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第2話 火遊
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<生きる>ということは幸福と密接に繋がっていると聞いたことがある。
じゃあ幸福を感じていない私は生きていると言えるのだろうか。
その後も、川中からしつこくLINEが送られて
きたのでとうとう根負けして、返信するようになり、みんなと会う日程が決まった。
夜だとお酒を飲み過ぎて羽目を外す奴がいるかもしれないからお昼に会いましょうと川中が提案してくれたので、私も了承した。
待ち合わせ場所のカフェに着くと川中しかいないので、みんなのことを聞いてみる。
「あの……みんなは??」
「いや~それが……言いにくいんだけど……」
そもそも団体が入れるようなお店ではなかったが川中は他の奴らは結局予定が合わず、
自分一人だけだと申し訳なさそうに伝えた。
だが、その視線からは欲望を感じた。
せっかく集まったからカフェでゆっくりしようと川中に言われて、喉も渇いていたし少しなら良いかと思い二名でカフェに入り、
私はカフェ・オ・レを注文して、川中はアイスコーヒーを注文した。
すぐに飲み物は出揃い、それが合図となって川中から口を開いた。
「まさか偶然会えるとはね~びっくりしたよ。
あの日は営業の仕事でショッピングモールに来てたんだけど、あの辺でよく買い物するの?」
「うん……たまに行くかな。川中君は営業のお仕事してるんだっけ?」
「そうそう。彩華ちゃんはなんの仕事してんの?」
「うん?……ホテルで雑用とか色々してるよ」
咄嗟に嘘をついて誤魔化したが、決して警備の仕事が言いにくいとか恥ずかしいからとかではなくて、わざわざ正確な情報を教える必要がないと思えたからだ。
その後も、当たり障りのない会話が続いたが、
私は川中の身の上話に全く興味が無かった。
恐らく川中も興味が無い様子だ。
お互いの会話がお互いの耳に入っては抜けていく。
途方もない無駄な時間を過ごしていると自覚はしている。
川中はいつ自分の欲望を私に告げるのだろう。
話の弾は尽きて、会話がひと段落したのでカフェを出ることになったが会計は川中が払ってくれた。
川中に奢ってくれたお礼を伝えて離れようとすると、川中はもっと話がしたいと強く引き留めた。
「次のお店に行こうよ!ここからちょっと歩くけど、案内するよ。お願い!」
二人はそこそこの距離を歩いてどんどん人気のない所に入っていく。
すると目の前にはホテルと書かれた看板が見えてきて、急に川中は私の腰に手を回して身体をきつく支えて固定した。
そのまま、流れるようにラブホテルに入っていった。
「ここにラブホがあるのは知ってたけど、入るのは初めてなんだよねぇ」
川中はベッドの上部にあるパネルを色々と物色して、どのボタンを押せばどうなるのかを確かめている。
先にシャワー浴びてきてと言われたのでシャワーを浴びて上がると、川中もシャワーを浴びた。
その後は既定路線のようにベッドの上で身体を重ねる。
ラブホの中で夕食を摂った後に、もう一度身体を重ねて疲れた二人はベッドに横たわり休憩していた。
身長170cm以上ある私と、それより背が高い川中が一緒に寝るとベッドがとても狭く窮屈で寝心地が悪かった。
この状況は耐えられないので真夜中になる前に部屋を出ようと考えていた。
荷物をまとめて帰ろうとしている様子を見て、
川中は背後から近づき、私を抱きしめる。
「明日も有給を取ったから朝まで一緒にいろよ……これからもっと楽しもうぜ。
俺は中学の時からお前のことがずっと好きだったんだ。陰でお前の事が好きって奴も多かったよ。
やっと手に入ったんだ……」
その後も執拗に求められたのであっという間に朝になった。少しだけ仮眠をとったが眠気はまだ残っている。
隣にいる川中は既に起きていて、スマートフォンを触っていたが、私は薄暗い天井を見つめていた。
あぁ……やっぱり思った通りだ、昔となにも変わっていない……なにも感じなかった。
性行為をすることで生を実感したり、
幸せな気分になるとよく聞くが
私が男性の欲望を満たしても、私が満たされることはない。無色のままでなにも変わらない。
川中を相手にした理由は、今の自分は昔の自分となにかが変わっているかもしれないと
僅かな期待を確かめたかったから。
別に恋仲になりたかったわけじゃない。
そういえば、学生時代にもこういう風に求められて満たされないことがあったっけ…
〝初体験は中学生の時だった。貫通した痛みはあったがそれ以外、何も感じなかったことに困惑したことを覚えている。
ネットの情報では幸せや生きている実感があると載っていたのに。
幼少期から男性に向けられる欲望の視線には敏感だった。そしてなにを求めているのかも。
だからキスの初体験は幼稚園児だったし
思春期を迎えてからはその視線が鋭くなっていき
中学生になると円滑に初体験を終えていた。
高校生に上がると女子から大人気だった男子と交わったが、なにも満たされなかった。
だから通学中によく視線を感じる冴えない男子とも交わったりその後も何人かと関係を持ったが何も変わらなかったので、相手が問題ではなく自分に問題があるのだと悟った。
クラスメイトの美月達はよく好きな男子が脈ありなのかとか、どうしたら振り向いてもらえるのかといった恋バナを毎日のように話していた。
恋の駆け引きをすることが心底間抜けだと思えたし、好きなら好きと言えばいい。
男子が渇望しているものが分かるならそれを与えてあげればいい。
でも、それは理解されない考えだということは
承知していたので話題を振られるといつも適当に相槌を打って取り繕っていた。〟
そういえば、クラスメイトだった美月達はどうしているのかな……
なんてことを考えながら川中とホテルから出る支度をしていた。
すると、精算機の前に川中が立っている。
「うわ……長く居たから高くなってる笑
端数は払うからさ、悪いけど半分は払ってくれない?笑」
悪いと言う割には悪びれる様子がない川中は財布から小銭を出そうとした瞬間、
財布を落としてしまい小銭が床に飛び散る。
小銭が散らばる中に、指輪が混じっていた。
「いや……これは……」
「最初から一回きりのつもりだから気にしなくていいよ笑
それより前に言ってたグループLINEに招待してよ。久々に話してみたい人もいるし」
「あぁ……わかった。招待する代わりに
今回の事は誰にも言わないでくれよ」
「わかってるよ。言ったところで私に得はないから」
その後から途端に口数が減り、だんまりした川中と一緒に清算してホテルを出た。
じゃあ……と手を振る川中に私も手を軽く振り返して別々の方向に歩いて離れた。
電車に乗って寮に戻り、洗濯と仮眠をして職場へと向かった。
後日、川中にグループLINEを招待してもらい、当時クラスメイトだった美月を見つけてLINEを送った。
美月は私を覚えていて、すぐにご飯に行こうと約束をした。
美月と会う日になり、普段は最低限のメイクしかしないので、
いざしっかりとメイクしようとすると思うようにいかず、時間が迫ってきて焦りが募る。
結局、少し遅刻してしまいすでにカフェの前で美月は待っており、
高校生の時の面影を残しつつも大人びて綺麗になっていた。
美月に近づいていくと私に気づいたようで、
美月の方から声をかけてきた。
「久しぶり~!うわ、めっちゃ綺麗になってる!色々話したいし早くカフェに入ろ!」
外見は思い出より大人びていたが、所作や笑った顔を見ると、当時のようなあどけなさは残っていた。
二人は飲み物とサンドイッチを注文して、
お互いの初歩的な身の上話しをしていた。
「彩華さぁ、同窓会に来なかったからもう会えないと思ってた。連絡先も変わってたし。
だから、グループLINEに追加された時はびっくりした!」
そういえば、寮生活を始めて安定してから、母親との連絡手段を断ち切る為にメールアドレスや携帯番号を全部変えたことを言われて思い出した。
「しかも彩華の方からメッセージもくれたしめっちゃ嬉しかった。
旦那から彩華のことを少ししか聞けてないからもっと教えてね笑笑」
旦那……?旦那という単語に引っかかったので美月の左手を見ると、どこかで見た指輪が付けられている。
「えっ?太一からなにも聞いてないの?」
「太一って誰?ごめん、
まだ美月と川中にしか会ってないんだ」
話が噛み合わないことに美月は不穏な状態になりながら話を続けた。
「だから川中太一。私は太一と結婚して名字が川中になったんだけど本当になにも聞いてないの?
旦那とはどこで会ったの?」
川中の名前が太一ということをこのやりとりで初めて知ったと同時に奇縁な巡り合わせに血の気が引いていく。
じゃあ幸福を感じていない私は生きていると言えるのだろうか。
その後も、川中からしつこくLINEが送られて
きたのでとうとう根負けして、返信するようになり、みんなと会う日程が決まった。
夜だとお酒を飲み過ぎて羽目を外す奴がいるかもしれないからお昼に会いましょうと川中が提案してくれたので、私も了承した。
待ち合わせ場所のカフェに着くと川中しかいないので、みんなのことを聞いてみる。
「あの……みんなは??」
「いや~それが……言いにくいんだけど……」
そもそも団体が入れるようなお店ではなかったが川中は他の奴らは結局予定が合わず、
自分一人だけだと申し訳なさそうに伝えた。
だが、その視線からは欲望を感じた。
せっかく集まったからカフェでゆっくりしようと川中に言われて、喉も渇いていたし少しなら良いかと思い二名でカフェに入り、
私はカフェ・オ・レを注文して、川中はアイスコーヒーを注文した。
すぐに飲み物は出揃い、それが合図となって川中から口を開いた。
「まさか偶然会えるとはね~びっくりしたよ。
あの日は営業の仕事でショッピングモールに来てたんだけど、あの辺でよく買い物するの?」
「うん……たまに行くかな。川中君は営業のお仕事してるんだっけ?」
「そうそう。彩華ちゃんはなんの仕事してんの?」
「うん?……ホテルで雑用とか色々してるよ」
咄嗟に嘘をついて誤魔化したが、決して警備の仕事が言いにくいとか恥ずかしいからとかではなくて、わざわざ正確な情報を教える必要がないと思えたからだ。
その後も、当たり障りのない会話が続いたが、
私は川中の身の上話に全く興味が無かった。
恐らく川中も興味が無い様子だ。
お互いの会話がお互いの耳に入っては抜けていく。
途方もない無駄な時間を過ごしていると自覚はしている。
川中はいつ自分の欲望を私に告げるのだろう。
話の弾は尽きて、会話がひと段落したのでカフェを出ることになったが会計は川中が払ってくれた。
川中に奢ってくれたお礼を伝えて離れようとすると、川中はもっと話がしたいと強く引き留めた。
「次のお店に行こうよ!ここからちょっと歩くけど、案内するよ。お願い!」
二人はそこそこの距離を歩いてどんどん人気のない所に入っていく。
すると目の前にはホテルと書かれた看板が見えてきて、急に川中は私の腰に手を回して身体をきつく支えて固定した。
そのまま、流れるようにラブホテルに入っていった。
「ここにラブホがあるのは知ってたけど、入るのは初めてなんだよねぇ」
川中はベッドの上部にあるパネルを色々と物色して、どのボタンを押せばどうなるのかを確かめている。
先にシャワー浴びてきてと言われたのでシャワーを浴びて上がると、川中もシャワーを浴びた。
その後は既定路線のようにベッドの上で身体を重ねる。
ラブホの中で夕食を摂った後に、もう一度身体を重ねて疲れた二人はベッドに横たわり休憩していた。
身長170cm以上ある私と、それより背が高い川中が一緒に寝るとベッドがとても狭く窮屈で寝心地が悪かった。
この状況は耐えられないので真夜中になる前に部屋を出ようと考えていた。
荷物をまとめて帰ろうとしている様子を見て、
川中は背後から近づき、私を抱きしめる。
「明日も有給を取ったから朝まで一緒にいろよ……これからもっと楽しもうぜ。
俺は中学の時からお前のことがずっと好きだったんだ。陰でお前の事が好きって奴も多かったよ。
やっと手に入ったんだ……」
その後も執拗に求められたのであっという間に朝になった。少しだけ仮眠をとったが眠気はまだ残っている。
隣にいる川中は既に起きていて、スマートフォンを触っていたが、私は薄暗い天井を見つめていた。
あぁ……やっぱり思った通りだ、昔となにも変わっていない……なにも感じなかった。
性行為をすることで生を実感したり、
幸せな気分になるとよく聞くが
私が男性の欲望を満たしても、私が満たされることはない。無色のままでなにも変わらない。
川中を相手にした理由は、今の自分は昔の自分となにかが変わっているかもしれないと
僅かな期待を確かめたかったから。
別に恋仲になりたかったわけじゃない。
そういえば、学生時代にもこういう風に求められて満たされないことがあったっけ…
〝初体験は中学生の時だった。貫通した痛みはあったがそれ以外、何も感じなかったことに困惑したことを覚えている。
ネットの情報では幸せや生きている実感があると載っていたのに。
幼少期から男性に向けられる欲望の視線には敏感だった。そしてなにを求めているのかも。
だからキスの初体験は幼稚園児だったし
思春期を迎えてからはその視線が鋭くなっていき
中学生になると円滑に初体験を終えていた。
高校生に上がると女子から大人気だった男子と交わったが、なにも満たされなかった。
だから通学中によく視線を感じる冴えない男子とも交わったりその後も何人かと関係を持ったが何も変わらなかったので、相手が問題ではなく自分に問題があるのだと悟った。
クラスメイトの美月達はよく好きな男子が脈ありなのかとか、どうしたら振り向いてもらえるのかといった恋バナを毎日のように話していた。
恋の駆け引きをすることが心底間抜けだと思えたし、好きなら好きと言えばいい。
男子が渇望しているものが分かるならそれを与えてあげればいい。
でも、それは理解されない考えだということは
承知していたので話題を振られるといつも適当に相槌を打って取り繕っていた。〟
そういえば、クラスメイトだった美月達はどうしているのかな……
なんてことを考えながら川中とホテルから出る支度をしていた。
すると、精算機の前に川中が立っている。
「うわ……長く居たから高くなってる笑
端数は払うからさ、悪いけど半分は払ってくれない?笑」
悪いと言う割には悪びれる様子がない川中は財布から小銭を出そうとした瞬間、
財布を落としてしまい小銭が床に飛び散る。
小銭が散らばる中に、指輪が混じっていた。
「いや……これは……」
「最初から一回きりのつもりだから気にしなくていいよ笑
それより前に言ってたグループLINEに招待してよ。久々に話してみたい人もいるし」
「あぁ……わかった。招待する代わりに
今回の事は誰にも言わないでくれよ」
「わかってるよ。言ったところで私に得はないから」
その後から途端に口数が減り、だんまりした川中と一緒に清算してホテルを出た。
じゃあ……と手を振る川中に私も手を軽く振り返して別々の方向に歩いて離れた。
電車に乗って寮に戻り、洗濯と仮眠をして職場へと向かった。
後日、川中にグループLINEを招待してもらい、当時クラスメイトだった美月を見つけてLINEを送った。
美月は私を覚えていて、すぐにご飯に行こうと約束をした。
美月と会う日になり、普段は最低限のメイクしかしないので、
いざしっかりとメイクしようとすると思うようにいかず、時間が迫ってきて焦りが募る。
結局、少し遅刻してしまいすでにカフェの前で美月は待っており、
高校生の時の面影を残しつつも大人びて綺麗になっていた。
美月に近づいていくと私に気づいたようで、
美月の方から声をかけてきた。
「久しぶり~!うわ、めっちゃ綺麗になってる!色々話したいし早くカフェに入ろ!」
外見は思い出より大人びていたが、所作や笑った顔を見ると、当時のようなあどけなさは残っていた。
二人は飲み物とサンドイッチを注文して、
お互いの初歩的な身の上話しをしていた。
「彩華さぁ、同窓会に来なかったからもう会えないと思ってた。連絡先も変わってたし。
だから、グループLINEに追加された時はびっくりした!」
そういえば、寮生活を始めて安定してから、母親との連絡手段を断ち切る為にメールアドレスや携帯番号を全部変えたことを言われて思い出した。
「しかも彩華の方からメッセージもくれたしめっちゃ嬉しかった。
旦那から彩華のことを少ししか聞けてないからもっと教えてね笑笑」
旦那……?旦那という単語に引っかかったので美月の左手を見ると、どこかで見た指輪が付けられている。
「えっ?太一からなにも聞いてないの?」
「太一って誰?ごめん、
まだ美月と川中にしか会ってないんだ」
話が噛み合わないことに美月は不穏な状態になりながら話を続けた。
「だから川中太一。私は太一と結婚して名字が川中になったんだけど本当になにも聞いてないの?
旦那とはどこで会ったの?」
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