9 / 28
9
しおりを挟む
公爵邸での生活が一週間を過ぎた頃。
私の執務室(旧・物置部屋)は、完全に戦場の司令部と化していた。
壁には領内の地図と収支グラフが張り出され、デスクには未決裁の書類が山積み。
「……よし。厩舎(きゅうしゃ)の馬糞を近隣農家へ肥料として販売するルート、確保しました」
私は契約書に判を押すと、満足げに頷いた。
「これまで廃棄費用を払って捨てていたものが、逆に利益を生む。これぞ錬金術ですわ」
「馬糞で錬金術とは、相変わらず夢がないな」
いつの間にか部屋に入ってきていたジェラルドが、苦笑しながら立っていた。
「夢より実利です。この売上で、厩務員の休憩所にエアコン(魔導冷却機)を導入できます。これで労働環境が改善され、離職率が下がれば採用コストも浮く。完璧なサイクルです」
「はいはい、分かった。君が優秀なのは認める」
ジェラルドはデスクの前に来ると、少しそわそわした様子で、背中に隠していた手を前に出した。
「ところで、今日は君に……その、労いの品を持ってきた」
「労いの品? 現金支給ですか? ボーナスなら振込で結構ですが」
「違う。……これだ」
彼が差し出したのは、手のひらサイズの小さな箱だった。
深紅のベルベット張り。金色の縁取り。
見るからに高級な、宝飾店の箱だ。
「……開けてみてくれ」
ジェラルドが少し顔を背けながら言う。耳が赤い。
(おや? これはもしや……)
私は期待に胸を膨らませ、箱を恭しく受け取った。
パカッ。
蓋を開ける。
そこには、大粒のブルーサファイアが埋め込まれた、プラチナのネックレスが鎮座していた。
深い海の底のような、吸い込まれそうな青。
周囲には無数のダイヤモンドが散りばめられ、キラキラと輝いている。
普通の令嬢なら、「まあ素敵!」「ジェラルド様、嬉しい!」と目を潤ませて彼に抱きつく場面だ。
ジェラルドも、チラリとこちらを見て、私の反応を待っている。
私は震える手でネックレスを取り出した。
そして。
「……アンナ! ルーペと電子天秤を持ってきて!」
「はい、お嬢様!」
私は即座に叫んだ。
ジェラルドがズッコケそうになる。
「は? ルーペ?」
「静かに! 今、鑑定中ですから!」
私はデスクのランプを最大光量にし、アンナが持ってきたルーペを目に当てた。
「ふむ……! この透明度、インクルージョン(内包物)がほとんど見当たりませんわ! カシミール産? いいえ、色味からしてビルマ産ロイヤルブルー……!」
私はネックレスを光にかざし、あらゆる角度から観察する。
「素晴らしい……! 加熱処理の痕跡もなし! 非加熱(ノーヒート)でこのサイズ! 奇跡的ですわ!」
「あ、あの……キャンディ?」
「ダイヤのカットも完璧! 『ハート&キューピッド』が見えます! クラリティはVVS1クラス……!」
私は興奮のあまり、鼻息を荒くしてジェラルドに詰め寄った。
「ジェラルド様! これ、おいくらでした!?」
「い、いくらって……値段を聞くやつがあるか」
「聞きますよ! 取得原価が分からないと、資産台帳に登録できませんから! 市場価格だと金貨五百枚は下りませんが、まさか定価で買ったわけではありませんよね? 外商割引は? ポイント還元は?」
「……知らん! 執事に任せたから!」
ジェラルドが頭を抱えた。
「俺はただ……君の瞳の色に似ていると思ったから、似合うだろうと……」
「私の瞳?」
私はキョトンとして彼を見た。
そして、手の中のサファイアと見比べる。
「……なるほど。確かに色味は似ていますね。ということは、私の瞳も売れば金貨五百枚の価値があるということですか?」
「違う! そういう意味じゃない!」
ジェラルドが叫ぶ。
「褒めたんだ! ロマンチックな意味で! 『君は美しい』という意図を込めて!」
「ああ、なるほど。褒め言葉でしたか」
私は納得して頷いた。
「ありがとうございます。過分な評価をいただき光栄です。ですが、私の美貌はいずれ衰えますが、このサファイアの価値は半永久的です。つまり、私本体よりもこの石の方が優秀な資産ということになりますね」
「……もういい。俺が間違っていた」
ジェラルドはがっくりと肩を落とし、椅子に座り込んだ。
「普通の女なら喜んで首につけるだろうに、なぜ君は即座に換金レートを計算し始めるんだ……」
「喜びの表現方法が違うだけです」
私はネックレスを箱に戻し、大切に蓋を閉めた。
そして、その箱を両手で抱きしめ、うっとりとした表情を浮かべた。
「ああ、なんて愛おしい重み……。これがあれば、もし明日公爵家が破産しても、私は一年間遊んで暮らせます。最高の『安心感』をプレゼントしていただきました」
「……破産させる気はないんだが」
「備えあれば憂いなし、です」
私は立ち上がり、部屋の隅にある巨大な金庫(これも倉庫から発掘した)へと歩み寄った。
ダイヤルを回し、重厚な扉を開ける。
「では、大切に保管させていただきますね」
「つけないのかよ!」
ジェラルドがツッコミを入れる。
「つけませんよ。落としたらどうするんですか? 傷がついたら査定額が下がります。ここ(金庫)が一番安全で、一番輝ける場所です」
バタン。
金庫の扉が閉まる音。
ジェラルドからの愛の贈り物(時価五百枚)は、私の首元を飾ることなく、冷たい鉄の箱の中で眠りについた。
「……はぁ」
ジェラルドは深いため息をついた後、諦めたように笑った。
「まあ、いい。君が喜んでいるなら、それで正解だったんだろう」
「はい! 最高にハッピーです! ジェラルド様の株価、ストップ高です!」
私は満面の笑みで親指を立てた。
「株価か……。暴落させないように努力するよ」
彼は立ち上がり、部屋を出て行こうとした。
その背中に、私は声をかけた。
「あ、ジェラルド様!」
「なんだ? 金庫の暗証番号でも教える気になったか?」
「いえ。……その、ありがとうございました。本当に、綺麗でした」
私は少しだけ照れくさくなって、視線を逸らした。
「お金の価値もそうですが……私なんかのために、選んでくれた手間(コスト)が、嬉しかったです」
ジェラルドが振り返る。
彼は一瞬驚いた顔をして、それから優しく微笑んだ。
「……どういたしまして。また、いい投資物件(宝石)があったら持ってくるよ」
パタン。
ドアが閉まる。
部屋に残された私は、赤くなった頬を両手で押さえた。
「……いけない。今の笑顔、ちょっとプライスレスだったかも」
胸の奥が少しだけ、計算外の鼓動を刻んでいた。
だが、すぐに首を振る。
「いけないいけない! 感情に流されては正常な判断ができません! 仕事に戻るのよキャンディ!」
私は自分の頬をパチンと叩き、再び馬糞の販売計画書に向き直った。
だが、その筆先は、いつもより少しだけ弾んでいるような気がした。
私の執務室(旧・物置部屋)は、完全に戦場の司令部と化していた。
壁には領内の地図と収支グラフが張り出され、デスクには未決裁の書類が山積み。
「……よし。厩舎(きゅうしゃ)の馬糞を近隣農家へ肥料として販売するルート、確保しました」
私は契約書に判を押すと、満足げに頷いた。
「これまで廃棄費用を払って捨てていたものが、逆に利益を生む。これぞ錬金術ですわ」
「馬糞で錬金術とは、相変わらず夢がないな」
いつの間にか部屋に入ってきていたジェラルドが、苦笑しながら立っていた。
「夢より実利です。この売上で、厩務員の休憩所にエアコン(魔導冷却機)を導入できます。これで労働環境が改善され、離職率が下がれば採用コストも浮く。完璧なサイクルです」
「はいはい、分かった。君が優秀なのは認める」
ジェラルドはデスクの前に来ると、少しそわそわした様子で、背中に隠していた手を前に出した。
「ところで、今日は君に……その、労いの品を持ってきた」
「労いの品? 現金支給ですか? ボーナスなら振込で結構ですが」
「違う。……これだ」
彼が差し出したのは、手のひらサイズの小さな箱だった。
深紅のベルベット張り。金色の縁取り。
見るからに高級な、宝飾店の箱だ。
「……開けてみてくれ」
ジェラルドが少し顔を背けながら言う。耳が赤い。
(おや? これはもしや……)
私は期待に胸を膨らませ、箱を恭しく受け取った。
パカッ。
蓋を開ける。
そこには、大粒のブルーサファイアが埋め込まれた、プラチナのネックレスが鎮座していた。
深い海の底のような、吸い込まれそうな青。
周囲には無数のダイヤモンドが散りばめられ、キラキラと輝いている。
普通の令嬢なら、「まあ素敵!」「ジェラルド様、嬉しい!」と目を潤ませて彼に抱きつく場面だ。
ジェラルドも、チラリとこちらを見て、私の反応を待っている。
私は震える手でネックレスを取り出した。
そして。
「……アンナ! ルーペと電子天秤を持ってきて!」
「はい、お嬢様!」
私は即座に叫んだ。
ジェラルドがズッコケそうになる。
「は? ルーペ?」
「静かに! 今、鑑定中ですから!」
私はデスクのランプを最大光量にし、アンナが持ってきたルーペを目に当てた。
「ふむ……! この透明度、インクルージョン(内包物)がほとんど見当たりませんわ! カシミール産? いいえ、色味からしてビルマ産ロイヤルブルー……!」
私はネックレスを光にかざし、あらゆる角度から観察する。
「素晴らしい……! 加熱処理の痕跡もなし! 非加熱(ノーヒート)でこのサイズ! 奇跡的ですわ!」
「あ、あの……キャンディ?」
「ダイヤのカットも完璧! 『ハート&キューピッド』が見えます! クラリティはVVS1クラス……!」
私は興奮のあまり、鼻息を荒くしてジェラルドに詰め寄った。
「ジェラルド様! これ、おいくらでした!?」
「い、いくらって……値段を聞くやつがあるか」
「聞きますよ! 取得原価が分からないと、資産台帳に登録できませんから! 市場価格だと金貨五百枚は下りませんが、まさか定価で買ったわけではありませんよね? 外商割引は? ポイント還元は?」
「……知らん! 執事に任せたから!」
ジェラルドが頭を抱えた。
「俺はただ……君の瞳の色に似ていると思ったから、似合うだろうと……」
「私の瞳?」
私はキョトンとして彼を見た。
そして、手の中のサファイアと見比べる。
「……なるほど。確かに色味は似ていますね。ということは、私の瞳も売れば金貨五百枚の価値があるということですか?」
「違う! そういう意味じゃない!」
ジェラルドが叫ぶ。
「褒めたんだ! ロマンチックな意味で! 『君は美しい』という意図を込めて!」
「ああ、なるほど。褒め言葉でしたか」
私は納得して頷いた。
「ありがとうございます。過分な評価をいただき光栄です。ですが、私の美貌はいずれ衰えますが、このサファイアの価値は半永久的です。つまり、私本体よりもこの石の方が優秀な資産ということになりますね」
「……もういい。俺が間違っていた」
ジェラルドはがっくりと肩を落とし、椅子に座り込んだ。
「普通の女なら喜んで首につけるだろうに、なぜ君は即座に換金レートを計算し始めるんだ……」
「喜びの表現方法が違うだけです」
私はネックレスを箱に戻し、大切に蓋を閉めた。
そして、その箱を両手で抱きしめ、うっとりとした表情を浮かべた。
「ああ、なんて愛おしい重み……。これがあれば、もし明日公爵家が破産しても、私は一年間遊んで暮らせます。最高の『安心感』をプレゼントしていただきました」
「……破産させる気はないんだが」
「備えあれば憂いなし、です」
私は立ち上がり、部屋の隅にある巨大な金庫(これも倉庫から発掘した)へと歩み寄った。
ダイヤルを回し、重厚な扉を開ける。
「では、大切に保管させていただきますね」
「つけないのかよ!」
ジェラルドがツッコミを入れる。
「つけませんよ。落としたらどうするんですか? 傷がついたら査定額が下がります。ここ(金庫)が一番安全で、一番輝ける場所です」
バタン。
金庫の扉が閉まる音。
ジェラルドからの愛の贈り物(時価五百枚)は、私の首元を飾ることなく、冷たい鉄の箱の中で眠りについた。
「……はぁ」
ジェラルドは深いため息をついた後、諦めたように笑った。
「まあ、いい。君が喜んでいるなら、それで正解だったんだろう」
「はい! 最高にハッピーです! ジェラルド様の株価、ストップ高です!」
私は満面の笑みで親指を立てた。
「株価か……。暴落させないように努力するよ」
彼は立ち上がり、部屋を出て行こうとした。
その背中に、私は声をかけた。
「あ、ジェラルド様!」
「なんだ? 金庫の暗証番号でも教える気になったか?」
「いえ。……その、ありがとうございました。本当に、綺麗でした」
私は少しだけ照れくさくなって、視線を逸らした。
「お金の価値もそうですが……私なんかのために、選んでくれた手間(コスト)が、嬉しかったです」
ジェラルドが振り返る。
彼は一瞬驚いた顔をして、それから優しく微笑んだ。
「……どういたしまして。また、いい投資物件(宝石)があったら持ってくるよ」
パタン。
ドアが閉まる。
部屋に残された私は、赤くなった頬を両手で押さえた。
「……いけない。今の笑顔、ちょっとプライスレスだったかも」
胸の奥が少しだけ、計算外の鼓動を刻んでいた。
だが、すぐに首を振る。
「いけないいけない! 感情に流されては正常な判断ができません! 仕事に戻るのよキャンディ!」
私は自分の頬をパチンと叩き、再び馬糞の販売計画書に向き直った。
だが、その筆先は、いつもより少しだけ弾んでいるような気がした。
2
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
謹んで、婚約破棄をお受けいたします。
パリパリかぷちーの
恋愛
きつい目つきと素直でない性格から『悪役令嬢』と噂される公爵令嬢マーブル。彼女は、王太子ジュリアンの婚約者であったが、王子の新たな恋人である男爵令嬢クララの策略により、夜会の場で大勢の貴族たちの前で婚約を破棄されてしまう。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる