神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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アリミネ火山~追憶のキース~

治療

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 何とか屋敷に着くと、一旦玄関で灰を落とし、屋敷の中に入ると、玄関ホールのソファーや椅子にチハヤがシーツを被せていた。
 イオは男を案内して、風呂場に向かった。
 地元ではない彼に、風呂場の説明をしておかないとな…。
「…ここは地下からお湯が涌き出ている。水を確保する方が困難なんなんだが…」
「水はどうやって確保しているんだ?」
「お湯を溜めて冷やす。…風呂場にお湯を調整するための水場があるから、そこで冷やすしかない」
「…さっきの『保冷石』を入れれば冷えるよ」
 イオは立ち止まり、振り向いて彼を見る。
 あっさりと、そんなことを言えるほどの知識と経験値がある。
「お前は何者だ?」
「…森の奥に住む、森を守る者。と、思っているんだけど…名乗って無かったね。私はキース」
「…森を守る者、か…。助っ人、感謝する」
 イオは素直にそう言って歩き出した。
 何者でも、この状態を手助けしてくれるのは助かる。
「…悪いんだけど、風呂に入らせてもらって良い?ずっと歩きっぱなしで、灰も被って、身体を洗いたいんだけど…」
「ああ、かまわない。…火傷はしてないのか?」
 イオと同じ状況なのに、苦痛も痛みも感じていなさそうなキースに聞いた。
「…『保冷石』を作った後、身体中に冷気を纏わり付かせていたから、火照って熱くなっている程度だよ」
 どれだけ細かい魔法を使っているんだ…?
「…そうか…風で身体の回りを…。それを大きく展開できないか?炎の竜に近付く為に…」
 それを応用出来ないか?
「…それぞれ担当がいれば出来るかも…。魔法の組み合わせ次第かな…」
 そんなことを言っている内に風呂場に付き、イオはズボンを捲り上げ水場に向かい『保冷石』入れて、足を冷やし始めた。
 キースはカバンを下ろして服を脱ぎ、風呂場のお湯を桶にすくい頭から被って、嬉しそうに声を出した。
「ちょうど良い熱さだ」

 イオは足を冷やして、少し火照りが落ち着いてきた頃、髪を洗うキースの背中が目に入った。
 服を着ていたときは気が付かなかったが、色白の…長い髪…それも漆黒の美しい髪が背中まで有った。
 マントを着ていたから気が付かなかったが、チハヤ並みに華奢なんじゃないのか…。
 イオは茫然とキースを見ていた。
「どうした?」
 キースにそう言われ、イオはハッとして頬を染めて横を向いた。
 何…ぼんやりと見てたんだ…。
「…髪…長かったんだな…それも、漆黒」
「ああ、服の中に入れていたから。…これは私の時間を示すものだから、切れなくて…」
 キースが苦笑いした。
 …何かキースにも、事情が有るのかもしれない。
 出会ったばかりの俺が聞いてはいけない事だろう…。
「着替え、出しておいてやるから、それに着替えろ」
 イオはそう言って、風呂場を出てチハヤに着替えを持ってこさせた。


 玄関ホールに向かうと、さっきの有翼族のシバと獣人達が、ソファーに座り話し合いをしていた。
 イオが顔を見せるとシバが立ち上がり、一人用のソファーに座るように言われ、イオが座るとシバが足元に膝を付いた。
 イオの足元は、水脹れが痛くてズボンを下げずに捲り上げたままで、靴も履けなかったので、チハヤが準備してくれた室内履きのゆったりとしたスリッパを履いていた。
 シバは真剣な表情で聞いてきた。
「ゆっくりと治療する分には痛みを伴わないですが、早く治そうと思うと身体にも負担をかけるので強い痛みが伴います。どうしますか?」
「早く治るなら、痛みを我慢する」
 シバはニコリと微笑み、
「覚悟してください」
 そう言って、シバはイオの足に手をかざし、何か唱えて光を放ち始めた。
「グウッ…っ」
 何とも言えない痛み。
 身体中の細胞が急に活発化して、体内を走り回っているような…身長が伸びるとき背中に痛みを感じたときのような…ソレの何十倍もの痛み…。
 イオは顔を苦痛に歪めてソファーのシーツを握りしめていた。
 部屋中にイオの呻き声が響く。
「ぐあああっっ…っ!!」
 気絶なんか絶対にしてやるもんか!!
 イオは耐えていた。


 イオは治療が終わり、ぐったりとソファーにもたれ掛かっていた。
 何度も意識が持ってかれてしまいそうに、なりながらも耐えて、足の痛みが無くなった事に安堵して、そして先程よりも少し涼しく感じていた。
 灰が入ってこないように扉を閉めきっていて、室内は汗ばむ暑さだったのだが…。
 ふと視界に、チハヤがキースの側に駆け寄り、何か話しているのが聞こえた。
「…顔色…悪いですよ…」
「悪い…。しばらく横になる…」
 キースの身体がふらつき、チハヤが慌てて支え、部屋の壁側に有るソファーに連れて行った。
 もしかして部屋が涼しくなったのは、キースが『保冷石』を作ってくれたからなのか?
 …魔力の使いすぎだろう…。
「ここで横になってください。後で毛布を持ってきますから…」
「…ありが…とう…」
 キースはそう返事して、意識を失っていた。
 気絶したのだ…。
「彼は何者ですが?」
 側にいたシバが、この場全員の質問をまとめてくれた。
「『風霊』に呼ばれて来た、森を守るもの。だそうだ…」
「…。」
「この部屋を涼しくしている『保冷石』も、キースの物だ。…彼は俺達の知らないことを知っている」
 そしてイオは風呂場に行くまでに、キースと話した内容を話した。
 『保冷石』から出る冷気を身体の回りに纏わり付かせ、熱から身体を保護していたのだと言うこと。
 そして、いくつもの魔法を連携させれば、熱風と炎から身体を守れて、側に近付く事が出来るだろうと言うことを…。
 そして話し合い、各自、町の魔力の強い者を連れてきて、連携し会うことを誓った。

 気が付けば、日が沈み始めていた。
 長い一日が終わろうとしていた。


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