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1章
出会い
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昼間はあんなに騒ぐ動物も、もう声がしない。暗闇に自分の呼吸だけが空気を通って跳ね返る。
どれくらい歩いたのだろう。もう壁を探してだいぶ経った。上を見ると、日光がこちらを優しく見ていた。
偉大なる壁と呼ばれることだけあり、遠くから見るとものすごく立派なのだが、いざ探してみると、分からなくなる。
「もう日を越したか…」
寝ずに歩き続け意識は朦朧としていた。足はもうほとんど動かなくなっていた。
「…!だめだ。寝てはだめだ!」
自分にそう言い聞かせる。だいぶ呼吸も辛い。
「偉大なる壁の近くの森に入ったら鼻から吸うな。たちまち毒にやれるぞ。」
大佐の重い言葉が脳内で響く。偉大なる壁の周りにある、暗い森は昔ユーパラとウィレアとの戦争後に互いが互いの土地を荒らさないように作られ、森の中には毒が吹き出ている。人間だけがこの毒を吸い続けると死んでしまう。
ガサッ
木々が音を立てる。あまりに敏感になりすぎて、戦闘の構えをとってしまう。
「ちゅうちゅう」
小柄なネズミだ。あまりネズミは好きではない。
「…あの化け物は政府がウィレアをウィレアの土地を奪う為に作り出したそうだ。」
「くっ…!」
腕が勝手に動く。あれから、何故か復讐という闇が膨れ上がる時、体を自分での意思じゃない何かが疼く。それに、あんなことがあり、そこら辺の動物を怪しい目で見てしまう。
「お前もあいつらのように、人を殺すために生まれたのか?」
特に意味もなく聞いてしまう。ネズミは逃げた。
ガサ…
また木々の音。どうせネズミであ
ガサガサッ
何かいる。直感でそう感じたが明らかにさっきから音がおかしい。
「誰だ、何かいるのか…!?」
鼓動が徐々に早くなる。すうっと剣を抜く。
ガサガサ。
音ともに、前方の草木が揺れる。
「そこか…!」
慎重にゆっくり身構えながら続く。丁度月が照らす。
徐々に見えてきた影は動物ではない。そう思った時、その影がゆっくり倒れるような動作をおこす。
「…!人間か!」
咄嗟に足が動き影を支える。自分と同じくらいだろうか、月光によって照らし出される。顔を見えないが美しい。
呼吸と脈拍を調べる。少しだがまだ生きてる。そう思い、顔にかっかった髪の毛を優しく後ろに回す。
「なっ!」
額に描かれているのは、あのウィレアを表す、紋章だった。
「ウッ…息が…っ」
「!大丈夫か?」
呼吸と言われ、咄嗟に首元に手を添える。呼吸をしているのはさっき確かめたが、何かあるのか。必死に考えて彼女の言っている意味を理解しようとする。
「ヒュー…。」
呼吸がおかしい。何かが。おかしい。
もしかして、毒を吸ったのか?!さっき呼吸をしていた時にヒューとしていたのもそのせいであろう。
「薬!」
持っていた解毒剤を彼女に飲ませる。
「飲めるか?」
彼女はこくんとうなずき、薬をゆっくり飲む。
「ありがとう。」
そう言うと、彼女は安心したのか寝てしまった。
「ここにいても危ない。そろそろ大佐の言っていたことが正しければ扉が開く。彼女も…向こう側の人間だ。」
せっせっと身支度を終え、彼女を抱えてまた歩き出す。
月光に照らされた、その大きな扉は開いていた。彼はゆっくり異国の地へ足を踏み入れた。
どれくらい歩いたのだろう。もう壁を探してだいぶ経った。上を見ると、日光がこちらを優しく見ていた。
偉大なる壁と呼ばれることだけあり、遠くから見るとものすごく立派なのだが、いざ探してみると、分からなくなる。
「もう日を越したか…」
寝ずに歩き続け意識は朦朧としていた。足はもうほとんど動かなくなっていた。
「…!だめだ。寝てはだめだ!」
自分にそう言い聞かせる。だいぶ呼吸も辛い。
「偉大なる壁の近くの森に入ったら鼻から吸うな。たちまち毒にやれるぞ。」
大佐の重い言葉が脳内で響く。偉大なる壁の周りにある、暗い森は昔ユーパラとウィレアとの戦争後に互いが互いの土地を荒らさないように作られ、森の中には毒が吹き出ている。人間だけがこの毒を吸い続けると死んでしまう。
ガサッ
木々が音を立てる。あまりに敏感になりすぎて、戦闘の構えをとってしまう。
「ちゅうちゅう」
小柄なネズミだ。あまりネズミは好きではない。
「…あの化け物は政府がウィレアをウィレアの土地を奪う為に作り出したそうだ。」
「くっ…!」
腕が勝手に動く。あれから、何故か復讐という闇が膨れ上がる時、体を自分での意思じゃない何かが疼く。それに、あんなことがあり、そこら辺の動物を怪しい目で見てしまう。
「お前もあいつらのように、人を殺すために生まれたのか?」
特に意味もなく聞いてしまう。ネズミは逃げた。
ガサ…
また木々の音。どうせネズミであ
ガサガサッ
何かいる。直感でそう感じたが明らかにさっきから音がおかしい。
「誰だ、何かいるのか…!?」
鼓動が徐々に早くなる。すうっと剣を抜く。
ガサガサ。
音ともに、前方の草木が揺れる。
「そこか…!」
慎重にゆっくり身構えながら続く。丁度月が照らす。
徐々に見えてきた影は動物ではない。そう思った時、その影がゆっくり倒れるような動作をおこす。
「…!人間か!」
咄嗟に足が動き影を支える。自分と同じくらいだろうか、月光によって照らし出される。顔を見えないが美しい。
呼吸と脈拍を調べる。少しだがまだ生きてる。そう思い、顔にかっかった髪の毛を優しく後ろに回す。
「なっ!」
額に描かれているのは、あのウィレアを表す、紋章だった。
「ウッ…息が…っ」
「!大丈夫か?」
呼吸と言われ、咄嗟に首元に手を添える。呼吸をしているのはさっき確かめたが、何かあるのか。必死に考えて彼女の言っている意味を理解しようとする。
「ヒュー…。」
呼吸がおかしい。何かが。おかしい。
もしかして、毒を吸ったのか?!さっき呼吸をしていた時にヒューとしていたのもそのせいであろう。
「薬!」
持っていた解毒剤を彼女に飲ませる。
「飲めるか?」
彼女はこくんとうなずき、薬をゆっくり飲む。
「ありがとう。」
そう言うと、彼女は安心したのか寝てしまった。
「ここにいても危ない。そろそろ大佐の言っていたことが正しければ扉が開く。彼女も…向こう側の人間だ。」
せっせっと身支度を終え、彼女を抱えてまた歩き出す。
月光に照らされた、その大きな扉は開いていた。彼はゆっくり異国の地へ足を踏み入れた。
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