8 / 33
【第二章】利の配置
7 : 差の輪郭
しおりを挟む
夕方前の訓練棟は、少し肌寒く、けれどほどよく静かだった。
授業を終えたばかりの生徒たちがちらほら姿を見せるが、まだ本格的な使用時間帯には入っていない。
ルクスは廊下を歩いていた。
小型戦術機の調整許可が下りていたのを思い出し、整備区画に立ち寄ってみようと向かっていたところだった。
ふと、曲がり角で足が止まる。
そこに、見覚えのある姿があった。
ーーエリオ・グランヴェレス。
やや離れた距離で、誰かと話していた。
手に持っている制御盤を指で操作しながら、時折頷くなどして、相手に返答している。
会話の内容は聞こえないが、その横顔には落ち着きと理知があり、そこに視線が引き寄せられる。
ルクスは、なぜか目を逸らす気になれなかった。
ふと気配に気づいたように、エリオの視線が、こちらを捉える。
彼はやがて話を終えると、こちらにゆっくり歩いてきた。
「奇遇だな」
それは通り過ぎるための言葉ではなかった。
ルクスのほんの一歩分先で、エリオの足が止まる。
「調整か?それとも、試すつもりだったか?」
問いかける口調には、どこか柔らかい響きがあった。
探るのではなく、観察に近い余裕。
「……調整、のはずだったんですけど。何か、試されそうな気がしてきました」
それは、勘に近いものだった。
エリオは目を細め、わずかに笑んだ。
「なら、つきあおう」
その一言に、はっきりとした指示はなかった。
ルクスは自然と、まるで最初から決まっていたかのような迷いのない足取りで歩き出していた。
訓練棟の一区画にある一室に足を踏み入れると、照明が頭上で静かに点いた。
背後で、扉が閉まる音がして振り返ると、エリオがゆるやかにマントを外し、ドアのすぐ横にあるスペースに置くところだった。
その所作は美しく、ここが訓練場であることを一瞬忘れそうになる。
「この部屋を選んだか」
「静かでいい場所でしょう。余計な目にも触れにくい」
ここには見物人も、評価を下す教官もいない。
ただ、自分の動きと、向き合う相手だけがある。
「武器は、どうする?」
問いかけたエリオの声音はあくまで静かだった。
ルクスは一瞬だけ目を伏せた後、顔を上げて言った。
「……模擬用の実剣で」
武器の選択の余地を与えられた。
それは、こちらの判断を見定めるためであることを、ルクスは理解していた。
エリオは短く頷き、部屋の奥、武器棚の前へ向かう。
そこでひとつ、模擬用の実剣を手に取り、確かめるように柄を握った。
次いで、似た型の一本を選び、ルクスに差し出す。
ルクスは一礼し、それを受け取った。
手に伝わる重みーー馴染みのある、訓練用の標準型。
だが、手を抜ける類のものではない。
「確認だが、これは、手合わせの範囲でいいな?」
ルクスは小さく笑った。
「もちろんです。……ただ、範囲のなかで、どこまで応じるかは、それぞれの判断で」
即ち、出し惜しみはしない。
「なるほど」
言葉の奥にある意思を正しく察したエリオの口元に、わずかに笑みのようなものが浮かぶ。
だがそれはすぐに消え、エリオは静かに模擬用の実剣を構えた。
ふたりの間に、空気が張る。
室内に響くのは、換気設備の低い駆動音だけ。
先に動いたのは、ルクスだった。
速い速度での踏み込み。
初手の意図は牽制と、距離感の確認。
エリオはその一撃を、最小限の足運びと、剣先の角度だけで受け流す。
ルクスの剣筋は鋭い。
だが、どこか直線的だった。
そのまっすぐな動きに、わずかな癖と傾向があることを、エリオは瞬時に読み取る。
一撃、また一撃。
ルクスの額に汗が滲む。
体力的なものではない。
観察されているーーその実感が、肌を伝ってくるのだ。
エリオは、何も言わない。
ただ、見ている。
目の前の動き、その意味、その裏にある思考を、ひとつずつ拾い上げるように。
ルクスもまた、見ていた。
エリオの立ち方、間合いの読み、反応の速さ……
体の芯の部分でわかる。
これは、相手の動きを見てから動いている反応ではない。
エリオは、ルクスの選択そのものを、予測している。
選択の傾向、そこから生まれる間合い、重心の移し方ーーそういったものが、すでに読まれている。
ーーなら、試してみる。
次の瞬間、ルクスは、踏み込みの角度を意図的に変えた。
いつもの自分では選ばない軌道。
わざとらしく、粗さすら滲む変化をつけた。
だがそれは、仕掛けとしての、囮。
あえて読みづらくし、相手の対応を計る意図的な変化。
エリオの目が、わずかに動く。
読みのズレが、エリオの反応の端に生じた。
手応えはあった。
しかし、その一瞬後には、エリオの重心が、ごく自然に滑るように切り替わっていた。
こちらの狙いに正面から反応せず、脇に受け流すような、静かな切り返し。
ルクスの剣が空を切る。
間合いを詰めたつもりの次手も、そのまま空間の隙間へと滑り落ちた。
「……試してきたか」
初めて、エリオが言葉を発した。
剣を交えたままの、低く落ち着いた声音。
ルクスは息を整えながら、一歩、後ろへ引いた。
ーーいなされた。
それは、明確な力量差のあらわれだった。
エリオは、構えを解かないまま、まっすぐにルクスを見ていた。
ルクスは、間合いを見直すように視線を巡らせた。
汗が頬を伝う。
ここまでの応酬は、すべて見きられていた。
しかけた試しも、見抜かれ、いなされた。
けれど、それで終わらせたくはなかった。
明確な差を知った今こそ、その差の輪郭を、自分の中に刻むべきだと感じていた。
「……もう一度、お願いします」
そう言って、ルクスは剣を構え直す。
エリオは、目を細め、構えを解かずいる。
その静寂を、応えとした。
そしてーー再び交わる。
今度のルクスの動きは、先ほどとはまた違っていた。
粗さは捨て、意識を一点に絞る。
エリオは、剣を後ろへ引き、見極める一瞬の間の後、狙い澄ました軌道で剣を前に伸ばした。
ルクスの剣を正面から受け、横に弾いた。
受けた勢いに見合わない、軽い音が響く
受け止めない。
力で抑え込みもしない。
ただ、かわす。
それだけで、成立してしまうのだ。
ーー届かない。
ルクスは剣を下げた。
呼吸を整えながら、視線はエリオから逸らさずに。
「……負けました」
そう言ったルクスの声音は、静かで落ち着いていた。
自分の中にある悔しさも、すでに受け止めている。
エリオは構えを解き、静かに剣を下ろした。
まっすぐな眼差しを保ったまま、応じる。
「戦いは、点では測れない。……ただ、君の打ち込みは、よかった」
ルクスは深く一礼した。
この日の手合わせは、短くも、確かなものだった。
授業を終えたばかりの生徒たちがちらほら姿を見せるが、まだ本格的な使用時間帯には入っていない。
ルクスは廊下を歩いていた。
小型戦術機の調整許可が下りていたのを思い出し、整備区画に立ち寄ってみようと向かっていたところだった。
ふと、曲がり角で足が止まる。
そこに、見覚えのある姿があった。
ーーエリオ・グランヴェレス。
やや離れた距離で、誰かと話していた。
手に持っている制御盤を指で操作しながら、時折頷くなどして、相手に返答している。
会話の内容は聞こえないが、その横顔には落ち着きと理知があり、そこに視線が引き寄せられる。
ルクスは、なぜか目を逸らす気になれなかった。
ふと気配に気づいたように、エリオの視線が、こちらを捉える。
彼はやがて話を終えると、こちらにゆっくり歩いてきた。
「奇遇だな」
それは通り過ぎるための言葉ではなかった。
ルクスのほんの一歩分先で、エリオの足が止まる。
「調整か?それとも、試すつもりだったか?」
問いかける口調には、どこか柔らかい響きがあった。
探るのではなく、観察に近い余裕。
「……調整、のはずだったんですけど。何か、試されそうな気がしてきました」
それは、勘に近いものだった。
エリオは目を細め、わずかに笑んだ。
「なら、つきあおう」
その一言に、はっきりとした指示はなかった。
ルクスは自然と、まるで最初から決まっていたかのような迷いのない足取りで歩き出していた。
訓練棟の一区画にある一室に足を踏み入れると、照明が頭上で静かに点いた。
背後で、扉が閉まる音がして振り返ると、エリオがゆるやかにマントを外し、ドアのすぐ横にあるスペースに置くところだった。
その所作は美しく、ここが訓練場であることを一瞬忘れそうになる。
「この部屋を選んだか」
「静かでいい場所でしょう。余計な目にも触れにくい」
ここには見物人も、評価を下す教官もいない。
ただ、自分の動きと、向き合う相手だけがある。
「武器は、どうする?」
問いかけたエリオの声音はあくまで静かだった。
ルクスは一瞬だけ目を伏せた後、顔を上げて言った。
「……模擬用の実剣で」
武器の選択の余地を与えられた。
それは、こちらの判断を見定めるためであることを、ルクスは理解していた。
エリオは短く頷き、部屋の奥、武器棚の前へ向かう。
そこでひとつ、模擬用の実剣を手に取り、確かめるように柄を握った。
次いで、似た型の一本を選び、ルクスに差し出す。
ルクスは一礼し、それを受け取った。
手に伝わる重みーー馴染みのある、訓練用の標準型。
だが、手を抜ける類のものではない。
「確認だが、これは、手合わせの範囲でいいな?」
ルクスは小さく笑った。
「もちろんです。……ただ、範囲のなかで、どこまで応じるかは、それぞれの判断で」
即ち、出し惜しみはしない。
「なるほど」
言葉の奥にある意思を正しく察したエリオの口元に、わずかに笑みのようなものが浮かぶ。
だがそれはすぐに消え、エリオは静かに模擬用の実剣を構えた。
ふたりの間に、空気が張る。
室内に響くのは、換気設備の低い駆動音だけ。
先に動いたのは、ルクスだった。
速い速度での踏み込み。
初手の意図は牽制と、距離感の確認。
エリオはその一撃を、最小限の足運びと、剣先の角度だけで受け流す。
ルクスの剣筋は鋭い。
だが、どこか直線的だった。
そのまっすぐな動きに、わずかな癖と傾向があることを、エリオは瞬時に読み取る。
一撃、また一撃。
ルクスの額に汗が滲む。
体力的なものではない。
観察されているーーその実感が、肌を伝ってくるのだ。
エリオは、何も言わない。
ただ、見ている。
目の前の動き、その意味、その裏にある思考を、ひとつずつ拾い上げるように。
ルクスもまた、見ていた。
エリオの立ち方、間合いの読み、反応の速さ……
体の芯の部分でわかる。
これは、相手の動きを見てから動いている反応ではない。
エリオは、ルクスの選択そのものを、予測している。
選択の傾向、そこから生まれる間合い、重心の移し方ーーそういったものが、すでに読まれている。
ーーなら、試してみる。
次の瞬間、ルクスは、踏み込みの角度を意図的に変えた。
いつもの自分では選ばない軌道。
わざとらしく、粗さすら滲む変化をつけた。
だがそれは、仕掛けとしての、囮。
あえて読みづらくし、相手の対応を計る意図的な変化。
エリオの目が、わずかに動く。
読みのズレが、エリオの反応の端に生じた。
手応えはあった。
しかし、その一瞬後には、エリオの重心が、ごく自然に滑るように切り替わっていた。
こちらの狙いに正面から反応せず、脇に受け流すような、静かな切り返し。
ルクスの剣が空を切る。
間合いを詰めたつもりの次手も、そのまま空間の隙間へと滑り落ちた。
「……試してきたか」
初めて、エリオが言葉を発した。
剣を交えたままの、低く落ち着いた声音。
ルクスは息を整えながら、一歩、後ろへ引いた。
ーーいなされた。
それは、明確な力量差のあらわれだった。
エリオは、構えを解かないまま、まっすぐにルクスを見ていた。
ルクスは、間合いを見直すように視線を巡らせた。
汗が頬を伝う。
ここまでの応酬は、すべて見きられていた。
しかけた試しも、見抜かれ、いなされた。
けれど、それで終わらせたくはなかった。
明確な差を知った今こそ、その差の輪郭を、自分の中に刻むべきだと感じていた。
「……もう一度、お願いします」
そう言って、ルクスは剣を構え直す。
エリオは、目を細め、構えを解かずいる。
その静寂を、応えとした。
そしてーー再び交わる。
今度のルクスの動きは、先ほどとはまた違っていた。
粗さは捨て、意識を一点に絞る。
エリオは、剣を後ろへ引き、見極める一瞬の間の後、狙い澄ました軌道で剣を前に伸ばした。
ルクスの剣を正面から受け、横に弾いた。
受けた勢いに見合わない、軽い音が響く
受け止めない。
力で抑え込みもしない。
ただ、かわす。
それだけで、成立してしまうのだ。
ーー届かない。
ルクスは剣を下げた。
呼吸を整えながら、視線はエリオから逸らさずに。
「……負けました」
そう言ったルクスの声音は、静かで落ち着いていた。
自分の中にある悔しさも、すでに受け止めている。
エリオは構えを解き、静かに剣を下ろした。
まっすぐな眼差しを保ったまま、応じる。
「戦いは、点では測れない。……ただ、君の打ち込みは、よかった」
ルクスは深く一礼した。
この日の手合わせは、短くも、確かなものだった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
後宮に咲く美しき寵后
不来方しい
BL
フィリの故郷であるルロ国では、真っ白な肌に金色の髪を持つ人間は魔女の生まれ変わりだと伝えられていた。生まれた者は民衆の前で焚刑に処し、こうして人々の安心を得る一方、犠牲を当たり前のように受け入れている国だった。
フィリもまた雪のような肌と金髪を持って生まれ、来るべきときに備え、地下の部屋で閉じ込められて生活をしていた。第四王子として生まれても、処刑への道は免れられなかった。
そんなフィリの元に、縁談の話が舞い込んでくる。
縁談の相手はファルーハ王国の第三王子であるヴァシリス。顔も名前も知らない王子との結婚の話は、同性婚に偏見があるルロ国にとって、フィリはさらに肩身の狭い思いをする。
ファルーハ王国は砂漠地帯にある王国であり、雪国であるルロ国とは真逆だ。縁談などフィリ信じず、ついにそのときが来たと諦めの境地に至った。
情報がほとんどないファルーハ王国へ向かうと、国を上げて祝福する民衆に触れ、処刑場へ向かうものだとばかり思っていたフィリは困惑する。
狼狽するフィリの元へ現れたのは、浅黒い肌と黒髪、サファイア色の瞳を持つヴァシリスだった。彼はまだ成人にはあと二年早い子供であり、未成年と婚姻の儀を行うのかと不意を突かれた。
縁談の持ち込みから婚儀までが早く、しかも相手は未成年。そこには第二王子であるジャミルの思惑が隠されていて──。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ぽて と むーちゃんの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
拗らせ問題児は癒しの君を独占したい
結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。
一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。
補習課題のペアとして出会った二人。
セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。
身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。
期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
狼の護衛騎士は、今日も心配が尽きない
結衣可
BL
戦の傷跡が癒えた共生都市ルーヴェン。
人族と獣人族が共に暮らすその街で、文官ユリス・アルヴィンは、穏やかな日々の中に、いつも自分を見守る“優しい視線”の存在を感じていた。
その正体は、狼族の戦士長出身の護衛騎士、ガルド・ルヴァーン。
無口で不器用だが、誠実で優しい彼は、いつしかユリスを守ることが日課になっていた。
モフモフ好きなユリスと、心配性すぎるガルド。
灰銀の狼と金灰の文官――
異種族の二人の関係がルーヴェンの風のようにやさしく、日々の中で少しずつ変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる