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第三章 王立学園━大魔剣闘技祭━
十話 学園の勇者たち
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『王立グランフィリア学園の、全校生徒諸君。列びに親族の方、ご来賓のみなさま。そして、グランフィリア王国中央騎士団のみなさま。本日はお集まりいただき、誠に感謝致します。これより、大魔剣闘技祭本戦を開催致しますわ』
総司会を執り行う女子生徒が開会の挨拶をすると、スカートの端に手を添えて端麗にお辞儀をした。
あまりの優雅な所作に、会場からは盛大な拍手が贈られていて。
よく見れば、竜の彫刻が彫られた腕章を左肩につけている。
という事は、あの司会も生徒評議会の一人か。
「えぇー、こんなに観客が来るだなんて、聞いてないわよぉ……」
「あぁ、予選との規模が違いすぎて、さすがに引くな」
「どうしよう。……私、頭痛がしてきちゃった」
そんな緊張感の中、俺達は控え席で体調不良と闘いながら聴講しているのだが。
それでも会場は、容赦なく開会式が続けられていく。
『それでは引き続き、この私、王立学園生徒評議会会長、シエラ・ミント・グラディウスが本戦のご説明を致しますわ』
そして、いよいよ本戦の出場者達が入場する時だ。
この試合会場は、入学式でも使われたドーム型の闘技場。
外周には階段状の座席が設置されており、多くの生徒や一般客が観覧している。
そして二階の一区画には舞台型の貴賓観客席も作られており、場内を一望できる造りになっていた。
当然そこは、中央騎士団や貴族が鎮座する特等席だ。
「やっぱりあの人、グラディウス伯爵家の令嬢なんだ……」
隣にいたローレライが、そう小さく呟く。
その真剣な眼差しの向こうには、生徒会長の姿が。
「あの会長の事を知ってるのか?」
「うん、小さい頃に、社交会で一度だけ。グラディウス伯爵が、私に紹介してくれた事があるの」
「ねえ、それって危ないんじゃない? ローラの顔を覚えてるかもしれないわよ」
「そうだね。気休めだけど、ローブマントを持ってきてるから」
そう言うと、ローレライは白い腰丈のローブマントを羽織り、フードを深く被った。
それは以前、王都に行く時に着ていたのと同じ物だ。
なるほど。あの時も姿を隠す為に羽織っていたのか。てっきり格好いいからなのかと思っていたが。
「さすがに中央騎士団も他の貴族もいるしな。無いよりはマシだろ」
そんな事を危惧しているうちに生徒会長の式辞が終わり、俺達の出番が訪れた。
『以上が本戦のルールになります。それでは予選通過選手一同、入場してください』
選手控え席からは、俺達を含めた八人の生徒が立ち上がる。
「さぁ、楽しい時間の始まりだ」
「やばい、お腹痛くなってきたわ」
「私……吐きそう」
体調が悪化する中、まばらに聞こえる声援を潜り抜けていく。
予選を勝ち抜いた八人が会場の中心に並び、一斉に顔を上げた。
そこはまるで、自分が世界の中心にいるようだった。
周囲を取り囲む観客は皆、選手達を見ている。数多の照明もまた、俺達を照らし出す。
『それでは、みなさま、予選を勝ち抜いた選手を紹介致しますわ。
剣術科所属、一年生ミスト・アニエル。
魔術科所属、一年生ルーシア・ミラ・ランドルフ。
技術科所属、一年生ローラ・アディール。
剣術科所属、二年生ジュウベエ・ライゼンジ。
技術科所属、二年生ロザリア・ランドール。
技術科所属、三年生アリアス・ノイエ。
剣術科所属、三年生クロス・ライナー。
魔術科所属、三年生ミキ・アイリープ。
以上……八名』
会場からは、歓声や盛大な拍手が鳴り響く。
『ミストー! ルーシアー! ローラー! がんばってー!』
『一年Cクラスの力! 見せてやれー!』
「ミストー! ルーシアちゃーん! ローラちゃーん! がんばれぇーっ!」
「きゃー! ミストちゃんが凛々しいわー! がんばってー! ママの王子さまー!」
「三人ともー! 負けたら承知せんぞー!」
父さんと母さん、それにグローインまで応援に来てたとは。
俺にも内緒にして。いや、それどころかアルヘム村のみんなまで。
よく見てみればローレライとルーシアの似顔絵を描いた横断幕を広げた集団や、巨大な旗を振り回している集団までいるな。
……本人の知らない間に、ファンクラブまでできていたのか。
『続いて勇者科より、今大会のシード権獲得生徒八名……入場してください』
そして、反対の入場口からは数人の人影が現れた。
漆黒のローブマントを羽織った生徒が同じく八人、こちらへ歩いてくる。
彼等が会場に向けて手を振れば、またしても鳴り止まない歓声と拍手を巻き起こすほどの人気ぶりだ。
余裕の笑みで闊歩するその姿を見せられてしまえば、当然緊張など一瞬で吹き飛ぶ。
その笑顔を、もうすぐ屈辱の海に沈めてやろうと。
『ほう、今回は一年生が三人もいるのか。だが、その強運もここまでだ』
『可哀想に。せめて、痛くしないように配慮はしてあげよう』
明らかに俺達に向けて愚弄してくるのは、向かい合うように並ぶ勇者科の生徒八名。
『続いて勇者科より、シード権獲得選手。
二年生ウィリアム・スミス。
二年生オーランド・ジョーンズ。
二年生カーミラ・クラークソン。
二年生メアリー・アントワネット。
三年生エヴァ・ローリー・グランドリエ。
三年生ゴドウィン・グリムト。
三年生サイフォン・フォックス・グランディアス。
そして、王立学園生徒評議会副会長、アスカード・ゼル・デスティリア。
以上……八名』
最後に呼ばれた生徒は、爽やかな笑顔で会場に手を振る。
そう。最後に名を呼ばれた生徒は、入学式の日に出会ったアスカードだ。
段違いの歓声と拍手を沸かせるとは、よほどの強さとカリスマ性を持ち合わせているという事か。
『はっ、まるでスター気取りだな』
『調子に乗っていられるのも今のうちよ。覚悟しなさい。勇者科』
両隣に並ぶ先輩方が、鋭い視線を送りつける。
そんな応酬をまるで気にも留めず、会場に手を振る勇者科の生徒達。
俺達予選通過者の八人は、一回戦目は勇者科の生徒とぶつかるらしい。
第一試合の対戦が行われる舞台はAステージとBステージに別れ、同時に行われる事になるそうだ。
勇者科はその名の通り武器による戦闘技術、中級クラス以上の魔術、学年上位の知力、その三つを兼ね備えた優秀だ。
となると、予選の相手よりは少しは楽しめそうだな。
『それでは、一回戦第一試合を開始致します。ご来場のみなさま、電光板をご覧ください』
司会の生徒会長が示したその先には、光源の魔道具により発光する文字が浮かび上がっていった。
【第一試合Aステージ、一年生ルーシア・ミラ・ランドルフ対、二年生カーミラ・クラークソン】
【第一試合Bステージ、三年生アリアス・ノイエ対、二年生ウィリアム・スミス】
『以上の四名は、各舞台でお待ちください。他の選手は、控え席にて待機をお願い致しますわ』
案内が終わると、睨み合っていた両陣営が席へと踵を返していく。
こうして試合前に対面させるのは、明らかに戦意を底上げさせる意図があるのだろう。
より白熱した戦いを魅せる為に。
「ルーシア、がんばってね」
「まぁ、ルーシアなら余裕で勝てるだろ。でも、怪我だけはしないようにな」
「ありがとう、二人とも! 行ってくるわね!」
観客席に手を振りながら、ルーシアは舞台上へと歩んで行く。
どうやら試合による高揚感で、腹痛が治まったみたいだ。
『それでは! 大魔剣闘技祭、一回戦第一試合! 始め!』
そして、波乱に満ちた一日が始まった。
この時はまだ、一大事件が起こるとは知らずに……。
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あまりの優雅な所作に、会場からは盛大な拍手が贈られていて。
よく見れば、竜の彫刻が彫られた腕章を左肩につけている。
という事は、あの司会も生徒評議会の一人か。
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「あぁ、予選との規模が違いすぎて、さすがに引くな」
「どうしよう。……私、頭痛がしてきちゃった」
そんな緊張感の中、俺達は控え席で体調不良と闘いながら聴講しているのだが。
それでも会場は、容赦なく開会式が続けられていく。
『それでは引き続き、この私、王立学園生徒評議会会長、シエラ・ミント・グラディウスが本戦のご説明を致しますわ』
そして、いよいよ本戦の出場者達が入場する時だ。
この試合会場は、入学式でも使われたドーム型の闘技場。
外周には階段状の座席が設置されており、多くの生徒や一般客が観覧している。
そして二階の一区画には舞台型の貴賓観客席も作られており、場内を一望できる造りになっていた。
当然そこは、中央騎士団や貴族が鎮座する特等席だ。
「やっぱりあの人、グラディウス伯爵家の令嬢なんだ……」
隣にいたローレライが、そう小さく呟く。
その真剣な眼差しの向こうには、生徒会長の姿が。
「あの会長の事を知ってるのか?」
「うん、小さい頃に、社交会で一度だけ。グラディウス伯爵が、私に紹介してくれた事があるの」
「ねえ、それって危ないんじゃない? ローラの顔を覚えてるかもしれないわよ」
「そうだね。気休めだけど、ローブマントを持ってきてるから」
そう言うと、ローレライは白い腰丈のローブマントを羽織り、フードを深く被った。
それは以前、王都に行く時に着ていたのと同じ物だ。
なるほど。あの時も姿を隠す為に羽織っていたのか。てっきり格好いいからなのかと思っていたが。
「さすがに中央騎士団も他の貴族もいるしな。無いよりはマシだろ」
そんな事を危惧しているうちに生徒会長の式辞が終わり、俺達の出番が訪れた。
『以上が本戦のルールになります。それでは予選通過選手一同、入場してください』
選手控え席からは、俺達を含めた八人の生徒が立ち上がる。
「さぁ、楽しい時間の始まりだ」
「やばい、お腹痛くなってきたわ」
「私……吐きそう」
体調が悪化する中、まばらに聞こえる声援を潜り抜けていく。
予選を勝ち抜いた八人が会場の中心に並び、一斉に顔を上げた。
そこはまるで、自分が世界の中心にいるようだった。
周囲を取り囲む観客は皆、選手達を見ている。数多の照明もまた、俺達を照らし出す。
『それでは、みなさま、予選を勝ち抜いた選手を紹介致しますわ。
剣術科所属、一年生ミスト・アニエル。
魔術科所属、一年生ルーシア・ミラ・ランドルフ。
技術科所属、一年生ローラ・アディール。
剣術科所属、二年生ジュウベエ・ライゼンジ。
技術科所属、二年生ロザリア・ランドール。
技術科所属、三年生アリアス・ノイエ。
剣術科所属、三年生クロス・ライナー。
魔術科所属、三年生ミキ・アイリープ。
以上……八名』
会場からは、歓声や盛大な拍手が鳴り響く。
『ミストー! ルーシアー! ローラー! がんばってー!』
『一年Cクラスの力! 見せてやれー!』
「ミストー! ルーシアちゃーん! ローラちゃーん! がんばれぇーっ!」
「きゃー! ミストちゃんが凛々しいわー! がんばってー! ママの王子さまー!」
「三人ともー! 負けたら承知せんぞー!」
父さんと母さん、それにグローインまで応援に来てたとは。
俺にも内緒にして。いや、それどころかアルヘム村のみんなまで。
よく見てみればローレライとルーシアの似顔絵を描いた横断幕を広げた集団や、巨大な旗を振り回している集団までいるな。
……本人の知らない間に、ファンクラブまでできていたのか。
『続いて勇者科より、今大会のシード権獲得生徒八名……入場してください』
そして、反対の入場口からは数人の人影が現れた。
漆黒のローブマントを羽織った生徒が同じく八人、こちらへ歩いてくる。
彼等が会場に向けて手を振れば、またしても鳴り止まない歓声と拍手を巻き起こすほどの人気ぶりだ。
余裕の笑みで闊歩するその姿を見せられてしまえば、当然緊張など一瞬で吹き飛ぶ。
その笑顔を、もうすぐ屈辱の海に沈めてやろうと。
『ほう、今回は一年生が三人もいるのか。だが、その強運もここまでだ』
『可哀想に。せめて、痛くしないように配慮はしてあげよう』
明らかに俺達に向けて愚弄してくるのは、向かい合うように並ぶ勇者科の生徒八名。
『続いて勇者科より、シード権獲得選手。
二年生ウィリアム・スミス。
二年生オーランド・ジョーンズ。
二年生カーミラ・クラークソン。
二年生メアリー・アントワネット。
三年生エヴァ・ローリー・グランドリエ。
三年生ゴドウィン・グリムト。
三年生サイフォン・フォックス・グランディアス。
そして、王立学園生徒評議会副会長、アスカード・ゼル・デスティリア。
以上……八名』
最後に呼ばれた生徒は、爽やかな笑顔で会場に手を振る。
そう。最後に名を呼ばれた生徒は、入学式の日に出会ったアスカードだ。
段違いの歓声と拍手を沸かせるとは、よほどの強さとカリスマ性を持ち合わせているという事か。
『はっ、まるでスター気取りだな』
『調子に乗っていられるのも今のうちよ。覚悟しなさい。勇者科』
両隣に並ぶ先輩方が、鋭い視線を送りつける。
そんな応酬をまるで気にも留めず、会場に手を振る勇者科の生徒達。
俺達予選通過者の八人は、一回戦目は勇者科の生徒とぶつかるらしい。
第一試合の対戦が行われる舞台はAステージとBステージに別れ、同時に行われる事になるそうだ。
勇者科はその名の通り武器による戦闘技術、中級クラス以上の魔術、学年上位の知力、その三つを兼ね備えた優秀だ。
となると、予選の相手よりは少しは楽しめそうだな。
『それでは、一回戦第一試合を開始致します。ご来場のみなさま、電光板をご覧ください』
司会の生徒会長が示したその先には、光源の魔道具により発光する文字が浮かび上がっていった。
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『以上の四名は、各舞台でお待ちください。他の選手は、控え席にて待機をお願い致しますわ』
案内が終わると、睨み合っていた両陣営が席へと踵を返していく。
こうして試合前に対面させるのは、明らかに戦意を底上げさせる意図があるのだろう。
より白熱した戦いを魅せる為に。
「ルーシア、がんばってね」
「まぁ、ルーシアなら余裕で勝てるだろ。でも、怪我だけはしないようにな」
「ありがとう、二人とも! 行ってくるわね!」
観客席に手を振りながら、ルーシアは舞台上へと歩んで行く。
どうやら試合による高揚感で、腹痛が治まったみたいだ。
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