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無垢の魔女
称号?無垢の魔女ですか……いえ、お返しします。
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のんびりスローライフを宣言して早数時間……私の幸せな時間はアズサさんとお茶をしただけで終わりを告げた。
「貴様がペトラ・バレンタインか?」
「いえ、人違いです」
「ペトラちゃん!?」
私は咄嗟に嘘をついていた。
何故なら、多分ここで本当のことを答えないとこの、平凡な日常が去っていくような……そんな気がしたからだ。
「いや、今その隣の人が貴様の事をペトラと……」
「聞き間違えでは?」
「いや、しかし……」
「聞き間違えです」
「そ、そうなのか?……であれば仕方ない」
ほっ、これで私の平凡な日常が……。
「であれば、この場にいる全員に同行してもらう、全員王都の城まで来てもらうぞ?」
あ……まじですか……。
私のついた嘘、全く意味ないじゃないですか?
「あ、あの?」
「なんだ?」
「なんでそんなにペトラを探してるんですか?彼女全然悪いこととかはしてないですよ?それに可愛いし」
「最後のは関係ない気がするが……まぁ、王が呼んでいて、別に悪いことを罰する用事ではないな」
「そうなんですか?なら、私行ってもいいですよ?」
「え?でもさっきは違うとかなんとか…」
「いいじゃないですか、男の人が細かいこと気にしてるとモテませんよ?」
怒られるような事じゃないなら別にめんどくさいことを押し付けられたり、これをしろ!とか、言われないよね?
なーんて、後になってそのときの私は呑気だったと後悔せざるをえなかった。
♢♢♢
「王都レイヤードへよくぞ参ったペトラ・バレンタインよ」
「え、えっと……この度はお招きいただき恐悦至極に存じます……」
とかで良かったのかな?
漫画とかドラマとかで得た情報しか知らないからなぁ……。
「ごほん、それで、今日お主を呼んだけんだが……」
「ゴクリ……」
「お主が地上最強の魔女というのを聞いてな?いてもたってもいられず、呼ばせてもらったのだ」
「え?」
えっと、たしかリィエルさんは、巨神トールを狩るくらいだなって言ってたよね?
なんで、地上最強の魔女なんて尾ひれついてるの!?
「なんでも、その強さは王国聖騎士長と魔王軍の幹部クラスを全員相手にしても余裕で爪のケアをしながら勝つとか……」
さらに尾ひれついたあああああ!
いやいや、無理だから!絶対無理だって!
「あの王様……ひとつ訂正を……」
「なんだね?」
「流石にそれは尾ひれがつきすぎているというか……何というか……」
「ほほぉ?お主は謙虚な心も持ち合わせているのだな?いいぞ!感心した!」
面倒事避けたい&本当のことしか言ってないんだけどなぁ……。
でも、悪い王様じゃないみたいで少し安心したかも。
「そこでだ、お主にひとつ受け取ってほしいものがあるのだ」
「受け取ってほしいもの?」
「これじゃ!」
王様がパチンと指を鳴らすと家来のような人達がたまにバラエティとかで見る芸人さんたちがお着替えする時に使うようなカーテンと、衣装ケースを持ってきた。
「これは?」
「なぁに、最強の魔女にささやかな贈り物じゃよ」
「拝見しても?」
「うむ、構わぬ」
確認する許可が取れたのでケースの中身を見てみる……すると、中には黒をベースに作られて黄色のラインの入ったローブとコートが入っていた。
スカートとトンガリ帽も付属で、よく見る魔女の服そのものだった。
「えっと、これを下さるのですか?」
「うむ、お主にはこれを受け取るだけの資格がある」
「それは嬉しいのですが……私これを受け取るだけのことを何もしてないんですけど……」
ぶっちゃけ、今の服装(ワンピースに淡い桃色のブーツ、上から羽織るローブ)しか服はないのでありがたいのだが、ただより怖いものはないという。
もし、私がこれを受け取った瞬間
「さぁ、金を出してもらおうか?……何なら体で!!」
とか言われる可能性もないことはないのだ。
お金はもちろん全然ないし、かと言って体で払うのも絶対嫌だ……そんな自体を避けるためには私自身、話の裏を知っておく必要があるのだ。
「なぁに、さっきも言ったが最強の魔女へのささやかな贈り物じゃ、何も請求はせんから受け取っておけばよい」
「ほっ……なら、お言葉に甘えて……」
「あぁ、着替えならそのカーテンを使うとよい、誰も覗けぬよう魔法によって細工されておる……もし、それでも安心出来ぬならメイドたちに更衣室へと連れて行ってもらうがよい」
「なら、更衣室を使用しても?」
「ははは!よい!わしを目の前にして臆することなく発言するその精神天晴じゃ!」
何かよくわからないが、私は王様にきにいられたらしい。
見た目とは違って若々しい王様だなぁ。
「では、ペトラ様こちらへ」
「は、はい」
私はメイドたちに案内されるまま更衣室へと向かった。
ただ、着替える描写は省かせてもらいたい……。
なぜなら、それを語るのは恥ずかしい上に、ここでは語ることの出来ないようなことも少し起こったからだ………………。
「わぁー!すごいかわいい!この衣装!」
「はい、とてもよくお似合いでございますペトラ様」
「ほんと?ふふーん!」
前世は全然モテなかったのだが、異世界での私はすごく可愛い!
右目を埋めてしまっているぱっつん前髪が少しくすぐったいけれど、それも含めて愛着が湧いてしまう。
「このとんがり帽のリボンのところが可愛いし……なんだかんだで王都来てよかったかも」
「では、ペトラ様……王がお待ちです」
「わかりました、すぐ行きます」
ちょっとした高揚感と箒もあれば完璧なんじゃない?という気持ちを胸にしまって王様の元へと向かうと、そこには無数の兵士と台座に掲げられたなんだか、凄そうな緑色の本が置いてあった。
「えっと、これは?」
「おぉ、よくぞ戻った!さぁ、こちらへ来い!」
「え?」
私はよく現状を理解出来なかったのだが、一応呼ばれるがままに王様の隣へと行く。
「あの?」
「なんだ?」
「これはどういう?」
「あぁ、そうであったな!喜べ!お主には魔女の正装以外にもっと大きなものも与えることにしたぞ!」
「大きなもの?」
「そう!大きなもの!称号だ!」
称号……あの、神の子だったり、リトルルーキーだったりするあれだろうか?
それを私に……なんでだろう、何もしてないのにことが大きくなりすぎだと思う。
「そ、それで……その称号っていうのは?」
「うむ、無垢の魔女じゃ」
「……」
「どうじゃ?嬉しかろう!」
「一言いいですか?」
「よかろう!なんでも申してみよ!」
なんでも申していいって言ってもらえたし、言ってもいいよね?
後になって
「無礼者!!」
とか言って打首にされたりとかしないよね?
それでも、言わないと私の今後ののんびりスローライフに大きく関わってくる!
私は面倒なことを何もしなくていい、寝たい時に寝て起きたい時に起きる、ご飯は朝昼晩ちゃんと食べて、昼寝もちゃんと出来て、たまに畑をいじったりする……そんな、のんびりスローライフを満喫したいんだ!
「さぁ!いってみよ!」
「称号貰うのキャンセルとかできないですか?返却です」
「貴様がペトラ・バレンタインか?」
「いえ、人違いです」
「ペトラちゃん!?」
私は咄嗟に嘘をついていた。
何故なら、多分ここで本当のことを答えないとこの、平凡な日常が去っていくような……そんな気がしたからだ。
「いや、今その隣の人が貴様の事をペトラと……」
「聞き間違えでは?」
「いや、しかし……」
「聞き間違えです」
「そ、そうなのか?……であれば仕方ない」
ほっ、これで私の平凡な日常が……。
「であれば、この場にいる全員に同行してもらう、全員王都の城まで来てもらうぞ?」
あ……まじですか……。
私のついた嘘、全く意味ないじゃないですか?
「あ、あの?」
「なんだ?」
「なんでそんなにペトラを探してるんですか?彼女全然悪いこととかはしてないですよ?それに可愛いし」
「最後のは関係ない気がするが……まぁ、王が呼んでいて、別に悪いことを罰する用事ではないな」
「そうなんですか?なら、私行ってもいいですよ?」
「え?でもさっきは違うとかなんとか…」
「いいじゃないですか、男の人が細かいこと気にしてるとモテませんよ?」
怒られるような事じゃないなら別にめんどくさいことを押し付けられたり、これをしろ!とか、言われないよね?
なーんて、後になってそのときの私は呑気だったと後悔せざるをえなかった。
♢♢♢
「王都レイヤードへよくぞ参ったペトラ・バレンタインよ」
「え、えっと……この度はお招きいただき恐悦至極に存じます……」
とかで良かったのかな?
漫画とかドラマとかで得た情報しか知らないからなぁ……。
「ごほん、それで、今日お主を呼んだけんだが……」
「ゴクリ……」
「お主が地上最強の魔女というのを聞いてな?いてもたってもいられず、呼ばせてもらったのだ」
「え?」
えっと、たしかリィエルさんは、巨神トールを狩るくらいだなって言ってたよね?
なんで、地上最強の魔女なんて尾ひれついてるの!?
「なんでも、その強さは王国聖騎士長と魔王軍の幹部クラスを全員相手にしても余裕で爪のケアをしながら勝つとか……」
さらに尾ひれついたあああああ!
いやいや、無理だから!絶対無理だって!
「あの王様……ひとつ訂正を……」
「なんだね?」
「流石にそれは尾ひれがつきすぎているというか……何というか……」
「ほほぉ?お主は謙虚な心も持ち合わせているのだな?いいぞ!感心した!」
面倒事避けたい&本当のことしか言ってないんだけどなぁ……。
でも、悪い王様じゃないみたいで少し安心したかも。
「そこでだ、お主にひとつ受け取ってほしいものがあるのだ」
「受け取ってほしいもの?」
「これじゃ!」
王様がパチンと指を鳴らすと家来のような人達がたまにバラエティとかで見る芸人さんたちがお着替えする時に使うようなカーテンと、衣装ケースを持ってきた。
「これは?」
「なぁに、最強の魔女にささやかな贈り物じゃよ」
「拝見しても?」
「うむ、構わぬ」
確認する許可が取れたのでケースの中身を見てみる……すると、中には黒をベースに作られて黄色のラインの入ったローブとコートが入っていた。
スカートとトンガリ帽も付属で、よく見る魔女の服そのものだった。
「えっと、これを下さるのですか?」
「うむ、お主にはこれを受け取るだけの資格がある」
「それは嬉しいのですが……私これを受け取るだけのことを何もしてないんですけど……」
ぶっちゃけ、今の服装(ワンピースに淡い桃色のブーツ、上から羽織るローブ)しか服はないのでありがたいのだが、ただより怖いものはないという。
もし、私がこれを受け取った瞬間
「さぁ、金を出してもらおうか?……何なら体で!!」
とか言われる可能性もないことはないのだ。
お金はもちろん全然ないし、かと言って体で払うのも絶対嫌だ……そんな自体を避けるためには私自身、話の裏を知っておく必要があるのだ。
「なぁに、さっきも言ったが最強の魔女へのささやかな贈り物じゃ、何も請求はせんから受け取っておけばよい」
「ほっ……なら、お言葉に甘えて……」
「あぁ、着替えならそのカーテンを使うとよい、誰も覗けぬよう魔法によって細工されておる……もし、それでも安心出来ぬならメイドたちに更衣室へと連れて行ってもらうがよい」
「なら、更衣室を使用しても?」
「ははは!よい!わしを目の前にして臆することなく発言するその精神天晴じゃ!」
何かよくわからないが、私は王様にきにいられたらしい。
見た目とは違って若々しい王様だなぁ。
「では、ペトラ様こちらへ」
「は、はい」
私はメイドたちに案内されるまま更衣室へと向かった。
ただ、着替える描写は省かせてもらいたい……。
なぜなら、それを語るのは恥ずかしい上に、ここでは語ることの出来ないようなことも少し起こったからだ………………。
「わぁー!すごいかわいい!この衣装!」
「はい、とてもよくお似合いでございますペトラ様」
「ほんと?ふふーん!」
前世は全然モテなかったのだが、異世界での私はすごく可愛い!
右目を埋めてしまっているぱっつん前髪が少しくすぐったいけれど、それも含めて愛着が湧いてしまう。
「このとんがり帽のリボンのところが可愛いし……なんだかんだで王都来てよかったかも」
「では、ペトラ様……王がお待ちです」
「わかりました、すぐ行きます」
ちょっとした高揚感と箒もあれば完璧なんじゃない?という気持ちを胸にしまって王様の元へと向かうと、そこには無数の兵士と台座に掲げられたなんだか、凄そうな緑色の本が置いてあった。
「えっと、これは?」
「おぉ、よくぞ戻った!さぁ、こちらへ来い!」
「え?」
私はよく現状を理解出来なかったのだが、一応呼ばれるがままに王様の隣へと行く。
「あの?」
「なんだ?」
「これはどういう?」
「あぁ、そうであったな!喜べ!お主には魔女の正装以外にもっと大きなものも与えることにしたぞ!」
「大きなもの?」
「そう!大きなもの!称号だ!」
称号……あの、神の子だったり、リトルルーキーだったりするあれだろうか?
それを私に……なんでだろう、何もしてないのにことが大きくなりすぎだと思う。
「そ、それで……その称号っていうのは?」
「うむ、無垢の魔女じゃ」
「……」
「どうじゃ?嬉しかろう!」
「一言いいですか?」
「よかろう!なんでも申してみよ!」
なんでも申していいって言ってもらえたし、言ってもいいよね?
後になって
「無礼者!!」
とか言って打首にされたりとかしないよね?
それでも、言わないと私の今後ののんびりスローライフに大きく関わってくる!
私は面倒なことを何もしなくていい、寝たい時に寝て起きたい時に起きる、ご飯は朝昼晩ちゃんと食べて、昼寝もちゃんと出来て、たまに畑をいじったりする……そんな、のんびりスローライフを満喫したいんだ!
「さぁ!いってみよ!」
「称号貰うのキャンセルとかできないですか?返却です」
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