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ケース1/まっかっかさん②
しおりを挟む大学近くにある、小さいながらも賑わう喫茶店。そこで話をすることに応じた僕は、席に座ってまだ五分と経っていないにも関わらず、承諾したことを若干後悔していた。
「いやぁ、突然だったのに話を聞いてくれてありがとう。助かったよ」
「あ、いえ……別に……」
そんな僕の心情には気付いていないのだろう、向かいの席に腰掛けている彼――アキさんはただにこりと目尻を下げ、眩いほどの笑みを浮かべた。瞬間、周囲で殺しきれていない黄色い歓声が聞こえてきて、その慣れない声と視線に、僕は自分の神経がどんどんとすり減っていく心地がした。
やっぱり、ついて来なければ良かった……。
それは、三十分程前のこと。大学の中庭で、突然僕に声を掛けてきた彼――アキと名乗ったこの人は、やっぱりというか、サングラスを取ったその素顔は、まるで芸能人と見紛うレベルで顔が良かった。スラっとした長身の体躯は余裕で百八十はあるだろうし、袖から覗く腕だけを見ても、鍛えてるんだろうなと分かる筋肉のつき方をしていて、すれ違う女性の誰もが振り返っては頬を赤く染めている。男の僕でさえ格好良い人だと思ったくらいだ。だから、仕方のないことだと分かってはいるのだけど……そんなイケメンと同じ机を囲むことが、これほどまでに肩身が狭くなるとは。やばい、もう帰りたくなってきた。
「知ってる? ここの珈琲、すごく美味しいんだよ」
アキさんはそう言いながら、手元のティーカップを持ち上げる。途端、ふわりと鼻を擽る深く芳醇な香りに、彼はふ、と目元を緩ませた。
柔らかなその表情に、ああ、この人は本当にこの珈琲が好きなんだなと思う。
「あー……そうなんですね。僕、あまりお店とか入らなくて……」
「そうなの? あ、じゃあハルくん、もしかして自炊できる人? すごいじゃん」
素直にそう僕が漏らせば、アキさんはニコニコしながら、『俺は全然出来ないんだよねぇ』とソーサーにカップをゆっくり下ろした。すでに下の名前呼びされてるその事実に、距離感の詰め方が尋常じゃないなと内心恐怖しながら、そんな彼の言葉に、僕はいや、と咄嗟に言葉を濁す。
「料理は……なんというか、必然的に身に付いた、というか……。あまり、外に長く居たくなかったから……」
外だと、否が応でも見聞きしてしまうから。心が安まらず、すぐに疲れてしまう。だからこそ早く家に帰って安心したくて、必然外食はほとんどしなくなった。ただ、そんなことを言えるわけもないから、もごもごと曖昧に言葉を舌で転がしながら返していると、アキさんがあー、と零した。
「そっか。やっぱ、そういう体質だと大変だよねぇ」
「……え」
しみじみと、こちらを心から労るようなその言葉に目を丸くする。まるで、よく分かるとでも言いたげにうんうんと頷く彼の姿に、僕はただ驚いた。
それは、どういう意味なのだろうか。それを聞こうとしたその矢先、アキさんがそれじゃあ、と徐に口を開いた。
「それじゃあ、早いところ本題に入ろうか」
瞬間、すぅ、と、周囲の空気が変わった気がした。
「ハルくん、もう一度聞くよ? 君は、まっかっかさんについて何を知ってるんだい?」
「……っ!」
アキさんの口にしたその言葉に、僕は息を呑む。改めて告げられた先ほどと全く同じ質問に、やっぱり聞き間違いではなかったと思う。
「……なんで」
自然、口をついて出た言葉に、アキさんはきょとんと目を瞬かせた。
「ん? ……それは、君に声をかけたことに対して? それとも、質問内容に対してかな」
僕の短いその言葉にアキさんはそう首を傾げたけれど、正直、どっちにもかかった疑問だった為、両方ですと答える。
「その……僕のことを知ってるのも……それについて、僕が知っているって断定してくる理由も。なんで、なのかなって……」
僕がそう尋ねれば、アキさんはふむ、と顎に手を当てた。
「確かに、君の疑問はもっともだ。……分かった、それじゃあ先に、君の質問に答えてあげるよ」
俺からの問いの対価と考えたら妥当だよね。そう言って、アキさんは口を開いた。
「まず、君に声をかけた理由も、君のことを知っている理由も、初めに言った通りだよ。ある人に相談したら、君を探すようアドバイス頂いた。だから、それ以上でも以下でもない」
そう笑みを湛えながら告げるアキさんの言葉に、僕はアドバイス、と小さく呟く。
恐らくだけど、この件に関してはこれ以上聞いたとして、彼は同じことしか言わないだろう。それをなんとなく雰囲気で察して、それじゃあと、僕は別の方面から質問することにした。
「仕事、って言ってましたよね……。それと、その……まっかっかさんが、どう関わってくるんですか……?」
「あ、そっか。まだ言ってなかったね」
僕の質問を聞くや、アキさんは何かに気付いた様子でごそごそと鞄を漁り出した。そして、あったあったと黒の小さなカードケースを取り出し、はい、とその中から一枚のカードを僕へと手渡してきた。
『回収屋/晴らし屋 木下 アキ』
紙に印字された見慣れない文言の隣には、アキさんの名前と連絡先が。それだけで彼の名刺であることは把握できたのだが、おそらく職業なのだろうその単語に首を傾げてしまう。
「回収……晴らし屋?」
「そ。それが俺の仕事。……と言っても、それだけじゃ分かりづらいか。そうだなぁ、ざっくり言うと、怪奇現象とかの調査みたいなことをしているかな」
「えっ……!」
その時、飛んできたその言葉に、僕は思わず声を漏らした。
「怪奇現象、って……それって、お祓いとかってことですか?」
「あー……まぁ、似たような感じかな」
若干違うところもあるかもだけど、そう言って、アキさんは教えてくれた。
「正直、これについては今、俺から君に上手く説明してあげられなくてね。実際のところは、『念い』の向かう先を辿って、晴らしたり、回収したりしてる。それが俺の仕事なんだけど……」
「おもい……晴らす……回収……?」
「うん、まぁややこしいだろうから、詰まるところ怪奇現象の調査ってことで」
深く気のしないで、と、にこりと笑みを浮かべるアキさんの言葉に、僕は思わずはぁ、と気のない返事を零した。
詳しいことはよく分からなかったけれど、はぐらかされているような感じでもない。だから、今はアキさんの言葉の通り、そこまで深く突っ込まない方がいいだろう。
けれど、これでようやく合点がいった。
つまり、彼が僕のところに来たということは、やっぱり……。
「じゃあ……やっぱりあの事件って、あの子が……」
「……あの子?」
思わず口から溢れた言葉を、アキさんが拾ったものだから、僕は咄嗟に口を手で覆い、いやその、と吃る。けれどその瞬間、アキさんの纏う空気が少し変わったのが分かった。凛と背筋を伸ばさせられる、そんな、少しひりつく空気感。それに、僕は少しだけビクッと肩を跳ねさせてしまう。
「……聞かせてくれるかな?」
その表情にはまだ笑みが浮かんでいるのに、何故か先程までとは違い、有無を言わせない空気を纏う彼の様子に、僕はゆらゆらと視線を彷徨わせる。
「あ、……え、っと……」
元より、彼の話に応じた時点で、僕の答えは決まっていた。そうでなければ、そもそもこの場所に来てすらいない。……けれど。こういった話を他人にしたら、どんな反応が返ってくるか。それを知っているから、どうにも上手く言葉が発せられなくなる。
「その……」
アキさんは何も言わない。僕が答えるのをただ静かに待っている。その沈黙がより僕の緊張を促進させて、ばくばくと鼓動は早くなっていく。
なんて話したら良いのか……そう思考を巡らせているそんな中、不意に手前から、言葉が落とされた。
「心配しなくても、俺は君の見ている景色を否定しないよ」
「え」
瞬間、告げられたその言葉に僕は、咄嗟に顔を上げた。
「……なんで、」
思わず溢れた驚きの声。そんな僕の表情に、アキさんはにこりと笑った。
「君の考えていることは、まぁなんとなく理解している。でも大丈夫、こっちは専門職だ。安心して良い」
「……っ」
今まで言われたことがない言葉。否定しない、理解していると、アキさんは確かにそう言った。その言葉が、どれだけ僕の心を軽くさせたか、彼は知らないだろう。
「……分かりました」
ぽつり、小さく声を落とす。けれど、アキさんの耳には届いたようで、彼は良かった、と笑みを深める。
話すのは、正直まだ怖い。けれど、でも……。あの日見たあの子の姿が、今もまだ目に焼き付いているのも事実で。ずっと、心に蟠っていた。それをなんとかできるというのなら……。
「お話しします。僕が見た……あの子のこと」
***
「あの子を見かけたのは、十日くらい前の夜でした――――」
――――あの日は僕、大学の図書館で今度提出するレポート資料を作ってて。没頭し過ぎて、気付いた時には外がすっかり真っ暗だったんです。知らない内に雨も降り出してて。それで、急いで帰ろうと、大学で傘を借りて帰路につきました。
「その道中、鈴の音が聞こえたんです」
「鈴の音?」
そう口にしたアキさんの言葉に、はい、と頷き返す。
「なんの変哲もない、よく耳にする鈴の音でした。だから、キーホルダーとか、普通に誰かが持っている物が鳴ってるんだろうって、初めは気に留めてなかったんです。……でも、すぐにその可笑しさに気付きました」
――――その鈴の音、雨音が響いてる中でも、嫌にはっきり聞こえるんです。
「実際、そこまで雨足が強かったわけではないんですが……だとしても、異常なくらいはっきり聞こえたんです。……その、なんというか……」
「――――直接頭の中に響くような?」
僕が言い切るよりも先に、手前からそんな言葉が落とされ驚いた。正にそう言おうとした、その矢先だった。
そんな僕の顔を見て、アキさんはなるほど、と何やら訳知り顔で顎に手を置いた。
「ふぅん、なるほど。……それで? その後、君は何を見たんだい?」
「っあ! え、っと……」
――――……鈴の音の異質さに気付いてからは、正直、すぐにその場から立ち去ろうとしました。けどその時……見たんです。女の子を。
「女の子……ああ、それが件の?」
「はい。……赤いレインコートに赤い長靴を履いた、小学生くらいの女の子でした。手には、なんだか古臭いボロボロの番傘を持っていて、一目で、『あ、これ人じゃないやつだ』って思いました」
そこで話を区切った後、僕は目線を落としながら話を続けた。
「アキさんがお気付きのように、僕は人じゃないものが見えます。……昔から」
この手の話を他人にするのなんて初めてで、少し声が震える。『今時幽霊なんて』。食堂で聞いたあの言葉が、ふと頭を過ぎる。
アキさんがどんな反応をするのか、どれだけ心構えをしてもやっぱり怖さはあって。それでも、どうしても知りたいから、ぎゅっと膝の上で手を握り締め、口を開いた。
「……その……アレってやっぱり、幽霊ってやつ、なんですよね……?」
か細い声で、そう、質問とも確認とも取れる言葉を口にする。ようやく、昔から抱いていた問いの答えがもらえる。そんな気持ちで、次第に早くなる鼓動を抑え、アキさんからの答えを待った。
けれど、アキさんは予想に反し、んー、と煮え切らない声を漏らした。
「んー……そうとも言うし、そうじゃないとも言えるかなぁ」
「え?」
予想とは違うその言葉に、僕は思わず顔を上げる。なんだか久しぶりに合った気がする視線の先で、アキさんはからりと笑ってごめんねと続けた。
「正直、これについては俺も上手く説明できないんだよねぇ」
「どっ、どうしてですかっ?」
専門家なら、アレが何かを知っているんじゃ……!そう尋ねた僕に対し、アキさんはひどくあっけらかんとした声音で告げた。
「だって俺、霊感とかそういうのないからさ」
その、衝撃の言葉に。僕は、時間が止まった心地がした。
「…………えっ⁉︎」
そう、ひどく事もなげにそう言い放つ彼の様子に、僕は今日一衝撃を受ける。
「え……え? そんな……僕、てっきり……」
怪奇現象の専門家だと明言するくらいだから、僕同様、いや、それ以上に幽霊とかそういうことに悩まされているんだと、そう思っていたというのに……。まさかの否定の言葉に動揺してしまう。
霊感がない?それじゃあどうやって、怪奇現象の調査とか、仕事をするんだ?
そんな僕の心情に気付いたのか、アキさんはまたニコッと笑みを深くした。
「あ、でも安心して? 確かに俺は見えないけど、仕事はしっかりこなすからさ。だからほら、話の続きといこうよ」
「ぅえっ?」
「ほらほら、時間は有限だよ?」
「えぇ……?」
それでも気になるようなら、今は幽霊みたいなモノって思ってくれてていいし。なんてこちらを急かしながらアキさんが言うから、僕は想定外の情報に脳が処理しきれていないというのに、結果促されるまま話を続けてしまった。
「じゃ、じゃあ……。えっと……女の子の話までいきましたよね? ……それで、すぐに僕、自分が見えていることを隠そうと、咄嗟に対処したんです。そういうのに関わると碌なことがないのは、身に染みて理解してるんで」
「うんうん、そうだね。確かに、それが正解だ」
こういうのの対処は、『気付かないフリ』が一番効果が高い。なんて、アキさんはうんうんと何度も頷きながら僕の言葉を首肯してくれた。……ただ、さっきの話だとアキさんはそもそも見えていないのだから、そもそも気付かないフリではないんじゃないかと思うんだけど。そこを突っ込むのは流石にやめた。
「その後は、すぐにその場から離れないとって必死で。向こうに気付かれないよう、駆け出さないように緊張しながら、足を動かしたんです。路地を少し抜けた先は人通りが多い道だったから、そこまで行けばきっと大丈夫だろうから、振り返らず歩こうって。――――でも、その時、」
――――『お願い』。
「――――そう、聞こえたんです」
まるで、さっき聞いた鈴の音のように繊細な、綺麗で、けれど凛とした声だった。今までに耳にしたことのある声とは、明らかに質の違う、そんな声。
「恨み辛みとか、悲嘆めいた声は聞いたことがあったけど、そういった類の声は今まで聞いたことがなかったので、咄嗟に振り返ってしまったんです。でも、その時にはもう、その少女はいなくて……。その翌日からです。大学でまっかっかさんの噂が流れるようになったのは」
話に出てくる少女の特徴は、確かに僕が見た少女のそれで。その時、僕は初めて、最近起きている連続殺人との関連した話を知りました。
「初めは、そんな訳ないって思ったんです。幽霊が人殺しなんて、僕だって見たことがなかったから。……でも」
そこで言葉を切り、僕は緊張からカラカラになった喉を潤そうと、ごく、と唾を飲み込む。
「あの路地で、あの子を見たあの日。……その道の奥で、三件目の事件が起きているのをニュースで知って……ゾッとしました」
あの日、僕、大学で借りた傘が赤かったんです。だから助かったんじゃって……あの噂は本当なんじゃ、って。
「それで怖くなって、いつもみたいに見ないフリをしようとしました。…………でも。どうしても、あの子の声を思い出してしまうんです」
今だって、まだ怖い。ずっと、こういうことには関わらないようにしてきたから。
……けれど。あの子は確かに、僕に何かを伝えようとしてきた。だから……アキさんのお仕事の手伝いという形でも、あの子に何かしてあげられるのなら。僕のこの力にも、何か意味を見出せるかもしれない。
「これが、僕が知っているまっかっかさんについてです」
そう区切り、ちらりと手前を見る。何故か、アキさんが途中から一言も話さなくなってしまったから、つらつらと長く話してしまったが……これで良いのだろうか。
そんなことを思っていたのだが、視界に映ったアキさんの表情を見たその時、僕は思わず目を丸くしてしまった。
「ア……アキさん?」
視線の先で、アキさんはただ静かに、俺の話を聞いてくれていた。けど、その目は酷く驚いた様子でまん丸に見開かれていて、きょとんといった効果音が似合う表情でこちらも驚いた。
一体何故、そんな顔をしているのだろう。……そう思っていると、アキさんがようやく口を開いた。
「……ハルくん、君……声を聞いたの?」
「え……? は、はい」
「それって今回だけ? ……いや、さっきの口振りからすると、昔からよくあるのかな」
「あ、えっと、はい。昔から、です」
アキさんからの質問に、首を傾げながらも素直に答える。何をそんなに驚いているのだろうか……。
「……ふむ。そうか……そういうこと……」
すると、アキさんは、今度は得心した様子で一度頷き、よし、と徐に席を立った。
「分かったよ、ハルくん。君のおかげで、凡その概要は把握できた。ありがとう」
「えっ? あ、そ、そうですか? それなら、良かったです」
少し変な間はあったけれど、どうやらアキさんが知りたかったことについては、今ので終わったらしい。それにホッと安堵していると、不意に自分の目の前に手が差し伸べられた。
「うん、それじゃあ行こうか!」
「……ん?」
次いで、笑顔交じりに飛んで来たその言葉に、僕は思わず眉間に皺を寄せる。
聞き間違いだろうか。今、行こうかって言われた気が……。
「え、っと……行くって、どこに?」
これで終わりじゃ?そう、僕が現状を把握仕切れずにいると、また、眼前からはち切れんばかりの笑顔を向けられた。
「決まってるだろう? まっかっかさんの念いを晴らしに、だよ!」
「……へっ⁉︎」
「どうやら、君がいれば話が早そうだからね。もう少し俺についてきてよ」
まぁ、俺は見えないけどさ!そう、意気揚々と言い放ったアキさんに……流石の僕も、驚きが隠せなかった。
「え、……えぇえええっ⁉︎」
「じゃ、レッツゴー!」
そうして僕は、半ば無理矢理に、有無を言わさない形で喫茶店から連れ出されることとなった。
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