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都内の商社に勤めている亜実果あみかはお菓子作りが趣味で、子供の頃から早く結婚したいと思っていた。
夫に自分の作ったお菓子を食べさせてあげるのが夢だった。
亜実果は面食いで、自分の夫になる人は「白馬に乗った王子様」タイプの人と決めていた。

亜実果は亜実果のほうから告白したり、相手から告白されたり、友人からの紹介でつきあったり、友達から始まる恋愛をしたり、お見合いパーティーへ行ったり、結婚紹介所でお見合いしたり、マッチングアプリで婚活したり、といろいろ経験をした。

けれど、どんな相手とつきあっても、結婚の手前まで来ると必ず別れてしまう。
亜実果は結婚にあこがれているだけで、その相手を本当に好きかといったらそれは別だった。

相手の男性は結婚が近づくにつれ、亜実果が自分のことを好きなのではなくて、だれかと結婚をしたいだけなのだ、と見抜くのだ。

亜実果は亜実果の心のなかを悟った相手からふられることが多かったが、逆に、態度が冷たくなった相手に対し、自分のほうから別れを切り出したりもした。

亜実果はずっとそんなことを繰り返し、いつまでも結婚できずにいた。





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