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第三章
それぞれの戦い――act:クロウ
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轟音が響く。狙撃されたのかと思い、とっさにクロウとアオイの双方に視線を走らせる。だが、弾丸はどこにも着弾した様子がない。
何の音だったのかと周囲を見回すと、街のシンボルである時計塔の頂上付近の壁面が崩れ落ち、粉塵がもうもうと立ち込めていた。そうしていると、その粉塵を突き破って何かが高速で射出され下方のビルに突き刺さった。
間違いない。あそこに狙撃手、フェイク3がいる。しかし一体どうしたことだろう。今のクロウやアオイらを狙ったものではない。狙撃というより、流れ弾といったほうが正しい。
考えられるのは、今フェイク3は何者かと戦っている。
だとするなら、相手はギン以外に考えられない。彼の動体視力なら超高速の狙撃弾道から発射位置を突き止めることなど造作も無いことだろう。
おそらくフェイク3も他のフェイク同様に常人離れした相手に違いない。ギンの身が心配になるけど、ここからでは僕に出来ることはない。
ギンならきっとやってくれると信じ、僕は目前の戦闘に意識を向ける。現在、クロウを追うヘリの数は残り三機。こちらの機体もすでに自閉モードになっており、先ほどのようにハッキングを試みることはできなかった。
僕が合流した時、クロウは機銃掃射から身を隠すため逃げこむようにとあるビルに入った。
しかし、これは少々まずい選択だった。
そのビルは鉄骨が剥き出しで、上層階は壁すらもない。かろうじて床と上層階への階段があるだけだ。建築用のクレーンなどが残っているところを見るに、朽ちて崩壊したわけではなく建設途中で放棄されたもののようだ。
外側から丸見えだから、これでは居場所をすぐに見つかってしまうばかりか、向こうからも攻撃が容易になってしまう。身を隠すものといえば太い柱と積まれた資材くらいなものだ。
クロウにとって幸いだったのは、そこが工事現場であり、武器に使えるものに事欠かないことだった。鉄骨に鉄パイプ、ワイヤーや鉄板に硬化したコンクリ魂などの建築素材様々。クロウが手にとれば、それらはたちまち恐ろしいまでの凶器へと変貌する。
今もまた、クロウが転がっていた鉄板を抱え、全身を独楽のように回転させながら力強く投げつけた。激しく横回転しながら飛んでいった鉄板は、滞空していた一機のヘリの機体側面を抉り深く刺さった。機体はバランスを失い、緩やかに回転しながら垂直に落下していく。機首から路面に墜落したヘリは、爆発こそ起こらなかったもののパイロットは無事ではないだろう。
残るは二機。だがこの二機が難敵だった。
次にクロウは手近にあった鉄骨を構えると、ヘリに向かって投擲。しかし、クロウの動きを見切ったヘリは一直線に飛来する鉄骨の軸を避け、軽快に躱す。
『そんな馬鹿みたいな攻撃がいつまでも当たると思うなよ!』
反撃とばかりに、応射するヘリの機関砲から逃れるべくクロウは階段から下の階へと飛び込む。そのすぐ背後で銃弾が床に激突し大穴を穿つ。
二機はビルを中心に分かれ、互いをカバーしながらクロウを包囲・挟撃する構えだ。残り少ないロケット弾を使用しないのは、後に控えているアオイとの戦いを想定し、温存するためか。勇者でもない人間ただ一人に対して重火器を使うのはパイロットの挟持が許さないのかもしれない。
機銃だけとはいえその巧みな連携攻撃に、さしものクロウも反撃の隙を見出だせない。文字通りの十字砲火から逃れ、隠れるので精一杯になる。
「こんな時、俺様の尊敬するフェイバリットヒーロー「暴れん坊ジェネラル」なら自慢の刀技で銃の弾くらい簡単に斬り落としちまうんだろうが……それはさすがに無茶ってもんか」
「トラック投げつけてヘリを落とすのに比べればそれほど無茶でもない気もするけどね」
「だいたい、跳んでるのがフェアじゃねぇよ!せめてオレ様の手が届くところまで降りてこいってんだ」
「いや、フェアって――」
そんな時、ある物が目に入った僕は、ある考えがよぎり、思わず笑みを浮かべた。
「つまりクロウは、やつらが手が届く所にいればいいんだね?」
「あァ?そりゃまぁな」
「それなら、イイことを思いついちゃったよ」
僕がそう告げると、さすが十年来の親友。悪戯めいた僕の口調に何かを察したのか、クロウもニヤリと笑う。
「さすが親友。そう来なくっちゃな。で?どうすりゃいい?」
「うん。まずは――」
僕は手短にクロウに指示を出す。そうしているうちに、ヘリはクロウが下に降りたことに気付いたようだ。
『奴は下に行ったみたいですね』
『俺が炙り出す。奴が出てきたら狙い撃て』
ホーネット6に指示を出すとホーネットリーダーは高度を落とし、下の階を覗き込む……
「今だ!クロウ!」
合図すると同時に、クロウは柱の陰から駆け出し、階段を一直線に駆け上って行く。
『そこか!』
目の前を走り抜けていくクロウに狙いを付け、ホーネット6がすぐさま機関砲を掃射する。全力で疾走するクロウの背中を赤熱する弾丸が掠る。射線がクロウを捉える直前、ヘッドスライディングで積み上げられた鉄骨の間に隠れた。直後、砲弾の雨が火花を上げながら鉄骨を揺らした。
上からみるとちょうどL字に積まれた鉄骨の内側に隠れたクロウは、二機の両方から身を隠す形になる。
「どうだいクロウ?」
「おうよ。ばっちり手に入れた」
僕はすぐに準備にとりかかる。時を同じく、密かにビルに隣接するタワークレーンの運転席にまで移動していた僕は、操作盤の電源スイッチを入れる。いかんせん、昔に打ち捨てられたものだ。動く保証はない。ここは僕の運が試される。
「頼むから動いてよね……」
僕の願いが通じたのか、程なくして操作盤に明かりが灯り、起動したことを示す。どうやら僕はまだ運に見放されていないようだ。あとはクロウの合図を待って実行するのみ。
『これで終わりだ!』
ホーネット6が高速でビルを回り込み、クロウの姿を捉える。
直後、ホーネット6の視界は青一色に覆われる。それは工事の際、騒音や粉塵を抑えるためにビルを覆うためのブルーシートだった。空中で大きく開かれたシートは、パイロットの視界を覆うのに十分な物だった。
『こんな子供だましで!』
ホーネット6は構うことなくトリガーを引く。機関砲が火を吹くと、シートをずたずたに引き裂きながら、その向こうに弾丸の雨を降らせる。シートが散り散りになり、視界が開けるも、そこにクロウの姿は見当たらなかった。
『下だ!』
ホーネットリーダーが叫ぶ声で反射的に視線を向けた先には、一直線に迫り来るクロウの姿があった。
反射的にトリガーを引いて機関砲を発射するも、吐き出された弾丸はクロウの頭上を掠めただけに終わる。すでにクロウは銃口真下の射角外だ。
機関砲を文字通り間一髪でやり過ごしたクロウは勢いを緩めず、屋上で手に入れたそれを手元まで手繰り寄せる。
それはタワークレーンから垂れ下がるフック。
「ぬぅおおおお!」と、雄叫びを上げながら両手を振り上げて屋上の床を蹴り、空中に飛び出した。手に持ったフックは、ヘリの離着陸用主脚にがっちりとひっかかった。
クロウはフックに繋がったワイヤーのたるみを伝って素早く下降し、振り子の要領で階下のフロアに飛び込んだ。
「レン!OKだ!」
「了解!」
応えると同時に、僕の指が操作盤を叩く。すると、タワークレーンは機械音の唸りを響かせる。
何が起こったかわからないホーネット6は、とっさに高度を取ろうと機体を上昇させようとする。しかし、機体はその場から動くことができなかった。
それもそのはず。クレーンに巻き取られたワイヤーは完全に張りきり、ヘリをその場に釘付けにしてしまっていたのだ。さすがに年月が経っているため、クレーンそのものは動く見込みはなかったものの、ワイヤーの巻き取り機構はまだかろうじて動いてくれた。
『くそっ!引き寄せられる!』
ヘリはワイヤーはキリキリと巻き取られ、ゆっくりと、でも確実にビル側に手繰り寄せる。ホーネット6が必死に上昇したり機体を傾けても、ピンと張ったワイヤーはヘリを逃がさない。いかに武装ヘリといえど、何十トンもの建築建材を持ち上げるこのワイヤーから逃れるのは容易ではない。
『くそっ。こうなったらクレーンを直接破壊し――』
言いながらホーネット6はワイヤーの根元を探して視線を彷徨わす。
そして信じられないものを目にし、言いかけた言葉を飲み込んだ。
ヘリパイロットが見たものは、鉄骨を野球のバッティングフォームよろしく構えるクロウの姿だった。
全長一〇メートル近い長さの鉄骨が彼の腕力で振られ、そしてそれがヘリにぶつかればどうなるか。
ワイヤーに引き寄せられたホーネット6のヘリは、十分クロウの間合いの内にある。
恐怖に駆られたホーネット6は機関砲を向けるも、時既に遅し。
ダンッ!と強く足を踏むと、腰のスイングと腕力に力を込め、鉄骨を大きく振り抜いた。
唸りを上げてしなる鉄骨は、ヘリの胴体をジャストミート。装甲がひしゃげる派手な音と共に、ヘリは大きく打ち上げられる。同時にフックが外れ、ワイヤーからも解放されたヘリは空中で回転しながら大通りの上を弾道曲線で飛んでいき、突き当たりのビルの中腹にめり込んだ。直後、ヘリは爆発し、崩壊するビルの瓦礫に沈んだ。
「文句なしのホームランだな……従属をクビになっても野球選手で食っていけんな」
「クロウが出場した日には野球場が大惨事だよ……」
などと気楽な会話も束の間、まだ最後の一機、ホーネットリーダーが残っていた。
「ふざけやがって!もうこうなったら、ビルもろともブッ潰してやる!」
ヤケクソ気味に最後まで残ったホーネットリーダーは後の事もパイロットの挟持もかなぐり捨て、大きく高度を取ると全弾発射をする構えを見せた。
「けっ!まだいやがったか」
悪態をつきながらもクロウは鉄骨を構える。
「こいつでトドメだ!食らえ!最終必殺奥義!ファイナル・ジ・エンド!」
クロウは身をぐっと反らして手にした鉄骨を構えると、意味の重複しまくった必殺技の名前を叫びながら渾身の力で投擲した。
クロウの手から離れまさに弦から放たれた矢のような速さで突き進む鉄骨。
ちなみに、普通に投げた場合と必殺技の違いは見た目にはわからないし、多分違いはない。まぁ確かに必殺の威力ではあることは間違いないけど。
と、その時僕は飛んでいく鉄骨の尾から何かが伸びていることに気付く。それはどうやら鉄骨を束ねるためのワイヤーで、それが絡まったままのようだ。ワイヤーの先を目で追うと、それはクロウの足元まで伸び……
「うぉぉぉぉぉぉ!」
足元のワイヤーはクロウの脚に絡みつき、そのままクロウの身を連れ去ってしまった!
「何ギャグマンガみたいなことしてるの!」
思わずそう叫ばずにはいられなかった。
ホーネットリーダーはこれまでクロウの攻撃を全て躱している。その操縦技術が撃墜された他の機とは一線を画しているのは素人目から見ても明らかだった。今もまた、正面から迫る鉄骨を最低限の動きで巧みに回避する。それはすでに生き物のような動きと言っても過言ではない。
その熟練パイロットが、獣じみた雄叫びを上げながら迫る上下逆さの大男を見たとき、果たしてどんな心境だっただろう。
幸い、クロウはスタブウィングにしがみつき事なきを得て、僕はほっと胸をなで下ろす。
「あぶねぇあぶねぇ。オレ様のハイパワーが裏目に出るとは。敵が余程の策士なのか、筋肉の叛逆か……」
「どっちも違うよ!そんなことよりクロウ!ローターを斬るんだ!」
訳のわからないことをぼやくクロウに、ツッコミもそこそこに、瞬時にレシーバーに指示を飛ばす。
僕の声に反応したクロウはすぐに動き出す。クロウは背中からチェーンソーを抜くと、素早くエンジンを始動。両手で構えたチェーンソーを振り払う。
仕様をブライン戦時のままにしておいてよかった。対甲殻用に換装した特別仕様のチェーンソーと彼の怪力が合われば正に鬼に金棒。強固な作りになっているメインローターのシャフトも、彼にかかれば小枝も同然。激しく火花を散らせながら、ローターはあっさりと切り離されてしまう。ローターは明後日の方向に飛び去り、本体は姿勢制御ができないまま墜落していく。
クロウを乗せたまま。
「お、おいレン!すごい勢いで落ちてるぞ!この後はどうすりゃいい!」
「……おまかせで」
「馴染みの常連客みたいな事を言うなぁぁぁぁぁ!」
クロウの叫びを引き連れてぐんぐん落ちていくヘリを、僕には見送ることしかできなかった。
と、落下先の建物の屋根に、僕は人の姿を確認する。
なんたる偶然だろう。そこにいたのは、フェイクと思われる黒服だった。姿を確認できない最後のフェイク。
会話内容から察するにフェイク2か。
その黒服は奇抜な形状をした剣を地面に突き立て、フェイクリーダーとアオイの戦いを見下ろしていた。
僕はフェイク2の前に突き立てられた剣に目が行く。刀身には継ぎ目があり、細かく分割されていた。今は分割ラインにそってパーツがスライド、展開し一回り大きくなっている。展開することで顕になった刀身の内部フレームからは電子的にな発光が確認できる。
それは剣というよりも何かの機械装置のようであった。
「あれは……聖剣[クリフィス]!?」
以前、僕はこの聖剣についてのプレスリリースを読んだ記憶がある。[クリフィス]はトライランバス・インダストリーのサポート型聖剣で、勇者の能力を拡散・集約する事ができる機能を持つ。担い手を選ぶが、"DEEP"の相性が合えば高い能力を発揮できる。かなり特殊な聖剣だったため記憶にも印象強く残っていた。
フェイク2の会話から察するに、やはりアオイの粒子展開を阻んでいるのはあのフェイク2だろう。
アオイたちの戦いに集中していたフェイク2は、上空で起こっていることに全く注意を払っていなかった。彼がようやく気付いて顔を上げたとき、すでにヘリはフェイク2の頭上すぐ近くにまで迫っていた。
慌ててその場を離れるフェイク2を追いかけるかのように、ヘリは建物の屋根に墜落する。衝撃に機体はひしゃげ、寸秒の間もおかず、ヘリは爆発に呑まれた。
全力疾走していたフェイク2は衝撃と爆風に体勢を崩した。爆散する装甲や部品が次々と飛来し、全身を打ち据え、突き刺さる。尖った装甲の破片と思われる一部が彼の手首に深々と突き刺さり、その衝撃で剣が手元から弾かれる。
さらに、両翼に懸架していたミサイルやロケットポッドが爆発。連続する激しい爆発にフェイク2は剣を拾うことも後回しに、ヘッドダイビングで身を伏せる。直後、爆風と熱の嵐が吹き荒れ、彼の全身を焼いた。
巻き上がる粉塵と黒煙を背に、フェイク2がゆっくりと立ち上がる。さしものフェイクも、あの爆発を至近距離で受けて無事には済まなかった様子だ。爆音が三半規管にまで達したのか、足元はふらついておぼつかず、背中には無数の破片が突き刺さって見るも痛々しい。
それでもフェイク2は治療よりもすぐさま自身の得物を探し求め、視線を彷徨わせる。ほどなく、斜めに傾いて地面に突き刺さる剣を見つけた。
しかしその剣の直上より、ドスンッ!と激しい音を立てて巨大な何かが落下した。
「ふぅ……さすがのオレ様も今回ばかりはヤバかったぜ」
クロウだった。墜落直前にヘリから跳躍した彼はその後の爆風に押し上げられ、今になって着地を果たしたのだった。
「もしオレ様にも翼があれば……いや、待てよ。そんなことになったら、世界中が大騒ぎになっちまう。美しき筋肉天使・クロウ様がついに下界に降臨と、いてッ!」
本格的に訳のわからなことを呟きながら歩き出すクロウは、つま先を何かにぶつける。何か、とは言うまでもなくフェイク2の聖剣[クリフィス]だ。
「なんだこりゃ、あぶねぇな!誰だ!こんなとこにこんなモン捨てやがって!」
悪態を吐きながらクロウが[クリフィス]に手を伸ばす。
その瞬間、得物を奪い返すべくフェイク2が俊敏に動く!まだクロウはフェイク2の存在に気づいていない。
「こんなもの、こうしてくれる!どっ、せいっ!」
なんとクロウは大きく振りかぶると渾身の力で投擲した!回転しながらものすごい勢いで飛んでいく[クリフィス]は、あっという間に茜色の空の彼方へと消えていった。
フェイク2はその剣の行方を半ば唖然としながら目で追っていた。そこでようやくクロウは、目の前まで迫っていたフェイク2の存在に気付く。
「ん?あ。あれお前のだったのか?」
「……」
「わりぃ。どっかいっちまった」
詫びれもなく軽い感じで言い放った彼に、フェイク2は殺意を覚えたことのだろう。怒りに染まる目で、瞬発的に手にしたアサルトライフルをクロウに向け、躊躇いなく引き金を引いた。
が、弾丸が発射される寸前に銃口を上から抑えられ、弾丸はクロウの足元で跳ねる。フェイク2がどれだけ力を込めて引っ張ろうとアサルトライフはびくとも動かない。それどころか、凄まじい握力でバレルが飴細工のようにひしゃげていく。
「それはそうと……テメェら、オレ様の連れを随分可愛がってくれたみたいだな。あぁ?」
フェイク2を睨みつけて言うクロウ。その声色には静かな怒りが含まれていた。
友情に厚いクロウのことだ。きっと、友を傷つけられたことに激しい怒りを覚えているに違いない。そんな彼に僕は頼もしい思いで胸が熱くなる。
「それもこんなチャチなオモチャで。ケインやアオイならともかく……」
クロウが語っている隙にフェイク2はライフルから手を放し、瞬時に脇下のホルスターに収められたハンドガンに手を伸ばすが、彼が銃把を握るよりも先にクロウの豪腕が唸った。
「オレ様の芸術的な筋肉に傷がついたら、どうしてくれんだァァァァ!」
「えぇぇぇぇ!」
全然友情関係なかったよ!盛大に買いかぶりした自分が恥ずかしい!
純一〇〇%自己愛オンリーな雄叫びと共に放たれた彼の拳がフェイク2のガスマスクを砕き、その奥にある顔面に突き刺さる。拳がめり込むほどの力をその顔に受けたフェイク2は、勢いのまま地面へと叩きつけられる。顔面が陥没し、目鼻口の判別が難しい程に酷い有様だった。それでも、トラックを素手で投げ飛ばす程のクロウの腕力を受けて、首がもげ落ち無かっただけでも奇跡だ。
「ま。銃弾程度じゃオレ様の筋肉は傷一つ付かんがな」
「いやいやいや」
もうめちゃくちゃだ。
何の音だったのかと周囲を見回すと、街のシンボルである時計塔の頂上付近の壁面が崩れ落ち、粉塵がもうもうと立ち込めていた。そうしていると、その粉塵を突き破って何かが高速で射出され下方のビルに突き刺さった。
間違いない。あそこに狙撃手、フェイク3がいる。しかし一体どうしたことだろう。今のクロウやアオイらを狙ったものではない。狙撃というより、流れ弾といったほうが正しい。
考えられるのは、今フェイク3は何者かと戦っている。
だとするなら、相手はギン以外に考えられない。彼の動体視力なら超高速の狙撃弾道から発射位置を突き止めることなど造作も無いことだろう。
おそらくフェイク3も他のフェイク同様に常人離れした相手に違いない。ギンの身が心配になるけど、ここからでは僕に出来ることはない。
ギンならきっとやってくれると信じ、僕は目前の戦闘に意識を向ける。現在、クロウを追うヘリの数は残り三機。こちらの機体もすでに自閉モードになっており、先ほどのようにハッキングを試みることはできなかった。
僕が合流した時、クロウは機銃掃射から身を隠すため逃げこむようにとあるビルに入った。
しかし、これは少々まずい選択だった。
そのビルは鉄骨が剥き出しで、上層階は壁すらもない。かろうじて床と上層階への階段があるだけだ。建築用のクレーンなどが残っているところを見るに、朽ちて崩壊したわけではなく建設途中で放棄されたもののようだ。
外側から丸見えだから、これでは居場所をすぐに見つかってしまうばかりか、向こうからも攻撃が容易になってしまう。身を隠すものといえば太い柱と積まれた資材くらいなものだ。
クロウにとって幸いだったのは、そこが工事現場であり、武器に使えるものに事欠かないことだった。鉄骨に鉄パイプ、ワイヤーや鉄板に硬化したコンクリ魂などの建築素材様々。クロウが手にとれば、それらはたちまち恐ろしいまでの凶器へと変貌する。
今もまた、クロウが転がっていた鉄板を抱え、全身を独楽のように回転させながら力強く投げつけた。激しく横回転しながら飛んでいった鉄板は、滞空していた一機のヘリの機体側面を抉り深く刺さった。機体はバランスを失い、緩やかに回転しながら垂直に落下していく。機首から路面に墜落したヘリは、爆発こそ起こらなかったもののパイロットは無事ではないだろう。
残るは二機。だがこの二機が難敵だった。
次にクロウは手近にあった鉄骨を構えると、ヘリに向かって投擲。しかし、クロウの動きを見切ったヘリは一直線に飛来する鉄骨の軸を避け、軽快に躱す。
『そんな馬鹿みたいな攻撃がいつまでも当たると思うなよ!』
反撃とばかりに、応射するヘリの機関砲から逃れるべくクロウは階段から下の階へと飛び込む。そのすぐ背後で銃弾が床に激突し大穴を穿つ。
二機はビルを中心に分かれ、互いをカバーしながらクロウを包囲・挟撃する構えだ。残り少ないロケット弾を使用しないのは、後に控えているアオイとの戦いを想定し、温存するためか。勇者でもない人間ただ一人に対して重火器を使うのはパイロットの挟持が許さないのかもしれない。
機銃だけとはいえその巧みな連携攻撃に、さしものクロウも反撃の隙を見出だせない。文字通りの十字砲火から逃れ、隠れるので精一杯になる。
「こんな時、俺様の尊敬するフェイバリットヒーロー「暴れん坊ジェネラル」なら自慢の刀技で銃の弾くらい簡単に斬り落としちまうんだろうが……それはさすがに無茶ってもんか」
「トラック投げつけてヘリを落とすのに比べればそれほど無茶でもない気もするけどね」
「だいたい、跳んでるのがフェアじゃねぇよ!せめてオレ様の手が届くところまで降りてこいってんだ」
「いや、フェアって――」
そんな時、ある物が目に入った僕は、ある考えがよぎり、思わず笑みを浮かべた。
「つまりクロウは、やつらが手が届く所にいればいいんだね?」
「あァ?そりゃまぁな」
「それなら、イイことを思いついちゃったよ」
僕がそう告げると、さすが十年来の親友。悪戯めいた僕の口調に何かを察したのか、クロウもニヤリと笑う。
「さすが親友。そう来なくっちゃな。で?どうすりゃいい?」
「うん。まずは――」
僕は手短にクロウに指示を出す。そうしているうちに、ヘリはクロウが下に降りたことに気付いたようだ。
『奴は下に行ったみたいですね』
『俺が炙り出す。奴が出てきたら狙い撃て』
ホーネット6に指示を出すとホーネットリーダーは高度を落とし、下の階を覗き込む……
「今だ!クロウ!」
合図すると同時に、クロウは柱の陰から駆け出し、階段を一直線に駆け上って行く。
『そこか!』
目の前を走り抜けていくクロウに狙いを付け、ホーネット6がすぐさま機関砲を掃射する。全力で疾走するクロウの背中を赤熱する弾丸が掠る。射線がクロウを捉える直前、ヘッドスライディングで積み上げられた鉄骨の間に隠れた。直後、砲弾の雨が火花を上げながら鉄骨を揺らした。
上からみるとちょうどL字に積まれた鉄骨の内側に隠れたクロウは、二機の両方から身を隠す形になる。
「どうだいクロウ?」
「おうよ。ばっちり手に入れた」
僕はすぐに準備にとりかかる。時を同じく、密かにビルに隣接するタワークレーンの運転席にまで移動していた僕は、操作盤の電源スイッチを入れる。いかんせん、昔に打ち捨てられたものだ。動く保証はない。ここは僕の運が試される。
「頼むから動いてよね……」
僕の願いが通じたのか、程なくして操作盤に明かりが灯り、起動したことを示す。どうやら僕はまだ運に見放されていないようだ。あとはクロウの合図を待って実行するのみ。
『これで終わりだ!』
ホーネット6が高速でビルを回り込み、クロウの姿を捉える。
直後、ホーネット6の視界は青一色に覆われる。それは工事の際、騒音や粉塵を抑えるためにビルを覆うためのブルーシートだった。空中で大きく開かれたシートは、パイロットの視界を覆うのに十分な物だった。
『こんな子供だましで!』
ホーネット6は構うことなくトリガーを引く。機関砲が火を吹くと、シートをずたずたに引き裂きながら、その向こうに弾丸の雨を降らせる。シートが散り散りになり、視界が開けるも、そこにクロウの姿は見当たらなかった。
『下だ!』
ホーネットリーダーが叫ぶ声で反射的に視線を向けた先には、一直線に迫り来るクロウの姿があった。
反射的にトリガーを引いて機関砲を発射するも、吐き出された弾丸はクロウの頭上を掠めただけに終わる。すでにクロウは銃口真下の射角外だ。
機関砲を文字通り間一髪でやり過ごしたクロウは勢いを緩めず、屋上で手に入れたそれを手元まで手繰り寄せる。
それはタワークレーンから垂れ下がるフック。
「ぬぅおおおお!」と、雄叫びを上げながら両手を振り上げて屋上の床を蹴り、空中に飛び出した。手に持ったフックは、ヘリの離着陸用主脚にがっちりとひっかかった。
クロウはフックに繋がったワイヤーのたるみを伝って素早く下降し、振り子の要領で階下のフロアに飛び込んだ。
「レン!OKだ!」
「了解!」
応えると同時に、僕の指が操作盤を叩く。すると、タワークレーンは機械音の唸りを響かせる。
何が起こったかわからないホーネット6は、とっさに高度を取ろうと機体を上昇させようとする。しかし、機体はその場から動くことができなかった。
それもそのはず。クレーンに巻き取られたワイヤーは完全に張りきり、ヘリをその場に釘付けにしてしまっていたのだ。さすがに年月が経っているため、クレーンそのものは動く見込みはなかったものの、ワイヤーの巻き取り機構はまだかろうじて動いてくれた。
『くそっ!引き寄せられる!』
ヘリはワイヤーはキリキリと巻き取られ、ゆっくりと、でも確実にビル側に手繰り寄せる。ホーネット6が必死に上昇したり機体を傾けても、ピンと張ったワイヤーはヘリを逃がさない。いかに武装ヘリといえど、何十トンもの建築建材を持ち上げるこのワイヤーから逃れるのは容易ではない。
『くそっ。こうなったらクレーンを直接破壊し――』
言いながらホーネット6はワイヤーの根元を探して視線を彷徨わす。
そして信じられないものを目にし、言いかけた言葉を飲み込んだ。
ヘリパイロットが見たものは、鉄骨を野球のバッティングフォームよろしく構えるクロウの姿だった。
全長一〇メートル近い長さの鉄骨が彼の腕力で振られ、そしてそれがヘリにぶつかればどうなるか。
ワイヤーに引き寄せられたホーネット6のヘリは、十分クロウの間合いの内にある。
恐怖に駆られたホーネット6は機関砲を向けるも、時既に遅し。
ダンッ!と強く足を踏むと、腰のスイングと腕力に力を込め、鉄骨を大きく振り抜いた。
唸りを上げてしなる鉄骨は、ヘリの胴体をジャストミート。装甲がひしゃげる派手な音と共に、ヘリは大きく打ち上げられる。同時にフックが外れ、ワイヤーからも解放されたヘリは空中で回転しながら大通りの上を弾道曲線で飛んでいき、突き当たりのビルの中腹にめり込んだ。直後、ヘリは爆発し、崩壊するビルの瓦礫に沈んだ。
「文句なしのホームランだな……従属をクビになっても野球選手で食っていけんな」
「クロウが出場した日には野球場が大惨事だよ……」
などと気楽な会話も束の間、まだ最後の一機、ホーネットリーダーが残っていた。
「ふざけやがって!もうこうなったら、ビルもろともブッ潰してやる!」
ヤケクソ気味に最後まで残ったホーネットリーダーは後の事もパイロットの挟持もかなぐり捨て、大きく高度を取ると全弾発射をする構えを見せた。
「けっ!まだいやがったか」
悪態をつきながらもクロウは鉄骨を構える。
「こいつでトドメだ!食らえ!最終必殺奥義!ファイナル・ジ・エンド!」
クロウは身をぐっと反らして手にした鉄骨を構えると、意味の重複しまくった必殺技の名前を叫びながら渾身の力で投擲した。
クロウの手から離れまさに弦から放たれた矢のような速さで突き進む鉄骨。
ちなみに、普通に投げた場合と必殺技の違いは見た目にはわからないし、多分違いはない。まぁ確かに必殺の威力ではあることは間違いないけど。
と、その時僕は飛んでいく鉄骨の尾から何かが伸びていることに気付く。それはどうやら鉄骨を束ねるためのワイヤーで、それが絡まったままのようだ。ワイヤーの先を目で追うと、それはクロウの足元まで伸び……
「うぉぉぉぉぉぉ!」
足元のワイヤーはクロウの脚に絡みつき、そのままクロウの身を連れ去ってしまった!
「何ギャグマンガみたいなことしてるの!」
思わずそう叫ばずにはいられなかった。
ホーネットリーダーはこれまでクロウの攻撃を全て躱している。その操縦技術が撃墜された他の機とは一線を画しているのは素人目から見ても明らかだった。今もまた、正面から迫る鉄骨を最低限の動きで巧みに回避する。それはすでに生き物のような動きと言っても過言ではない。
その熟練パイロットが、獣じみた雄叫びを上げながら迫る上下逆さの大男を見たとき、果たしてどんな心境だっただろう。
幸い、クロウはスタブウィングにしがみつき事なきを得て、僕はほっと胸をなで下ろす。
「あぶねぇあぶねぇ。オレ様のハイパワーが裏目に出るとは。敵が余程の策士なのか、筋肉の叛逆か……」
「どっちも違うよ!そんなことよりクロウ!ローターを斬るんだ!」
訳のわからないことをぼやくクロウに、ツッコミもそこそこに、瞬時にレシーバーに指示を飛ばす。
僕の声に反応したクロウはすぐに動き出す。クロウは背中からチェーンソーを抜くと、素早くエンジンを始動。両手で構えたチェーンソーを振り払う。
仕様をブライン戦時のままにしておいてよかった。対甲殻用に換装した特別仕様のチェーンソーと彼の怪力が合われば正に鬼に金棒。強固な作りになっているメインローターのシャフトも、彼にかかれば小枝も同然。激しく火花を散らせながら、ローターはあっさりと切り離されてしまう。ローターは明後日の方向に飛び去り、本体は姿勢制御ができないまま墜落していく。
クロウを乗せたまま。
「お、おいレン!すごい勢いで落ちてるぞ!この後はどうすりゃいい!」
「……おまかせで」
「馴染みの常連客みたいな事を言うなぁぁぁぁぁ!」
クロウの叫びを引き連れてぐんぐん落ちていくヘリを、僕には見送ることしかできなかった。
と、落下先の建物の屋根に、僕は人の姿を確認する。
なんたる偶然だろう。そこにいたのは、フェイクと思われる黒服だった。姿を確認できない最後のフェイク。
会話内容から察するにフェイク2か。
その黒服は奇抜な形状をした剣を地面に突き立て、フェイクリーダーとアオイの戦いを見下ろしていた。
僕はフェイク2の前に突き立てられた剣に目が行く。刀身には継ぎ目があり、細かく分割されていた。今は分割ラインにそってパーツがスライド、展開し一回り大きくなっている。展開することで顕になった刀身の内部フレームからは電子的にな発光が確認できる。
それは剣というよりも何かの機械装置のようであった。
「あれは……聖剣[クリフィス]!?」
以前、僕はこの聖剣についてのプレスリリースを読んだ記憶がある。[クリフィス]はトライランバス・インダストリーのサポート型聖剣で、勇者の能力を拡散・集約する事ができる機能を持つ。担い手を選ぶが、"DEEP"の相性が合えば高い能力を発揮できる。かなり特殊な聖剣だったため記憶にも印象強く残っていた。
フェイク2の会話から察するに、やはりアオイの粒子展開を阻んでいるのはあのフェイク2だろう。
アオイたちの戦いに集中していたフェイク2は、上空で起こっていることに全く注意を払っていなかった。彼がようやく気付いて顔を上げたとき、すでにヘリはフェイク2の頭上すぐ近くにまで迫っていた。
慌ててその場を離れるフェイク2を追いかけるかのように、ヘリは建物の屋根に墜落する。衝撃に機体はひしゃげ、寸秒の間もおかず、ヘリは爆発に呑まれた。
全力疾走していたフェイク2は衝撃と爆風に体勢を崩した。爆散する装甲や部品が次々と飛来し、全身を打ち据え、突き刺さる。尖った装甲の破片と思われる一部が彼の手首に深々と突き刺さり、その衝撃で剣が手元から弾かれる。
さらに、両翼に懸架していたミサイルやロケットポッドが爆発。連続する激しい爆発にフェイク2は剣を拾うことも後回しに、ヘッドダイビングで身を伏せる。直後、爆風と熱の嵐が吹き荒れ、彼の全身を焼いた。
巻き上がる粉塵と黒煙を背に、フェイク2がゆっくりと立ち上がる。さしものフェイクも、あの爆発を至近距離で受けて無事には済まなかった様子だ。爆音が三半規管にまで達したのか、足元はふらついておぼつかず、背中には無数の破片が突き刺さって見るも痛々しい。
それでもフェイク2は治療よりもすぐさま自身の得物を探し求め、視線を彷徨わせる。ほどなく、斜めに傾いて地面に突き刺さる剣を見つけた。
しかしその剣の直上より、ドスンッ!と激しい音を立てて巨大な何かが落下した。
「ふぅ……さすがのオレ様も今回ばかりはヤバかったぜ」
クロウだった。墜落直前にヘリから跳躍した彼はその後の爆風に押し上げられ、今になって着地を果たしたのだった。
「もしオレ様にも翼があれば……いや、待てよ。そんなことになったら、世界中が大騒ぎになっちまう。美しき筋肉天使・クロウ様がついに下界に降臨と、いてッ!」
本格的に訳のわからなことを呟きながら歩き出すクロウは、つま先を何かにぶつける。何か、とは言うまでもなくフェイク2の聖剣[クリフィス]だ。
「なんだこりゃ、あぶねぇな!誰だ!こんなとこにこんなモン捨てやがって!」
悪態を吐きながらクロウが[クリフィス]に手を伸ばす。
その瞬間、得物を奪い返すべくフェイク2が俊敏に動く!まだクロウはフェイク2の存在に気づいていない。
「こんなもの、こうしてくれる!どっ、せいっ!」
なんとクロウは大きく振りかぶると渾身の力で投擲した!回転しながらものすごい勢いで飛んでいく[クリフィス]は、あっという間に茜色の空の彼方へと消えていった。
フェイク2はその剣の行方を半ば唖然としながら目で追っていた。そこでようやくクロウは、目の前まで迫っていたフェイク2の存在に気付く。
「ん?あ。あれお前のだったのか?」
「……」
「わりぃ。どっかいっちまった」
詫びれもなく軽い感じで言い放った彼に、フェイク2は殺意を覚えたことのだろう。怒りに染まる目で、瞬発的に手にしたアサルトライフルをクロウに向け、躊躇いなく引き金を引いた。
が、弾丸が発射される寸前に銃口を上から抑えられ、弾丸はクロウの足元で跳ねる。フェイク2がどれだけ力を込めて引っ張ろうとアサルトライフはびくとも動かない。それどころか、凄まじい握力でバレルが飴細工のようにひしゃげていく。
「それはそうと……テメェら、オレ様の連れを随分可愛がってくれたみたいだな。あぁ?」
フェイク2を睨みつけて言うクロウ。その声色には静かな怒りが含まれていた。
友情に厚いクロウのことだ。きっと、友を傷つけられたことに激しい怒りを覚えているに違いない。そんな彼に僕は頼もしい思いで胸が熱くなる。
「それもこんなチャチなオモチャで。ケインやアオイならともかく……」
クロウが語っている隙にフェイク2はライフルから手を放し、瞬時に脇下のホルスターに収められたハンドガンに手を伸ばすが、彼が銃把を握るよりも先にクロウの豪腕が唸った。
「オレ様の芸術的な筋肉に傷がついたら、どうしてくれんだァァァァ!」
「えぇぇぇぇ!」
全然友情関係なかったよ!盛大に買いかぶりした自分が恥ずかしい!
純一〇〇%自己愛オンリーな雄叫びと共に放たれた彼の拳がフェイク2のガスマスクを砕き、その奥にある顔面に突き刺さる。拳がめり込むほどの力をその顔に受けたフェイク2は、勢いのまま地面へと叩きつけられる。顔面が陥没し、目鼻口の判別が難しい程に酷い有様だった。それでも、トラックを素手で投げ飛ばす程のクロウの腕力を受けて、首がもげ落ち無かっただけでも奇跡だ。
「ま。銃弾程度じゃオレ様の筋肉は傷一つ付かんがな」
「いやいやいや」
もうめちゃくちゃだ。
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