影の織り手たち

あおごろも

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【第四章】影、点々と

23 : 惜陰(ルクス、エリオ)

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 エリオは、腕の中で眠るルクスの寝顔を見つめていた。
 枕がわりになった自分の腕に落ちる髪を、指先にひと房すくいとり、するりと滑らせては落とす。
 最初はただ、柔らかさを確かめるように戯れていたが、起きる気配がないとわかると、つい手櫛のように深く梳いてしまう。

 音のない寝室。
 近い距離で耳を澄ませても、呼吸のかすかな揺らぎがあるだけ。
 腕に抱いた熱も、指にからむ髪もーーやがては消える。

 胸の奥で軋む音が増し、堪えきれず、ルクスの鼻をつまむ。

「んぐっ……」

 間の抜けた声を漏らして目を覚ましたルクスを、エリオはすぐに抱きすくめる。
 腕の中でもがくルクスの、そのすべてを絡め取るように強く。

「……エリオ!重い!苦しい!」
「そうか」
「そうかじゃーー」

 その声ごと塞ぐように唇を重ねた。
 触れるだけでは足りない。
 深く貪るように、舌を差し入れ、絡め、飲み込む。

 肌は、まだ火照りを残していた。
 掌でなぞるたび、震える声が喉の奥から漏れる。

「……っ、エリオ……」

 名前を呼ぶ声に、戸惑いが滲む。
 けれど、エリオは緩めなかった。
 覆いかぶさり、さらに深く口付け、胸の痛みを覆い隠すように、腕の中の身体に熱を刻み続けた。
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