう言うや否や、ウィリスに頬擦りをしてきた!
ウィリスは姉以外の女の子と頬擦りをするなんて、当然今まで一度も経験した事が無い。
ましてやそんな事を、一目見て心惹かれた少女にされてしまったウィリスは、心の中で完全に舞い上がり、耳も顔も自分でも分かるくらい熱くした。
だがその熱は、次にレイリアが口にした言葉で一気に冷める事となる。
「私、あなたみたいに綺麗で可愛い『妹』が欲しかったの!」
その一言に姉は吹き出し、父は声を上げて笑い、母は困った様な顔になった。
そしてウィリス本人は…。
「男だよ…」
自分よりも頭半分身長の高いレイリアに抱きかかえられたまま、ウィリスはレイリアを睨み付けた。
「え?」
「だから、僕は男だよ!」
「男?」
「そうだよ!男だよ!」
レイリアはウィリスの言葉に若干の沈黙の後、驚きの声を上げた。
「えぇぇぇっ!男の子!?嘘でしょ!こんなに綺麗な顔をしているのに!?」
その言葉と共に、レイリアは抱きしめていたウィリスを慌てて放した。
確かにウィリスは、幼い時から良く女の子と間違われていた。
サラサラで天使の輪がいつも輝く艶やかな漆黒の髪に、髪色と同じ漆黒の切れ長の瞳。その瞳を飾る長い睫毛に、キリリとした眉。そして子供ながら筋の通った高い鼻に、薄いながらもはっきりとした輪郭を持つ唇。
そんな顔立ちのウィリスは、一見すると、正しく『美少女』だ。
とは言え、ウィリスは正真正銘『男の子』であり、本人は父親の様な凛々しい大人の男に憧れているため、女の子の様な自分の外見が嫌いだった。それ故ウィリスに対し、『綺麗』、『可愛い』、『女の子みたい』という言葉は褒め言葉どころか、むしろ禁句だった。
にも関わらず、一目惚れした少女に『可愛い』、『綺麗』と言われた上、性別まで間違われたウィリスは、怒り半分、悲しみ半分の複雑な気持ちになっていた。
「レイリア、紹介しよう。妻のルーナ、娘のルッカ、そして、息子のウィリスだ。ルッカはカイより一つ年下で、ウィリスはレイリアと同じ歳だが、この間誕生日を迎えて八歳になったから、『妹』どころか、レイリアより『お兄さん』になるぞ」
グエンに紹介されたルーナとルッカが笑顔でレイリアと挨拶を交わす中、ウィリスだけはムスッとしたまま、
「よろしく」
と一言告げるに留まった。
そんな不機嫌丸出しのウィリスに、レイリアが申し訳無さそうに口を開いた。
「あの…、ウィリス様。先程は女の子と間違えてしまって、ごめんなさい…。私、グエンおじ様から、同じ歳のお子様がいらっしゃると伺っていたから、ルッカ様がそうなのかと思って…。だから、その…、本当に、ごめんなさい…」
謝罪の言葉を口にし、しょんぼりと項垂れるレイリアを目の前にしたウィリスは、妙な罪悪感に苛まれた。
この子にこんな顔をさせたい訳じゃない。
出来れば、さっきみたいな笑顔を見せて欲しい…。
そう思ったウィリスは、ため息を一つ吐いた。
「もういいよ。女の子には前から良く間違えられてるから。でも、もう二度と間違わないって約束してくれる?」
「えぇ!間違わないわ!約束する!」
「それなら、許してあげてもいいよ…」
「本当!?ありがとう、ウィリス様!」
その言葉と共に沈んでいたレイリアの表情が一気に綻ぶと、それを目にしたウィリスは再び心も顔も熱くなり、堪らず少女から目を逸らしてしまったのだった。
(あぁ…。
初めて会ったあの日から、僕はずっと、君が好きなんだ…。
だから、ずっと、ずっと、君には笑っていて欲しかった…。
なのに…。
『また』、守れなかった…。
『また』、失ってしまった…)
(うわっ!なんて可愛いんだろう!)
澄んだ水色のサラサラとした長い髪に、髪色と同じ水色のクリクリとした大きな瞳。更にその下には小さめの鼻と、ほんのり丸みを帯びた両頬。そして、笑みを湛えた薄紅色の愛らしい唇。
個々のパーツが絶妙なバランスで配置され、最高に可愛らしく見える。
ウィリスの人生はまだ八年という短いものではあるが、こんなにも可愛い女の子に会ったのは初めてだった。
そう。ウィリスはこの時、目の前に現れた水色の髪と瞳を持った少女に、一目惚れをしてしまったのだ…。
そんなウィリスが目の前の少女に見惚れている間にも、少女は次の動作へと移っていく。
「皆様ようこそゼピス家へ!私はレイリア=ゼピスと申します」
そう元気良く名乗った少女は、花柄のレースが施された薄桃色のワンピースの胸元に両手を添えると、右足を左足の後ろへと軽く引き、足を屈めてちょこんとお辞儀をした。
「私、ハーウェイ家の皆様にお会い出来るのをとても楽しみにしていたんです!今日はどうぞよろしくお願い致します」
はきはきとした口調で少女、レイリアはそう言うと、再びにっこりと笑顔を見せた。
そのとびきり可愛い笑顔に釣られ、ウィリスの顔も自然とほころんだ。
その瞬間、目の前のレイリアがハッとした表情となり、ウィリスを凝視してきた。
レイリアと目が合った事で急に恥ずかしくなったウィリスが固まっていると、何故だか瞳をキラキラと輝かせたレイリアがウィリスへと近づいて来た。
そして、レイリアはウィリスの正面へやって来たかと思うと、いきなり両手を広げてウィリスを抱き上げた。
「あなた、なんて可愛らしいの!まるでお人形さんみたい!」
レイリアはそう言うや否や、ウィリスに頬擦りをしてきた!
ウィリスは姉以外の女の子と頬擦りをするなんて、当然今まで一度も経験した事が無い。
ましてやそんな事を、一目見て心惹かれた少女にされてしまったウィリスは、心の中で完全に舞い上がり、耳も顔も自分でも分かるくらい熱くした。
だがその熱は、次にレイリアが口にした言葉で一気に冷める事となる。
「私、あなたみたいに綺麗で可愛い『妹』が欲しかったの!」
その一言に姉は吹き出し、父は声を上げて笑い、母は困った様な顔になった。
そしてウィリス本人は…。
「男だよ…」
自分よりも頭半分身長の高いレイリアに抱きかかえられたまま、ウィリスはレイリアを睨み付けた。
「え?」
「だから、僕は男だよ!」
「男?」
「そうだよ!男だよ!」
レイリアはウィリスの言葉に若干の沈黙の後、驚きの声を上げた。
「えぇぇぇっ!男の子!?嘘でしょ!こんなに綺麗な顔をしているのに!?」
その言葉と共に、レイリアは抱きしめていたウィリスを慌てて放した。
確かにウィリスは、幼い時から良く女の子と間違われていた。
サラサラで天使の輪がいつも輝く艶やかな漆黒の髪に、髪色と同じ漆黒の切れ長の瞳。その瞳を飾る長い睫毛に、キリリとした眉。そして子供ながら筋の通った高い鼻に、薄いながらもはっきりとした輪郭を持つ唇。
そんな顔立ちのウィリスは、一見すると、正しく『美少女』だ。
とは言え、ウィリスは正真正銘『男の子』であり、本人は父親の様な凛々しい大人の男に憧れているため、女の子の様な自分の外見が嫌いだった。それ故ウィリスに対し、『綺麗』、『可愛い』、『女の子みたい』という言葉は褒め言葉どころか、むしろ禁句だった。
にも関わらず、一目惚れした少女に『可愛い』、『綺麗』と言われた上、性別まで間違われたウィリスは、怒り半分、悲しみ半分の複雑な気持ちになっていた。
「レイリア、紹介しよう。妻のルーナ、娘のルッカ、そして、息子のウィリスだ。ルッカはカイより一つ年下で、ウィリスはレイリアと同じ歳だが、この間誕生日を迎えて八歳になったから、『妹』どころか、レイリアより『お兄さん』になるぞ」
グエンに紹介されたルーナとルッカが笑顔でレイリアと挨拶を交わす中、ウィリスだけはムスッとしたまま、
「よろしく」
と一言告げるに留まった。
そんな不機嫌丸出しのウィリスに、レイリアが申し訳無さそうに口を開いた。
「あの…、ウィリス様。先程は女の子と間違えてしまって、ごめんなさい…。私、グエンおじ様から、同じ歳のお子様がいらっしゃると伺っていたから、ルッカ様がそうなのかと思って…。だから、その…、本当に、ごめんなさい…」
謝罪の言葉を口にし、しょんぼりと項垂れるレイリアを目の前にしたウィリスは、妙な罪悪感に苛まれた。
この子にこんな顔をさせたい訳じゃない。
出来れば、さっきみたいな笑顔を見せて欲しい…。
そう思ったウィリスは、ため息を一つ吐いた。
「もういいよ。女の子には前から良く間違えられてるから。でも、もう二度と間違わないって約束してくれる?」
「えぇ!間違わないわ!約束する!」
「それなら、許してあげてもいいよ…」
「本当!?ありがとう、ウィリス様!」
その言葉と共に沈んでいたレイリアの表情が一気に綻ぶと、それを目にしたウィリスは再び心も顔も熱くなり、堪らず少女から目を逸らしてしまったのだった。
(あぁ…。
初めて会ったあの日から、僕はずっと、君が好きなんだ…。
だから、ずっと、ずっと、君には笑っていて欲しかった…。
なのに…。
『また』、守れなかった…。
『また』、失ってしまった…)
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