神の宿り木~旅の途中~ルーク~ …旅の終わりの始まり…⦅完結⦆

ゆう

文字の大きさ
284 / 462
神の宿り木~再生 3~

『再生』と『成長』

しおりを挟む
 ルークとヒイロはどす黒く濁った空気の中を『始まりの宿り木』に向かって歩いていた。
 道は一本道。
 ただ、ひたすらに前に進む。
 そして、しだいに辺りがほんの少し明るくなってきた。
 明るくなってくると、薄暗かった空気が少し薄れ、朽ち果てた木々が道の両サイドに姿を表した。
 思っていたより酷い光景だ…。
 触れれば砕け散ってしまうだろう、危ういバランスで、かろうじて木々が立ちはだかって見える。
 まるで焼け野はらみたいな光景が、延々と続いている…。
 この奥に…リーンがいる!
 辺りはどんどんと明るくなっていく…。
 …もうすぐ日の出だ!
 ルークとヒイロは急いだ。
 
 森を抜け、集落跡にたどり着くと、不思議と微弱な魔力を感じた。
 朽ち果てた家の残骸を横目に進んでいくと、集落の中央に金属の棒の台座の上に、魔法石が鎮座していた。
 …これは、『大地の魔法石』
 リーンがここに設置したのだ。
 二人はさらに奥の、丘の上の『始まりの宿り木』に向かって歩きだすと、背後で『大地の魔法石』が輝きだした。
 …始まったのか!?
 ルークとヒイロは顔を見合せ、丘の上へ急いだ。


 辺り一面まばゆい光に包まれ、集落跡から出ることが出来なかった。
 『再生』の魔法が始まったのだ。
 もう、ほんの少しなのに…。
 そこに、リーンがいるのに…。
 ルークとヒイロは足止めをくらい、『再生』の魔法が終わるのを待つしかなかった…。


 まばゆい光が収まり初め、『宿り木』の有る方向から、魔力が吹き出し始めた。
 今までの押さえられ、吸収していたものを吐き出すかのように大地が震え、それと同時に緑の草がひょこひょこと顔を出し初め、辺り一面の大地が緑に変わっていった。
 今までボロボロだった土に魔力が宿り、眠っていた種が芽吹いたのだ。
 それは『宿り木』の有る方向から、集落を抜け、森へと広がっていく…。
 色を無くした森が、ほんの少し緑に染まっていく…。
 ルークとヒイロは、その凄さに茫然と立ち尽くし、今、来た道を振り返った。
「…戻っていく…」
「…緑に…染まる…」
 ルークはハッとして、『瞬脚移動』を使おうとするが、まだ、そこまで大地に魔力が戻っていない為、移動できそうになかった。
 ルークとヒイロは少し軽くなった空気の中、『宿り木』に向かって駆け出した。
 …まだ、『再生』の魔法は終わっていない…。
 山小屋『オメガ』まで、距離は有る。
 そこまで『再生』させようと思えば、ソレなりに時間と魔力が必要になってくる。
 …リーン!

 集落を出て少し丘を登り始めると、再び結界に行くてを阻まれた。
 結界内で『フィールド』を展開しているようで、巨大な魔法陣が目の前まで広がっているのが見える。
 上空には『風の魔法石』が有り、それを中心に半円のドーム型に結界が作られているようだ。
 ルーク達はもどかしかった。
 …この中にリーンがいるのに…。
 
 どれだけの時間が過ぎたのだろう…。
 ほんの数分のはずなのに、長い時間、じっとしていたように思う。
 …山全体の空気が変わり、『成長』が始まったのだ。
 山小屋『オメガ』に『再生』がたどり着き、まるで逆再生するかのように、向こう側から緑の木々が顔を出し始めるのが、遠目でも見えた。
 …無茶する…。
 『再生』だけでもかなりの魔力を必要とするのに、『成長』までも…森の木々を枯れたままにしておくことは、地盤が緩み、土砂崩れの原因となり兼ねないから、『成長』させ、木々の根を張り巡らせて、大地を揺るがないモノにするためでもあるのだろう…。
 …リーン…。
 どこまでも森の事を考え、そこに暮らす生き物全てを守ろうとする…『森の管理者』なのだと実感する…。
 …無理はするな…。
 ルークは祈るしか無かった。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター
BL
 ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。 自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。 ――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。  そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように―― 「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」 「無理。邪魔」 「ガーン!」  とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。 「……その子、生きてるっすか?」 「……ああ」 ◆◆◆ 溺愛攻め  × 明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...