戦争に行った幼馴染に恋する孤児の少女は、娼婦として育てられる。

‪α‬缶

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第三章 娼婦になるために

12 本物を教えてあげる*

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 アース様の部屋に通い始めてから1週間。私はすっかり胸でイけるようになってしまった。

「少し成長してきたわね~。」

 久しぶりに会ったモリガン様は、私の胸を軽く揉みながら嬉しそうに言う。

「あのっ…こそばゆいです…」

「ふふ、ごめんごめん。」

 私の胸から手を離すと、モリガン様は言った。

「今日はね、あなたに本物の性行為というものを教えてあげようと思って。」

 ――本物の性行為…?

 モリガン様から悪戯心を含んだ嬉しそうな気持ちが伝わってくる。何を企んでいるのだろうか。

「というわけで、この後アースが部屋に来るのよ。あなたは隠れてて。」

と、モリガン様は私のクローゼットの中に誘導した。

*

 真っ暗なクローゼットの中でも、モリガン様の匂いが充満していた。洗濯してあるだろうに、甘い香りが漂っていて、嗅ぎなれたその匂いに安心する。

 しばらく経つと、アース様がやってきたようだった。ベッドの軋む音と、リップ音が聞こえる。

「あっ……アース……はぁっ……んん……」

「ふーっ…ふーーっ……」

 アース様の荒い息使いと、モリガン様の嬌声が響き渡る。私は邪魔をしないように、真っ暗な空間で息を潜めていた。

 ――あのアース様が興奮している…?相手を慈しむ気持ち。独占欲が満たされたような安らぎ。愛しくてたまらないといった感情が溢れている。アース様はモリガン様を本気で愛しているんだわ…。

 モリガン様も溺れるように、心も身体も満たされて、アース様を感じているのだろう。視覚的に見えなくても、蕩けきった様子が目に浮かぶように分かる。

 ――すごく幸せそう…。

 私の時とは全く違う2人の様子に、気づけば私も興奮してしまって、自慰行為を始めていた。

「はぁ……モリガン………ッ」

「んぁっ……あ……っ、もっと、…んぅ……もっとちょ、らい……」

「んぅ………ッ」

 パンパンと肌のぶつかる音や、ぐちゅぐちゅと言った愛液のいやらしい音も聞こえてくる。ぷしゃあああという何かが溢れる音も聞こえた。何がおこっているのだろう。

 しばらく行為が続くと、モリガン様が悲鳴のように喘ぎ始める。

「もぉ……もぉだめ……また………あっ……あああッ……んぅッ」

 途中で口を塞がれたのだろうか、その声は聞こえなくなったが、2人の心の声で行為が続いていることはよく分かった。そして今まで感じたことのないような圧倒的多幸感に、私は大きく心を揺さぶられた。

 ――あっ、多分いま、モリガン様がずっとイッてる。

 見えなくても、感情の揺らぎや変化で何が起きているかは分かった。

 ――私もいつか、左京とこんな性行為ができるのかしら…。会いたい…。

 そんな事を思いながら、息を潜めて自分の秘部を下着越しに触る。モリガン様の甘い香りにクラクラしてくる。 

 しばらくすると、モリガン様の意識がプツンと飛んだ。おそらく気絶したのだろう。

 しばらく興奮が治まらずドキドキとした胸に手を当てていると、何やら少し不機嫌な感情が流れ込んできた。

 ――あれっ?どうして?

 おかしいと思った瞬間、クローゼットの戸が開いた。

*

「おい、趣味が悪いぞ…。」

 ガウンを雑に羽織ったアース様が立っている。

「どういうつもりだ?」

 いつから気づいていたのだろうか。行為を覗き見されれば不機嫌な様子は納得できる。

「えっと、モリガン様に…本物の性行為を教えてあげるって…隠れているように言われたんです…」

 アース様は、はぁ、と溜息をつき、私に言った。

「とりあえず、ベッドのシーツを変えておいてくれるか?俺は湯とタオルをとってくるから。」

 モリガン様は裸のままバスタオルに包まれており、ソファーに移動させられたようだ。

「分かりました。」

 アース様がふらふらと部屋を出ていくと、早速ぐしゃぐしゃになったシーツの交換をした。バスタオルを敷いていたためかあまりシーツは汚れていないが、それでもところどころ湿っており、アース様もかなり出したであろう事がわかる。

 シーツを取り換え、モリガン様をベッドに移動させる。するとモリガン様の身体の至る所に赤い所有痕…いわゆるキスマークが散らばっている事に気がついた。

 気になって寝かせた状態で膣に指を入れると、どろっと白濁が溢れてくる。そうとう中にも出したらしい。

 ――アース様…クールそうに見えて独占欲は強いのね…。

 モリガン様に恋してしまったら、嫉妬する相手が多すぎて大変だろうに。でもそれくらいの愛情がないと、辺境伯など務まらないのかもしれない。

 私はモリガン様を包んでいたバスタオルで溢れた愛液を拭き、アース様の帰りを待った。

 アース様は部屋に戻ってくると、お湯であたためたタオルでモリガン様の身体を拭き始めた。手伝いを申し出たが、断られてしまった。

「で、お前はいつまでいるんだ?」

「あの…分かりません…」

「もう帰っていいぞ。俺はモリガン様以外には勃たないからな。」

 ――そうでしょうね。あんなに私に触れても無反応だったんですもの。

 お前とはできないとはっきり言われ、少し複雑な感情になりながらも、私は部屋を出ることにした。

 おそらく、あの男は今夜はモリガン様の部屋に泊まるんだろうな。となりで添い寝しながら、満足気にぬくもりを感じて、眠りにつくのだろう。モリガン様は…もしかしたら昼頃まで寝ているかもしれない。とても激しそうだったし、満足げだったので、身体を休めることだろう。

 ――それにしても、アース様の意外な一面を知ってしまったな。二人の関係は身体だけじゃないんだ。

 無表情な男の真実を目のあたりにし、私は夜道に気をつけながら、自分の部屋に帰るのだった。

*

 モリガン様とアース様の性行為を覗いてから、しばらく経った。私は2人から奉仕の仕方を教わった。

 どうやらファムファタールは淫具の取り扱いをしているらしく、調教用の器具もいくつかあるらしい。そのひとつの男根を模した淫具を胸に挟んで、私は訓練することになった。今日はモリガン様の前で必死でソレを舐めたり咥えたりしている。

「ん~、きつそうね。サイズは普通なんだけど。」

 よしよしと頭を撫でながらも、モリガン様は辞めさせる気がない。

 ――喉がきつい…。

「もう大丈夫よ。次は股に挟んでみて。」

 私は言われた通りに股に挟んで腰を振る。

「唾液だけじゃ足りないかしら。香油足してみる?」

 私がうまくできていないからか、モリガン様は手助けしてくれる。

「んっ……ぬるぬるする……っ」

「そうね。中に入れなくても気持ちいいんじゃない?」

「こそぐったいです…」

「あなた、あんまり挿入好きじゃないものね。」

 挿入は好きじゃない。それは左京以外に身体を許したくないからだ。

「まあ、16歳までは挿れられる事はないでしょうよ。アースは勃たないし、私は女だから、それ以上の事はその時がきたら支配人に習いなさい。」

 ――それはつまり、支配人とはしなきゃいけないってことですか…?

「ふふ、嫌そうね。支配人はいい人よ。とりあえず、私が知る中では一番上手。まあ、数こなしてるだろうから当たり前か。」

 ――あなたより数をこなしている人がいるんですか?

「不思議そうにしてるわね。やれば分かるわよ。腰の動き、鈍くなってるわ。」

「ん……っ、んっ………。」

 モリガン様に指摘され、慌てて一生懸命に腰を振る。

「あなたは誰かさんのせいで魅了が効かないから、自力で何とかするしかないわ。気持ちいいことに素直になれば、仕事が楽しくなるわよ。」

 そう言ってモリガン様は私の胸を触る。

「あっ……だめです…っ、いまは………。」

「そうなの?」

 モリガン様はいたずらっぽい笑みを浮かべて私の胸をゆっくり揉み始めた。

「ああ……んんっ……ふぅ………」

「私とアースのえっち、感じたでしょう?あんな感じでできたら、みんな最高よ。幸せになれるわ。本気じゃなくていい、疑似恋愛でいいのよ。好きの気持ちを知ってるなら、できるわよね?」

「あっ……ああ………もりがん、さま………」

「ふふ、かわいいわね、うさこ。」

 胸の刺激が気持ちよくて私がイッてしまうと、モリガン様は優しく口付けをしてくる。

「大好きよ、うさこ。あなたの幸せを願っているわ。」


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