神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

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アリミネ火山~追憶のキース~

別れ

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 一瞬だった。
 ジュンタがこん棒を手に、剣を持つ三人の獣人を叩きのめしたのだ。
 地面に這いつくばり呻く獣人を横目に、ジュンタは言った。
「ココに来たとき、言われなかったのか?火山地帯には火山地帯のルールがある。山間の土地の危険な場所に近づかないように、避難所を作るように。もしくは結界を張って、落石や降り注ぐ灰を遮るように言われたはずだ!」
「…。」
 答えないのか答えられないのか、三人は黙ったまま。
 イオと護衛達が、矢を放っていた者達を縄で絞り戻ってくると、そこへ狼族のクロナが仲間達を連れて、慌ててやって来た。
「遅かったか!」
「…クロナ」
 ジュンタが肩をすくめて苦笑いする。
「狼族に避難していた近隣の村のご老人と子供達が、話してくれたんだ。男達が追いかけて行ったって…」
「…近隣の村?」
 ジュンタが首を傾げる。
「新しい村には避難所も結界も無いから、何かあったら来るように言ってあったんだが…」
 …それを無視したもの達の、しでかした事か…。
 もう安全だと理解して、ジュンタの作った『土の壁』からアヤメとキラを連れて出ると、アヤメは泣きじゃくりながらジュンタに駆け寄って抱きついた。
 ジュンタはよく頑張ったと抱き締めながら、アヤメの頭を撫でてあげている。
 キースがほっと一息付くと、身体中に痛みが走った。
 …思ったより…当たっているのかも…。
 視界に入るだけで二本刺さっている…。
 キースは地面に膝を付き、異変に気がついたクロナが近づいて来た。
「…お前…!」
 クロナが真っ青な顔をして矢を抜いた。
「くっ!」
 痛みにクロナに寄りかかり、同時に、暖かい治療魔法の熱が伝わってくる。
「治療魔法を使えるものは手伝え!」
 そうクロナが言って何人か近づき、順番に矢が抜かれ治療魔法をかけられていった。
 何本目かでキースはギリギリ、痛みと意識を保っていた。
 …ヤバい。迎えが…来てしまう…。
 …怪我をして、自らの意思でなく意識を失いそうになると、過保護な森が迎えにやって来る。
 …気をつけていたのに…。
「…キラ、落ち着いて…」
 側にいたキラの回りが熱くなって、炎を吹き出そうとしている。
 …キラの、初めての怒りなのかもしれない。
 何とか、しなくては…。
「…大丈夫…だから…」
 キースは痛みと戦いながらキラに笑いかけた。
「…果実…美味しかった…でしょう。キラが…炎の出したら…森が焼けて…もう…食べられなく…なってしまうから…」
 なんとなく伝わったのか、熱がゆっくりと落ち着いてくる。
「…迎えが…来てしまう…」
 キースに刺さっていた、最後の一本の矢が抜かれた。
「くっ!…私は…傷を癒すために…眠るだけ…」
 泣きじゃくっていたアヤメが、何かを察したのか、キラのもとに駆け寄る。
 アヤメが近づけるなら熱は収まっている…。
「キラ…町を…守って…また、会いに来るから…」
 キラがキュイーと鳴くと、地面から植物の蔦が出現してキースを飲み込んでいく。
 側にいたクロナ達はビックリしてキースから離れた。
 キースの姿はみるみる見えなくなって、全て蔦で覆われると、そのまま地面の中へと吸い込まれるように消えていった。
 ほんの数分の…一瞬の出来事に、沈黙するしかなかった。


「キースさんは?」
 アヤメの一言に、皆、我に返った。
「…もといた森に…帰った」
 ジュンタはそう言ってアヤメを抱き締める。
「こいつらの処分は俺達に任せろ」
 クロナは連れてきた仲間に、転がっている獣人達を捕縛させ、茫然としているイオのもとに近づいた。
「…キースは森に帰ったんだ…」
 イオはハッとして、クロナを見て涙を流した。
 大人達の様子と、目の前から保護者がいなくなって、キラはアヤメに抱きつき、キュイーキュイーと寂しそうに泣き叫んでいた。

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