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黒龍(クロ)との出会い
二人の秘密
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荒々しい熱が少し冷め、クロの身体の上に聖が抱え上げられ、顔が触れそうなくらい近くて二人は微睡んでいた。
「誰かと身体を繋げる事が出来るなんて、誰も教えてくれなかった」
聖が突然そう呟いた。
「他の奴には言うなよ」
クロは慌てて、聖に言う。
「なんで?兄さんや妹には?」
…ああ、ソコからか…。
普段は他人と離れて生活しているのは分かっていたが、兄妹にそんなことを報告しなくていい。
誰も、そんな話を…兄はまだしも、妹に言うことではない。
しっかり念を押しておかなくては…。
「それもダメ。二人だけの秘密だ」
「二人の秘密?」
聖が不思議そうに首を傾げる。
…そんな仕草が可愛くて、収まっていた筈の熱がもたげてくる。
「俺に触られて、気持ち良くなって、声を上げている事を、誰かに知られたい?」
「やだ。恥ずかしい…」
聖は思い出してか、頬を染める。
「だったら言うなよ」
「わかった」
クロは聖の唇にチュッと触れさせると微笑んだ。
「二人の秘密な」
「うん」
聖のその笑顔にクロは決意した。
いっぱい、二人だけの秘密を作ろう。
聖の中に家族では味わえない、ドキドキや、ワクワク、いろんな感情を与えてやりたい。
時には寂しい事や、辛いことも有るかもしれないけれど、もっと笑わせてあげたいと思った。
聖が目覚めると、クロに抱き抱えられていた。
庭側の磨りガラスから、明るい日差しが部屋の中に差し込んでいる。
身体を起こすと腰と背中に痛みを感じた。
普段、身体を動かさないのに、無理な体制で、身体を重ねたりしたから、筋肉痛だ。
キズ痕も赤く腫れ上がって、少し熱を持っている。
聖はクロを起こさないように身体を離し、寝巻き浴衣を羽織ると、風呂場に向かいシャワーを浴びる。
シャワーを浴びながら、ここ数日の劇的な変化を思い出していた。
これから僕は、どうしたいんだろう。
クロは、どうするのだろう。
新しい寝巻き浴衣に着替えて、部屋に戻ってもクロはまだ、眠っていた。
「クロ…」
「んっ…」
聖が顔を覗かせると、頭が引き寄せられて唇が啄められる。
「…いい匂いが…する…」
「シャワー浴びたから。クロも入ってくると良いよ」
「ああ」
布団から出だクロの裸ににドキドキして、背中から脇腹に向けて赤く腫れ上がったキズ痕が見え、お揃いなどと、変な風に思って恥ずかしくなって、クロに気付かれないように、昨日脱ぎ捨てた寝巻き浴衣を差し出した。
クロは受け取り、羽織ると、風呂場に向かって歩きだした。
聖は布団を畳始めて気が付いた。
シーツがぐちゃぐちゃ…。
聖は昨日の夜の事を思い出し、真っ赤になって、布団からシーツを引き剥がし丸めた。
「洗濯を…しないと…」
そう言えば、クロの部屋で触り合ったとき、…そのまま…使ってた…。
思い出しそうになって、頭を振り、布団を片付け始めた。
「おはよう。ひーちゃん。起きてる?」
玄関先から声が、聞こえた。
「紅ちゃん」
聖は玄関に向かい、鍵を開けると、幼馴染みの紅緒が、立っていた。
「これ、忘れ物。大輔の所に置いたままだったよ」
差し出されたのは、町で買い物したときの、鞄。
「ありがとう」
「で、あいつは?」
「いるよ」
「…。もう昼だけど、朝食を食べた?食べたら、ちょっと借りてくから」
「まだ、これから。紅ちゃんも食べていく?」
「お茶だけもらうわ」
そう言って紅緒が部屋と中へ上がってくる。
聖は台所で、冷蔵庫の物を温め、テーブルに乗せ準備していると、クロが風呂から上がってきた。
「…昨日の…」
「あなたには話があるの。食事が済んだら送っていくわ」
「…。」
クロと聖は顔を見合わす。
2人が食事をするのを、紅緒はお茶を啜りながら、見ていた。
食事が終わり、紅緒に送ってもらうため、車に乗り込むクロが、振り向いて聖を見る。
「…また、ここへ来て良いか?」
「うん。また来て…」
二人の視線が絡み合う。
「ほら、行くわよ」
紅緒に促され、クロが車に乗り込んだ。
そして、車が町の方に向かって遠退いていく。
それを見送りながら、寒くなって震えた。
いつも一人で居ることに慣れていたのに、なんだか寂しく思えた。
「誰かと身体を繋げる事が出来るなんて、誰も教えてくれなかった」
聖が突然そう呟いた。
「他の奴には言うなよ」
クロは慌てて、聖に言う。
「なんで?兄さんや妹には?」
…ああ、ソコからか…。
普段は他人と離れて生活しているのは分かっていたが、兄妹にそんなことを報告しなくていい。
誰も、そんな話を…兄はまだしも、妹に言うことではない。
しっかり念を押しておかなくては…。
「それもダメ。二人だけの秘密だ」
「二人の秘密?」
聖が不思議そうに首を傾げる。
…そんな仕草が可愛くて、収まっていた筈の熱がもたげてくる。
「俺に触られて、気持ち良くなって、声を上げている事を、誰かに知られたい?」
「やだ。恥ずかしい…」
聖は思い出してか、頬を染める。
「だったら言うなよ」
「わかった」
クロは聖の唇にチュッと触れさせると微笑んだ。
「二人の秘密な」
「うん」
聖のその笑顔にクロは決意した。
いっぱい、二人だけの秘密を作ろう。
聖の中に家族では味わえない、ドキドキや、ワクワク、いろんな感情を与えてやりたい。
時には寂しい事や、辛いことも有るかもしれないけれど、もっと笑わせてあげたいと思った。
聖が目覚めると、クロに抱き抱えられていた。
庭側の磨りガラスから、明るい日差しが部屋の中に差し込んでいる。
身体を起こすと腰と背中に痛みを感じた。
普段、身体を動かさないのに、無理な体制で、身体を重ねたりしたから、筋肉痛だ。
キズ痕も赤く腫れ上がって、少し熱を持っている。
聖はクロを起こさないように身体を離し、寝巻き浴衣を羽織ると、風呂場に向かいシャワーを浴びる。
シャワーを浴びながら、ここ数日の劇的な変化を思い出していた。
これから僕は、どうしたいんだろう。
クロは、どうするのだろう。
新しい寝巻き浴衣に着替えて、部屋に戻ってもクロはまだ、眠っていた。
「クロ…」
「んっ…」
聖が顔を覗かせると、頭が引き寄せられて唇が啄められる。
「…いい匂いが…する…」
「シャワー浴びたから。クロも入ってくると良いよ」
「ああ」
布団から出だクロの裸ににドキドキして、背中から脇腹に向けて赤く腫れ上がったキズ痕が見え、お揃いなどと、変な風に思って恥ずかしくなって、クロに気付かれないように、昨日脱ぎ捨てた寝巻き浴衣を差し出した。
クロは受け取り、羽織ると、風呂場に向かって歩きだした。
聖は布団を畳始めて気が付いた。
シーツがぐちゃぐちゃ…。
聖は昨日の夜の事を思い出し、真っ赤になって、布団からシーツを引き剥がし丸めた。
「洗濯を…しないと…」
そう言えば、クロの部屋で触り合ったとき、…そのまま…使ってた…。
思い出しそうになって、頭を振り、布団を片付け始めた。
「おはよう。ひーちゃん。起きてる?」
玄関先から声が、聞こえた。
「紅ちゃん」
聖は玄関に向かい、鍵を開けると、幼馴染みの紅緒が、立っていた。
「これ、忘れ物。大輔の所に置いたままだったよ」
差し出されたのは、町で買い物したときの、鞄。
「ありがとう」
「で、あいつは?」
「いるよ」
「…。もう昼だけど、朝食を食べた?食べたら、ちょっと借りてくから」
「まだ、これから。紅ちゃんも食べていく?」
「お茶だけもらうわ」
そう言って紅緒が部屋と中へ上がってくる。
聖は台所で、冷蔵庫の物を温め、テーブルに乗せ準備していると、クロが風呂から上がってきた。
「…昨日の…」
「あなたには話があるの。食事が済んだら送っていくわ」
「…。」
クロと聖は顔を見合わす。
2人が食事をするのを、紅緒はお茶を啜りながら、見ていた。
食事が終わり、紅緒に送ってもらうため、車に乗り込むクロが、振り向いて聖を見る。
「…また、ここへ来て良いか?」
「うん。また来て…」
二人の視線が絡み合う。
「ほら、行くわよ」
紅緒に促され、クロが車に乗り込んだ。
そして、車が町の方に向かって遠退いていく。
それを見送りながら、寒くなって震えた。
いつも一人で居ることに慣れていたのに、なんだか寂しく思えた。
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