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海
始めてのお出かけ
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夏休みが終わり、残暑が残る天気の良い日に、黒龍は聖と共に、海に向かった。
小納谷から遅い夏休みをもらい、二泊三日の小旅行だ。
あれから車の内装は改良され、窓にカーテンを付け、後ろの座席は靴を脱いでくつろげるスペースを大きく作り、座席下の収納には、タオルやレジャーシート、紐やハサミなどの小物を詰め込んだ。
前の座席の背中に、飲み物や非常食を入れる、ポケット付の棚を取り付けた。
前の座席のと境目にもカーテンを付け、普段は開けているが、すべてのカーテンを閉めれば、後ろの座席の中は全く見えないようにした。
これなら、外から見えないだろう。
荷物置きのトランクは少し狭いが、仕事仲間の徹が、貸してくれた、蛇口付の水のタンクと、クーラーボックスを一つづつ積んで来ている。
水のタンクは砂のついた足を洗うのに使ったり、手を洗うのに、海水で洗うわけにもいかないから、一つはあった方が良いと言われたからだ。
こう言う時は、よく行っている人に聞くのが一番だ。
道も徹に教えてもらい、地図と休憩所のある場所も教えてもらった。
俺も車で遠出は始めてなので、ドキドキする。
無事にたどり着けるだろうか…。
聖は嬉しそうに助手席に座り、外を眺めている。
出発したのは、少し早めの昼御飯を食べてからだった。
本当はもう少し早めに出発する予定だったのだが、大輔にお弁当と、おつまみなどを取りに来いと言われて、小納谷へ寄ると、色々と注意事項や明日泊まる宿の場所の説明など、話が始まってしまい、出発出来なかったのだ。
急ぐ旅ではないが、海に沈む夕焼けを聖に見せて上げたいから、それまでにたどり着いてくれれば問題無かった。
町中を抜け、山間の道を走る。
木々が木陰を作るトンネルを走り、時折、日差しが車を照りつける。
しばらく同じ風景が続くと、急に目の前が開け、隣町に入った。
そこから真っ直ぐ道沿いに、田んぼの稲が青々とした農村地域を走る。
チラリと聖を見ると、聖は珍しそうに、ずっと外を眺めている。
首が痛くならないかな…と、心配する程に…。
徹が言っていた、休憩所、道の駅が見てえ来て、黒龍は休憩のために駐車場に入った。
夏休みも終わり、車の止まっている台数は少ない。
込み合っていないから、聖にとっても、気は楽かもしれない。
時計を見ると、一時間以上は走っていたみたいだ。
車を停め、降りて背伸びをしていると、聖が辺りをキョロキョロと見始めた。
「あれは何?」
「多分、道の駅のお土産屋さんとか、食堂になっているところだと思うが…」
黒龍も始めてくるから、はっきりは分からないが…。
「行ってみたい」
聖はソワソワと黒龍を見てくる。
興味を持ってくれたのは嬉しい。
「行こうか」
黒龍は聖と道の駅に入っていった。
聖は楽しそうに店の中を見て回った。
こう言う所にしか無い物も有るから、珍しいのだろう。
「あれは何?」
聖が興味を持って、指差したのは、ソフトクリーム。
「アイスだ。…そうか、こう言うのは小納谷には無いからな…」
「うん。お皿に入ったのしか食べたこと無い」
「食べてみるか?」
「うん」
黒龍はカウンターでソフトクリームを注文すると、聖はソフトクリームがコーンに乗せられていく状態を眺めていた。
「すごい…落とさずに、乗っかっている…」
そうか、こう言うのも見てないか…。
黒龍は子供その頃、よく見ていた光景だが、聖は知らないみたいだ。
出来上がったソフトクリームを手渡され、聖はドキドキしながら持っている。
「落ちたりしない?」
「真っ直ぐに持って、溶けない内に食べれば大丈夫だ」
黒龍は近くのベンチに座り、聖も恐々持ちながら、ベンチ座る。
「食べないと、溶けるぞ」
そう言って、黒龍はソフトクリームに顔を近付け、先端にかぶりついて、一口食べる。
冷たくて甘いな…。
「あーっ」
聖が、黒龍を見てくる。
「聖が食べないからだ」
そう言って黒龍は笑った。
きっと、どこから食べて良いのか迷っていてのかもしれないな…。
「溶けて来たぞ」
聖は慌ててソフトクリームを舐めだす。
「冷たくて美味しい…」
聖はニコニコとしながら、ソフトクリームを食べ始めた。
小納谷から遅い夏休みをもらい、二泊三日の小旅行だ。
あれから車の内装は改良され、窓にカーテンを付け、後ろの座席は靴を脱いでくつろげるスペースを大きく作り、座席下の収納には、タオルやレジャーシート、紐やハサミなどの小物を詰め込んだ。
前の座席の背中に、飲み物や非常食を入れる、ポケット付の棚を取り付けた。
前の座席のと境目にもカーテンを付け、普段は開けているが、すべてのカーテンを閉めれば、後ろの座席の中は全く見えないようにした。
これなら、外から見えないだろう。
荷物置きのトランクは少し狭いが、仕事仲間の徹が、貸してくれた、蛇口付の水のタンクと、クーラーボックスを一つづつ積んで来ている。
水のタンクは砂のついた足を洗うのに使ったり、手を洗うのに、海水で洗うわけにもいかないから、一つはあった方が良いと言われたからだ。
こう言う時は、よく行っている人に聞くのが一番だ。
道も徹に教えてもらい、地図と休憩所のある場所も教えてもらった。
俺も車で遠出は始めてなので、ドキドキする。
無事にたどり着けるだろうか…。
聖は嬉しそうに助手席に座り、外を眺めている。
出発したのは、少し早めの昼御飯を食べてからだった。
本当はもう少し早めに出発する予定だったのだが、大輔にお弁当と、おつまみなどを取りに来いと言われて、小納谷へ寄ると、色々と注意事項や明日泊まる宿の場所の説明など、話が始まってしまい、出発出来なかったのだ。
急ぐ旅ではないが、海に沈む夕焼けを聖に見せて上げたいから、それまでにたどり着いてくれれば問題無かった。
町中を抜け、山間の道を走る。
木々が木陰を作るトンネルを走り、時折、日差しが車を照りつける。
しばらく同じ風景が続くと、急に目の前が開け、隣町に入った。
そこから真っ直ぐ道沿いに、田んぼの稲が青々とした農村地域を走る。
チラリと聖を見ると、聖は珍しそうに、ずっと外を眺めている。
首が痛くならないかな…と、心配する程に…。
徹が言っていた、休憩所、道の駅が見てえ来て、黒龍は休憩のために駐車場に入った。
夏休みも終わり、車の止まっている台数は少ない。
込み合っていないから、聖にとっても、気は楽かもしれない。
時計を見ると、一時間以上は走っていたみたいだ。
車を停め、降りて背伸びをしていると、聖が辺りをキョロキョロと見始めた。
「あれは何?」
「多分、道の駅のお土産屋さんとか、食堂になっているところだと思うが…」
黒龍も始めてくるから、はっきりは分からないが…。
「行ってみたい」
聖はソワソワと黒龍を見てくる。
興味を持ってくれたのは嬉しい。
「行こうか」
黒龍は聖と道の駅に入っていった。
聖は楽しそうに店の中を見て回った。
こう言う所にしか無い物も有るから、珍しいのだろう。
「あれは何?」
聖が興味を持って、指差したのは、ソフトクリーム。
「アイスだ。…そうか、こう言うのは小納谷には無いからな…」
「うん。お皿に入ったのしか食べたこと無い」
「食べてみるか?」
「うん」
黒龍はカウンターでソフトクリームを注文すると、聖はソフトクリームがコーンに乗せられていく状態を眺めていた。
「すごい…落とさずに、乗っかっている…」
そうか、こう言うのも見てないか…。
黒龍は子供その頃、よく見ていた光景だが、聖は知らないみたいだ。
出来上がったソフトクリームを手渡され、聖はドキドキしながら持っている。
「落ちたりしない?」
「真っ直ぐに持って、溶けない内に食べれば大丈夫だ」
黒龍は近くのベンチに座り、聖も恐々持ちながら、ベンチ座る。
「食べないと、溶けるぞ」
そう言って、黒龍はソフトクリームに顔を近付け、先端にかぶりついて、一口食べる。
冷たくて甘いな…。
「あーっ」
聖が、黒龍を見てくる。
「聖が食べないからだ」
そう言って黒龍は笑った。
きっと、どこから食べて良いのか迷っていてのかもしれないな…。
「溶けて来たぞ」
聖は慌ててソフトクリームを舐めだす。
「冷たくて美味しい…」
聖はニコニコとしながら、ソフトクリームを食べ始めた。
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