神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
139 / 462
カザンナ王国

キリトの子守り 2

しおりを挟む
 屋敷を離れ、離宮に来ると、また、勝手が違って大変だった。
 連絡は伝わっていたが、屋敷のように気楽さはなく、始終、気を抜けなかった。
 ルーク王子、御一行様の使用する部屋は三部屋。
 説明を受けながら、使い方、使用する物、食事をする場所など、彼らが来るまでに覚えることはたくさん有った。
 ルークが、使い勝手と場所を把握して欲しい、と、言っていた意味が分かった気がする。
 キリトの部屋は、空いていた使用人部屋を借りた。
 屋敷の部屋より広かったが、慣れないので落ち着きはしなかった。


 数日後。
 ルークがリーンと子供達を家族に会わせるため、離宮に来ると連絡が入った。
 離宮内は慌ただしくなったが、俺はリーンと子供達に会えるのが楽しみだった。
 …驚くだろうか。

 ルーク王子、御一行様がたどり着いたのは、まだ少し明るい夕方だった。
 リーンとルーク、ジーンはジェスに抱っこされ、ユーリはガーディに抱っこされて離宮内に入ってきた。
 離宮の入口では執事達が出迎え、俺は中の広場で待っていて、リーン達を出迎えた。
「お待ちしておりました」
「キリト!」
 穏やかに微笑んで出向かえると、リーンは目を丸くして驚いていた。
「ルーク!?」
 ルークは楽しそうに微笑んでいた。
「…見知った者がいた方が安心だろ?一足先に、こっちに来てもらって、場所の把握をしてもらったんだ」
 彼もリーンの為に、何が良いかを考えて行動する、良い奴なのだ。
「どうぞこちらへ」

 キリトは二階の奥の部屋へと案内して、部屋の中に入っていくと、リーンが声をかけてきた。
「姿を見なかったから、用事があって、どこかに出掛けているのだとは思ったけれど…」
「…俺がリーンの為以外の事に、動くわけ無いだろ」
 離宮の人目を気にしなくて良い部屋の中に入り、キリトはいつもの口調で言う。
「…子供達の側から離れなかったが、リーンの為に離宮に行って、身の回りの事をしてあげれるように、して欲しい。と、頼んだんだ」
「そうだったんだ…」
 俺にとって『リーンの為に…』が、基準だからな…。
 それより…。
「…子供達を風呂に入れようか?と、言うか、久しぶりに入れさせてくれ」
 ほんの数日だが、やはり離れていて寂しかった。
 後から入ってきたジェスがジーンを降ろし、ガーディがユーリを降ろしてくれ、キリトはしゃがみこんで両手を広げた。
「ジーン、ユーリ。お風呂入ろう」
 そう言うと、二人はよちよち歩いて、笑みを浮かべて向かってきてくれた。 
 嬉しいぞ!ジーン!ユーリ!
 二人がキリトの腕の中に到着すると、ギュッと抱き締めて温もりを感じ、両脇に二人を抱えて立ち上がり、バスルームに向かった。
「着替え、よろしく」

 
 夕食が終わり、各自あてがわれた部屋に移動した。
 久しぶりに会ったジーンとユーリは、嬉しいことに離れようとせず、一緒に寝ることになって、リーン達の隣の部屋へ連れて行って、大きなベッドに三人で寝転がった。
 移動の疲れか、子供達は直ぐに寝入ってしまい、俺も寝かかった時に、隣の部屋から声が聞こえてきた。
「ああっ…んっ…あっあっ…んんっ…」
「……。」
 二人とも、俺が隣の部屋にいることを忘れているだろう…。
 久しぶりに会って、同じ部屋にいればそうなる気はしたが…。
「あああっ…いぃ…そこ…あああっ…あっあっ…ああっ…!!」
 リーンの声が響き渡る。
「んっ…」
 ジーンが寝返りをうつ。
 おいおい、せっかく寝ているのに目が覚めてしまうだろ…。
 キリトは仕方なく起き上がって、隣の部屋の扉をコンコンと、ノックした。
「チビ達が起きるから、もう少し、静かにヤってくれ…」
 分かってくれたか?
 部屋の中からクスクスと笑い声が聞こえた。
 少しは、気を付けるだろう…。
 キリトは部屋に戻り、ジーンとユーリの間に入って、川の字になって目を閉じた。


 リーン達はきらびやかな服を着て、昼過ぎに王城に向かっていった。
 今夜も泊まるので、帰ってくるまでに、離宮の使用人達と一緒に、部屋の掃除をした。
 俺は言われるままに、シーツを替えたり、バスルームの掃除をしたり…。
 やることはたくさん有った。

 夕食後、リーンとルーク、ジェスとアオが街に出掛けていった。
 リーンにカザンナ王国の夜の街を見てもらいたいからだと言っていた。
 そうだな…一人では王都の街など歩けない。
 きっと迷子になってしまう…。
 幸いにも、ガーディとカズキは残ってくれるので、子供達の心配はない。


 翌日の昼過ぎ、リーン達はお屋敷に向かって帰っていった。
 本当は一緒に帰りたかったが、後始末が残っていた。
 部屋の掃除と忘れ物がないかを確認して、遅れての出発だ。
 そろそろ離宮を離れて帰ろうと、執事に挨拶をしていた時だった。
 通信魔法が入り、呼ばれて行くと、苦笑いしたルークが『急いでお休みどころまで来て欲しい』と、言うのだ。
「何か有ったんですか?」
「…子供達が…泣き止まない…」
 リーンが呼ばれて、森に入ったんだ!
 キリトは直ぐに分かった。
「緊急用の魔法石を使って良いから…」
 キリトは緊急用の魔法石をルークからもらっていた。
 もし、何かあったとき、自分の持つ魔力だけでは対応仕切れない場合、使って良いと。
 以前、リーンが加工してくれた魔法石なので、お守りみたいに持っていろと、渡されたものだった。
「分かりました」
 キリトは急いで荷物を持って、ここへ来るとき一度寄ったお休み処まで『移動』の魔法を使った。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...