神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
283 / 462
神の宿り木~再生 3~

たどり着く先に…

しおりを挟む
 馬獣の荷馬車に乗ってリムナード山に向かっていたが、やはり山小屋『オメガ』にたどり着く前に、馬獣が前に進もうとしなくなった。
 
 辺りは暗くなり、荷馬車を引いてくれていた馬獣の荒い息づかいだけが響く。
 山小屋『オメガ』へたどり着く少し手前から、道は登りの山道に変わる。
 小さな泉で休憩を取って荷馬車を外し、馬獣に乗って山道を登っていく予定だったが、一歩も動こうとしなかった。
 ここまでだな…。
 怯える馬獣に乗って行っても、振り落とされてしまうだけだ。
 ルーク達は馬獣に乗ることを諦めて、身体の周囲に防御を纏い、歩いて進む事にした。
 最小限の荷物と食料を持ち、ルークとアオ、ヒイロとアレクは山小屋『オメガ』に向かって歩きだした。
 ここまで連れてきてくれた熊族の御者と馬獣達は、休憩を終えたら来た道を戻っていく。
 いつまでも、不安定なこの場所に止めておくわけにはいかない。
 四人は黙々と山小屋『オメガ』に向かって山道を登りだした。


 夜空の星の明かりと、ルークの魔法で作った炎の球が、四人の足元を照らしてくれる。
 離れたこの場所まで重い空気が流れて来て、山小屋『オメガ』が完全に取り込まれてしまっているだろう事を感じた。
 …リーン…。
 山小屋『オメガ』には防御魔法がかけられているから、中にいれば魔力を維持できるだろう。
 だか、ソレすら吸収しようとするのだから、どこまで保っているかわからない…。
 ルーク達は重い足を動かし急いだ。

 
 山小屋『オメガ』が見えてくる頃には、辺り一面、どす黒く、濁った空気がうごめいていた。
 こんな所に長時間いれないぞ!
 山小屋『オメガ』は無事なのか!?
 四人は山小屋に駆け込んで扉を閉め、ホッと一息付いた。
 どうやらまだ、防御の魔法は効いているようだ。
 ヒイロとアオはすぐさま防御魔法を強化し、山小屋の中だけでも自分達の魔法を解除できるようにした。
 アレクも山小屋内の空気を正常化して、息が苦しくないように循環の魔法を施した。
 そしてルークは、少し前までいたリーンの痕跡を見つけた。
 ベッドのシーンが乱れ、キッチンには使用した皿とコップが置かれている。
 水が出なくなり、片付けて行くことが出来なかったのだろう。
 それぞれの魔法を張り巡らせると、四人はテーブルを囲んで椅子に座った。
 どっと今までの疲労感が襲ってくる。
「少し前までリーンはここにいた」
「…ここから『始まりの宿り木』までは一時間ほど。日の出までには時間が有るが、準備のため、早めに出たのだろう」
 ヒイロはそう言って、どす黒く濁った空気に包まれた外を見る。
「…だが、この状態だと、それ以上に時間がかかるだろう…」
 ルークもアオもアレクも頷く。
「『再生』の魔法が始まり、大地に緑が戻れば通常の魔法も使えるようになる。『瞬脚移動』も出きるようになるはず…」
「ギリギリまで近くに行って、戻ると同時に『瞬脚移動』で向かって、リーンを連れていかれないように止める!」
 ルークはそう言って決意した。
 絶対に連れていかせない!
 ルークとヒイロは、持ってきた軽食を軽く食べ、再び防御魔法を身体に纏わせ、『始まりの宿り木』に向かって歩きだした。


*****


 アオとアレクは、山小屋『オメガ』で、留守番する事にした。
 アオはさすがに、この重たい濁った空気の中を、進んで行く勇気は無かった。
 それでもここで、やることは有る。
 消えてしまった『転移移動』の魔法陣を復活させること。
 ほんの少し痕跡が残っているが、初めから書き直しだ。
 アレクも最初は行きたがったが、二人に付いていけなくなったら、一人置いていかれるのは不安だったらしい。
 おとなしく諦めて残ることにしてくれた。
 こちらとしても、一人で山小屋に残っているのも不安だ。
 アレクと一緒に『転移移動』の魔法陣を書き直し、魔力を注ぐ。
 しかし起動してはくれない。
「…やっぱりこの周囲の影響を受けて、魔法陣が起動しないみたいだな…」
「…そうだね。…リーンの『再生』がここまで届けば、起動すると言うことだよな…」
「…そう言うことになるな…」
 アオとアレクはため息を付いた。
 今さら外に出る勇気は無いし、防御の魔法を常に張り巡らせて置かないと、外側から魔力が吸収されて消えていくのだ。
「…交代で防御をし続けるぞ」
「…ははっ…。持続魔力のすげえ訓練だぜ」
 アレクは悪態を付きながら、防御の魔法を張り巡らせる。
「…日の出まで耐えろ!」
「…わかってますよ」
 アレクは苦笑いして、アオはため息を付いた。

 


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...