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佐伯
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「日向幸希君だね。話には聞いているよ。宜しく」
奥から現れた男性は礼儀正しく、被っていた帽子を胸に当て挨拶をする。
いかにも、紳士的な所作に日向は反射的に頭を下げてしまった。
「は、はい。よろしくお願いします。それで、あのーなんとお呼びしたら……」
「はっはっは。紹介が遅れたね。私のことは佐伯とでも呼んでくれたまえ」
くれたまえ?
なぜそんな言い方をするのかと疑問符がつく。
少なくとも、佐伯がこの男の本名ではないというのは何となく察することができた。
「それで……柑奈さんと佐伯さんはどういったご関係で?」
「うん、生徒と先生って感じの関係かな」
と、柑奈。日向はいまいち要領を得ないが、続けて質問する。
「では、何故この洞窟と学校の古井戸が繋がっているんですか?」
佐伯が答える。
「ここの洞窟はね。明治時代、有名な銅の採掘場となっていてね。開発が進んでたんだよ。多分この古井戸はその時に労働者が外に出る時に使用されていたものだろうね。」
「……なるほど」
「まぁ、立ち話もなんだし、コーヒーでも飲まないか? 美味しい豆が入ったんだ」
佐伯は奥から椅子を二つ持ってきて、ランプのある机の辺りに置くと、日向と柑奈を座らせた。
その後、佐伯は三人分のコーヒーを出し、日向と柑奈に向かい合う形で椅子に腰を下ろした。
佐伯の淹れてきたコーヒーはランプに照らされ、湯気が火柱のように立っていた。
佐伯はコーヒーカップを持ち、ゆっくりと口に運ぶ。そして、カップを机に置くとおもむろに話を始めた。
「日向君。すまないが昨日、君の身に起こった摩訶不思議な体験の全てに解答することが出来ないことを先に断っておく」
「はい……分かりました」
柑奈は先程から黙って考え事をしている。
それはまるで日向に言っていい情報とそうでないものを思索しているようにも見えた。
「まず、昨日君と出会った少女。あの子には名前、家族、そういったものは一切ない」
「へ? それって、ただ単に名前や家族のことを忘れてるってことじゃないんですか?」
「違うね。忘れたんじゃなく、あの子には名前も家族もないんだ。元々ね」
疑問。
「そ、それじゃあ、どうやって今まで生きてきたんですか?」
「彼女はね、この世界の“記憶”なんだよ」
日向はいよいよ意味が分からなくなってきた。
墓が光ったと思えばそこで倒れていた少女。確かにおかしいところだらけだ。しかし、日向は超常的な現象を自ら体験してもなお、少女はただの記憶喪失で帰る家がない。その程度の事だと言い聞かせていた。日向は自ら体験した事実を真っ向から肯定され、少女をこの世の理から外れた存在だと認識せざるを得なくなった。
「彼女は突然、一定の期間世界に現れては消滅する。生成消滅を繰り返す観念的な存在なんだ。いや、観念そのものだね」
「えっと、つまり……え?」
「とにかく、あの子はこの世界に紛れ込んだ異物、イレギュラーな存在だってことだよ」
と、柑奈が言う。
イレギュラー?異物?二人は一体何を言っているんだ??
「えっ、そ、それじゃあ、あの子はこれから一体どうなるんですか?」
「いつか、ふと消滅するだろうね。昨日、いきなり君の前に現れた時のようにね」
容赦のない回答。日向は心がぐちゃぐちゃになる。
なんだ、この感情は。
突然勝手に生み出されたと思えば、突然勝手に消滅させられる。
そんな人生あんまりじゃないか。
日向はぐちゃぐちゃになった感情の行き場を無くし、ただ拳を強く握り締めることしか出来なかった。手のひらに爪の後が残る。
言おうとしてた言葉も霧に消える。
頭がよく働かない。視界に靄がかかったようだ。
「幸希、大丈夫?」
柑奈の言葉が日向を現実に引き戻す。
「酷い汗……」
柑奈が心配そうに手を伸ばすが、日向は反射的に身を後退させる。
「ご、ごめん。もう大丈夫だから……」
今度は思いっきり柑奈を拒絶した態度を取ってしまい、後悔の念が全身を包んだ。
しっかりしろ。呼吸を整え、日向は顔をパチンと叩く。よし、冷静だ。
その様子を見て柑奈は目を丸くしている。
「それじゃあ、あの子を狙っていた男は何なんですか?」
「私にも、彼の考えている全ては分からない。だが分かることは、彼は少女を早期に消し去ることで世界を正常に保てると考えていることだ」
佐伯はコーヒーに手を伸ばす。
「世界……保つ……」
すると、柑奈が
「私と先生はね、彼女を消し去るのは間違ってると考えているの。いつかは消えることが分かってるんだし、無闇に消滅を急いだらよくないことが起こると思ってるのね」
よくないことって何だよ……。日向の疑問は消えない。
それにさっきから二人のあの子に対する話し方が気に食わない。
あの子も血の通った同じ人間だ。
安易に消滅だの異物だの無機的な言葉使うもんじゃない……
「それでね、幸希君。君には私たちと協力してあの子の身を守って欲しいの」
と、柑奈。
「話によると、彼女は君に懐いているようだし、これ以上他人に知られたくない。だからしばらく君の家に彼女を住まわせて欲しいんだ」
続けて佐伯が話す。
「家に住むことには反対はしません。しかし、僕よりも佐伯さんが身柄を保護した方が安全なんじゃありませんか?」
日向は疑問を口にする。
「彼女が世界に現れて最初に出会ったのが君だった。それはただの偶然ではなく、何らかの理由があるんじゃないかと思うんだ。だから、彼女が望むままに、君の元に居させてあげたいんだ。もちろん、君が負担にならないようにこちらからもサポートさせて貰うつもりだ」
と、日向は淡々と佐伯に言いくるめられてしまう。
現状、少女については自分よりも佐伯が詳しい。その佐伯が言うのだからその方がいいのだろう。
「……分かりました」
「他に質問はないかね?」
佐伯はコーヒーを片手にリラックスした体勢をとる。湯気はもう消えていた。
「いえ、特にありません……」
ただでさえ、今まで話された内容を把握できてない日向は、完全に気が削がれてコーヒーカップに目を落とすばかりだった。
「幸希君、大丈夫?」
その後、日向は柑奈と二人で帰り道を歩いていた。
「大丈夫。でもちょっと混乱してるかも」
「それも仕方ないよ。いきなりあんなこと話されて……すぐ納得する方が怖いよ」
「ははは。たしかに」
いつから佐伯さんと知り合いだったの?
なんであの少女のことを君が知ってるの?
道中。柑奈に洞窟では聞かなかった……というより混乱して聞けなかった質問をしたが、多くは秘密ということで躱されてしまった。
「いつか、正しい時期が来たら君にも分かるよ」
別れ際、柑奈はそう言った。
正しい時期……か。
そういえば、もうそろそろ夏休みだったなぁと。
日向は西日に溶ける柑奈の後ろ姿を見て、そう思うのだった。
奥から現れた男性は礼儀正しく、被っていた帽子を胸に当て挨拶をする。
いかにも、紳士的な所作に日向は反射的に頭を下げてしまった。
「は、はい。よろしくお願いします。それで、あのーなんとお呼びしたら……」
「はっはっは。紹介が遅れたね。私のことは佐伯とでも呼んでくれたまえ」
くれたまえ?
なぜそんな言い方をするのかと疑問符がつく。
少なくとも、佐伯がこの男の本名ではないというのは何となく察することができた。
「それで……柑奈さんと佐伯さんはどういったご関係で?」
「うん、生徒と先生って感じの関係かな」
と、柑奈。日向はいまいち要領を得ないが、続けて質問する。
「では、何故この洞窟と学校の古井戸が繋がっているんですか?」
佐伯が答える。
「ここの洞窟はね。明治時代、有名な銅の採掘場となっていてね。開発が進んでたんだよ。多分この古井戸はその時に労働者が外に出る時に使用されていたものだろうね。」
「……なるほど」
「まぁ、立ち話もなんだし、コーヒーでも飲まないか? 美味しい豆が入ったんだ」
佐伯は奥から椅子を二つ持ってきて、ランプのある机の辺りに置くと、日向と柑奈を座らせた。
その後、佐伯は三人分のコーヒーを出し、日向と柑奈に向かい合う形で椅子に腰を下ろした。
佐伯の淹れてきたコーヒーはランプに照らされ、湯気が火柱のように立っていた。
佐伯はコーヒーカップを持ち、ゆっくりと口に運ぶ。そして、カップを机に置くとおもむろに話を始めた。
「日向君。すまないが昨日、君の身に起こった摩訶不思議な体験の全てに解答することが出来ないことを先に断っておく」
「はい……分かりました」
柑奈は先程から黙って考え事をしている。
それはまるで日向に言っていい情報とそうでないものを思索しているようにも見えた。
「まず、昨日君と出会った少女。あの子には名前、家族、そういったものは一切ない」
「へ? それって、ただ単に名前や家族のことを忘れてるってことじゃないんですか?」
「違うね。忘れたんじゃなく、あの子には名前も家族もないんだ。元々ね」
疑問。
「そ、それじゃあ、どうやって今まで生きてきたんですか?」
「彼女はね、この世界の“記憶”なんだよ」
日向はいよいよ意味が分からなくなってきた。
墓が光ったと思えばそこで倒れていた少女。確かにおかしいところだらけだ。しかし、日向は超常的な現象を自ら体験してもなお、少女はただの記憶喪失で帰る家がない。その程度の事だと言い聞かせていた。日向は自ら体験した事実を真っ向から肯定され、少女をこの世の理から外れた存在だと認識せざるを得なくなった。
「彼女は突然、一定の期間世界に現れては消滅する。生成消滅を繰り返す観念的な存在なんだ。いや、観念そのものだね」
「えっと、つまり……え?」
「とにかく、あの子はこの世界に紛れ込んだ異物、イレギュラーな存在だってことだよ」
と、柑奈が言う。
イレギュラー?異物?二人は一体何を言っているんだ??
「えっ、そ、それじゃあ、あの子はこれから一体どうなるんですか?」
「いつか、ふと消滅するだろうね。昨日、いきなり君の前に現れた時のようにね」
容赦のない回答。日向は心がぐちゃぐちゃになる。
なんだ、この感情は。
突然勝手に生み出されたと思えば、突然勝手に消滅させられる。
そんな人生あんまりじゃないか。
日向はぐちゃぐちゃになった感情の行き場を無くし、ただ拳を強く握り締めることしか出来なかった。手のひらに爪の後が残る。
言おうとしてた言葉も霧に消える。
頭がよく働かない。視界に靄がかかったようだ。
「幸希、大丈夫?」
柑奈の言葉が日向を現実に引き戻す。
「酷い汗……」
柑奈が心配そうに手を伸ばすが、日向は反射的に身を後退させる。
「ご、ごめん。もう大丈夫だから……」
今度は思いっきり柑奈を拒絶した態度を取ってしまい、後悔の念が全身を包んだ。
しっかりしろ。呼吸を整え、日向は顔をパチンと叩く。よし、冷静だ。
その様子を見て柑奈は目を丸くしている。
「それじゃあ、あの子を狙っていた男は何なんですか?」
「私にも、彼の考えている全ては分からない。だが分かることは、彼は少女を早期に消し去ることで世界を正常に保てると考えていることだ」
佐伯はコーヒーに手を伸ばす。
「世界……保つ……」
すると、柑奈が
「私と先生はね、彼女を消し去るのは間違ってると考えているの。いつかは消えることが分かってるんだし、無闇に消滅を急いだらよくないことが起こると思ってるのね」
よくないことって何だよ……。日向の疑問は消えない。
それにさっきから二人のあの子に対する話し方が気に食わない。
あの子も血の通った同じ人間だ。
安易に消滅だの異物だの無機的な言葉使うもんじゃない……
「それでね、幸希君。君には私たちと協力してあの子の身を守って欲しいの」
と、柑奈。
「話によると、彼女は君に懐いているようだし、これ以上他人に知られたくない。だからしばらく君の家に彼女を住まわせて欲しいんだ」
続けて佐伯が話す。
「家に住むことには反対はしません。しかし、僕よりも佐伯さんが身柄を保護した方が安全なんじゃありませんか?」
日向は疑問を口にする。
「彼女が世界に現れて最初に出会ったのが君だった。それはただの偶然ではなく、何らかの理由があるんじゃないかと思うんだ。だから、彼女が望むままに、君の元に居させてあげたいんだ。もちろん、君が負担にならないようにこちらからもサポートさせて貰うつもりだ」
と、日向は淡々と佐伯に言いくるめられてしまう。
現状、少女については自分よりも佐伯が詳しい。その佐伯が言うのだからその方がいいのだろう。
「……分かりました」
「他に質問はないかね?」
佐伯はコーヒーを片手にリラックスした体勢をとる。湯気はもう消えていた。
「いえ、特にありません……」
ただでさえ、今まで話された内容を把握できてない日向は、完全に気が削がれてコーヒーカップに目を落とすばかりだった。
「幸希君、大丈夫?」
その後、日向は柑奈と二人で帰り道を歩いていた。
「大丈夫。でもちょっと混乱してるかも」
「それも仕方ないよ。いきなりあんなこと話されて……すぐ納得する方が怖いよ」
「ははは。たしかに」
いつから佐伯さんと知り合いだったの?
なんであの少女のことを君が知ってるの?
道中。柑奈に洞窟では聞かなかった……というより混乱して聞けなかった質問をしたが、多くは秘密ということで躱されてしまった。
「いつか、正しい時期が来たら君にも分かるよ」
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