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「キャンディ。今日は天気がいいな」
朝食の席で、ジェラルドが窓の外を見ながら言った。
「そうですね。絶好の『洗濯日和』です。シーツの乾きが三割増しで早そうです」
私がパンにジャムを塗りながら答えると、ジェラルドは苦笑して首を振った。
「そうじゃない。……出かけようと言っているんだ」
「出かける? どちらへ?」
「領地の北側にある『風の丘』だ。景色がいい場所で、今の季節は花が一面に咲いている。そこで昼食でもどうかと思ってね」
「昼食……つまり、ピクニックですか?」
私はナイフを止めた。
ピクニック。
それは貴族の男女が親睦を深めるための、生産性の低いイベントの代名詞だ。
ただ草の上に座り、虫に刺されるリスクを冒しながら食事をする。
普通なら「忙しいので却下」するところだが……。
(待てよ? 『北側の丘』といえば……)
私の脳内マップが展開される。
北側のエリアは、これまで手付かずの未開拓地だ。
帳簿上では「荒地」として計上され、税収はゼロ。
しかし、もしそこに「何か」埋もれた資源があったとしたら?
「……ジェラルド様」
私はキリッとした顔で彼を見た。
「行きましょう。ただし、条件があります」
「条件?」
「この外出を『第十三回領内資源調査(兼ランチミーティング)』と定義します。よって、調査道具の持参を許可してください」
「……好きにしろ。君が来てくれるなら名目は何でもいい」
こうして。
優雅なピクニックデート(予定)は、私の手によって「ガチの現地視察」へと変貌を遂げた。
◇
「風の丘」は、確かに絶景だった。
なだらかな斜面には色とりどりの野花が咲き乱れ、眼下にはアイゼンハルト領ののどかな田園風景が広がっている。
心地よい風が吹き抜け、鳥のさえずりが聞こえる。
「どうだ、キャンディ。美しいだろう?」
ジェラルドがレジャーシート(最高級リネン製)の上にバスケットを広げながら言った。
「ええ、素晴らしいですわ」
私はスコップを片手に、地面にしゃがみ込んでいた。
「土壌の質……弱酸性。水はけよし。日当たり良好。……ふむ、ここなら『桑(くわ)』が育ちますね」
「……花を見てくれないか?」
「花は一週間で枯れますが、桑を植えれば養蚕(ようさん)ができます。つまりシルクが作れます。この丘全体を桑畑にすれば、年間数千枚の金貨が……」
「君、ここに来てまで金の計算か」
ジェラルドが呆れてサンドイッチを差し出した。
「ほら、まずは食べろ。シェフ特製のカツサンドだ」
「いただきます。……ん! 美味しい! この豚肉、脂が甘いですね」
「だろう? 領内の牧場で育てた……」
「この豚、もっと高値で売れますよ。ブランド化しましょう。『アイゼンハルト・ロイヤルポーク』と名付けて、ロゴ入りで売り出せば……」
「……ロマンチックの欠片もないな」
ジェラルドはため息をつきつつも、私の口元についたパン屑を取ってくれた。
「だが、君が楽しそうで何よりだ」
「楽しいですよ。未利用地(デッドスペース)の活用法を考えるのは、パズルを解くようでワクワクします」
食事を終えると、私は少し周囲を散策することにした。
ジェラルドも「食後の運動だ」とついてくる。
丘の裏手には、小さな森が広がっていた。
そこで、私は奇妙な植物を見つけた。
「……あら?」
足元に、赤い実をつけた低木が群生している。
見た目は可愛らしいが、独特の酸っぱい匂いがする。
「ああ、それは『シビレ苺』だな」
ジェラルドが顔をしかめた。
「食べると舌が痺れるほど酸っぱいんだ。鳥も食べない雑草だよ。駆除しても駆除しても生えてくる厄介者だ」
「酸っぱい……?」
私は実を一つ摘み取り、匂いを嗅いだ。
(この香り……ただの酸味じゃない。柑橘系に近い、爽やかなアロマ……)
私は躊躇なく実を口に入れた。
「おい! やめろ、不味いぞ!」
ジェラルドが止めるのも聞かず、私は実を噛み潰した。
ジュワッ。
強烈な酸味が口いっぱいに広がる。
確かに、そのままでは酸っぱすぎて食べられない。舌がピリピリする。
だが。
「……これだわ」
私の目に、金色の光(¥マーク)が灯った。
「ジェラルド様! この実、この辺りにはどれくらい生えていますか!?」
「え? いや、北の森全体に生えているが……」
「宝の山です!!」
私はジェラルドの両肩を掴んで揺さぶった。
「これは『シトラスベリー』の一種です! 確かに生食には向きませんが、大量の砂糖と一緒に煮詰めれば、極上のコンフィチュール(ジャム)になります! しかも、この酸味に含まれるクエン酸は疲労回復に効果抜群! 美容健康食品として売り出せます!」
「は、はい? ジャム……?」
「それだけじゃありません! 皮から抽出できるオイルは、香水の原料になります! 捨てていた雑草が、化粧品と高級食材に化けるんです!」
私は興奮して、手帳に猛烈な勢いで書き込んだ。
『シビレ苺事業計画』
『1.村人を雇って実を回収(雑草駆除の手間賃として安く雇える)』
『2.領内の砂糖を使って加工(地産地消)』
『3.美容効果を謳って隣国の貴婦人に高値で販売』
「完璧です! 原価ほぼゼロの錬金術! ジェラルド様、すぐに人を手配してください!」
私が目を輝かせて訴えると、ジェラルドは呆然として私を見ていた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「……君は、すごいな」
「はい? 利益率がですか?」
「いや、違う。……君のその、目だ」
ジェラルドは優しく微笑んだ。
「誰もが見捨てていた雑草に、価値を見出した。厄介者扱いされていたこの土地の恵みを、君は『宝』だと言ってくれた」
彼の瞳が、熱を帯びて揺れている。
「君はいつもそうだ。俺たちが『無駄だ』『ダメだ』と切り捨てていたものの中に、可能性を見つける。……まるで、領民たちの暮らしを、底から救い上げようとしている聖女のようだ」
「……せ、聖女?」
私は瞬きをした。
「いえ、ただの商売ですけど」
「謙遜するな。結果として、この実の加工工場ができれば、仕事のない村人たちに雇用が生まれる。貧しかった北の村が潤う」
ジェラルドは私の手を取り、その甲に口づけをした。
「君は、我が領地の救世主だ。……ありがとう、キャンディ」
「っ……!」
真剣な眼差しで見つめられ、私は言葉に詰まった。
違う。
私はただ、タダ同然の原料で大儲けしたいだけなのに。
「雇用とか、村の発展とか、それは副産物であって……」
「照れるな。君のそういう、悪ぶっているのに根が優しいところも、俺は好きだ」
「だーかーらー! 誤解ですってば!」
私が真っ赤になって否定すればするほど、ジェラルドの目には「照れ隠しをする愛しい女性」として映るらしい。
「よし、帰ったら早速プロジェクトチームを立ち上げよう。君の指揮で、この領地を豊かにしてくれ」
「……ううっ、やりますよ! やりますけど!」
結果として儲かるなら文句はない。
だが、この「善人認定」される居心地の悪さはなんだろう。
(悪役令嬢として名を馳せた私が、聖女扱いなんて……営業妨害だわ!)
帰り道。
バスケットいっぱいに「シビレ苺」を詰め込みながら、私は複雑な心境だった。
一方、ジェラルドは「彼女は本当に領民思いだ」と完全に勘違いして、幸せそうに微笑んでいる。
すれ違う二人の思惑。
しかし、その結果としてアイゼンハルト領に新たな名産品「恋のシビレジャム(仮称)」が爆誕し、記録的な売上を叩き出すことになるのは、まだ少し先の話である。
朝食の席で、ジェラルドが窓の外を見ながら言った。
「そうですね。絶好の『洗濯日和』です。シーツの乾きが三割増しで早そうです」
私がパンにジャムを塗りながら答えると、ジェラルドは苦笑して首を振った。
「そうじゃない。……出かけようと言っているんだ」
「出かける? どちらへ?」
「領地の北側にある『風の丘』だ。景色がいい場所で、今の季節は花が一面に咲いている。そこで昼食でもどうかと思ってね」
「昼食……つまり、ピクニックですか?」
私はナイフを止めた。
ピクニック。
それは貴族の男女が親睦を深めるための、生産性の低いイベントの代名詞だ。
ただ草の上に座り、虫に刺されるリスクを冒しながら食事をする。
普通なら「忙しいので却下」するところだが……。
(待てよ? 『北側の丘』といえば……)
私の脳内マップが展開される。
北側のエリアは、これまで手付かずの未開拓地だ。
帳簿上では「荒地」として計上され、税収はゼロ。
しかし、もしそこに「何か」埋もれた資源があったとしたら?
「……ジェラルド様」
私はキリッとした顔で彼を見た。
「行きましょう。ただし、条件があります」
「条件?」
「この外出を『第十三回領内資源調査(兼ランチミーティング)』と定義します。よって、調査道具の持参を許可してください」
「……好きにしろ。君が来てくれるなら名目は何でもいい」
こうして。
優雅なピクニックデート(予定)は、私の手によって「ガチの現地視察」へと変貌を遂げた。
◇
「風の丘」は、確かに絶景だった。
なだらかな斜面には色とりどりの野花が咲き乱れ、眼下にはアイゼンハルト領ののどかな田園風景が広がっている。
心地よい風が吹き抜け、鳥のさえずりが聞こえる。
「どうだ、キャンディ。美しいだろう?」
ジェラルドがレジャーシート(最高級リネン製)の上にバスケットを広げながら言った。
「ええ、素晴らしいですわ」
私はスコップを片手に、地面にしゃがみ込んでいた。
「土壌の質……弱酸性。水はけよし。日当たり良好。……ふむ、ここなら『桑(くわ)』が育ちますね」
「……花を見てくれないか?」
「花は一週間で枯れますが、桑を植えれば養蚕(ようさん)ができます。つまりシルクが作れます。この丘全体を桑畑にすれば、年間数千枚の金貨が……」
「君、ここに来てまで金の計算か」
ジェラルドが呆れてサンドイッチを差し出した。
「ほら、まずは食べろ。シェフ特製のカツサンドだ」
「いただきます。……ん! 美味しい! この豚肉、脂が甘いですね」
「だろう? 領内の牧場で育てた……」
「この豚、もっと高値で売れますよ。ブランド化しましょう。『アイゼンハルト・ロイヤルポーク』と名付けて、ロゴ入りで売り出せば……」
「……ロマンチックの欠片もないな」
ジェラルドはため息をつきつつも、私の口元についたパン屑を取ってくれた。
「だが、君が楽しそうで何よりだ」
「楽しいですよ。未利用地(デッドスペース)の活用法を考えるのは、パズルを解くようでワクワクします」
食事を終えると、私は少し周囲を散策することにした。
ジェラルドも「食後の運動だ」とついてくる。
丘の裏手には、小さな森が広がっていた。
そこで、私は奇妙な植物を見つけた。
「……あら?」
足元に、赤い実をつけた低木が群生している。
見た目は可愛らしいが、独特の酸っぱい匂いがする。
「ああ、それは『シビレ苺』だな」
ジェラルドが顔をしかめた。
「食べると舌が痺れるほど酸っぱいんだ。鳥も食べない雑草だよ。駆除しても駆除しても生えてくる厄介者だ」
「酸っぱい……?」
私は実を一つ摘み取り、匂いを嗅いだ。
(この香り……ただの酸味じゃない。柑橘系に近い、爽やかなアロマ……)
私は躊躇なく実を口に入れた。
「おい! やめろ、不味いぞ!」
ジェラルドが止めるのも聞かず、私は実を噛み潰した。
ジュワッ。
強烈な酸味が口いっぱいに広がる。
確かに、そのままでは酸っぱすぎて食べられない。舌がピリピリする。
だが。
「……これだわ」
私の目に、金色の光(¥マーク)が灯った。
「ジェラルド様! この実、この辺りにはどれくらい生えていますか!?」
「え? いや、北の森全体に生えているが……」
「宝の山です!!」
私はジェラルドの両肩を掴んで揺さぶった。
「これは『シトラスベリー』の一種です! 確かに生食には向きませんが、大量の砂糖と一緒に煮詰めれば、極上のコンフィチュール(ジャム)になります! しかも、この酸味に含まれるクエン酸は疲労回復に効果抜群! 美容健康食品として売り出せます!」
「は、はい? ジャム……?」
「それだけじゃありません! 皮から抽出できるオイルは、香水の原料になります! 捨てていた雑草が、化粧品と高級食材に化けるんです!」
私は興奮して、手帳に猛烈な勢いで書き込んだ。
『シビレ苺事業計画』
『1.村人を雇って実を回収(雑草駆除の手間賃として安く雇える)』
『2.領内の砂糖を使って加工(地産地消)』
『3.美容効果を謳って隣国の貴婦人に高値で販売』
「完璧です! 原価ほぼゼロの錬金術! ジェラルド様、すぐに人を手配してください!」
私が目を輝かせて訴えると、ジェラルドは呆然として私を見ていた。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「……君は、すごいな」
「はい? 利益率がですか?」
「いや、違う。……君のその、目だ」
ジェラルドは優しく微笑んだ。
「誰もが見捨てていた雑草に、価値を見出した。厄介者扱いされていたこの土地の恵みを、君は『宝』だと言ってくれた」
彼の瞳が、熱を帯びて揺れている。
「君はいつもそうだ。俺たちが『無駄だ』『ダメだ』と切り捨てていたものの中に、可能性を見つける。……まるで、領民たちの暮らしを、底から救い上げようとしている聖女のようだ」
「……せ、聖女?」
私は瞬きをした。
「いえ、ただの商売ですけど」
「謙遜するな。結果として、この実の加工工場ができれば、仕事のない村人たちに雇用が生まれる。貧しかった北の村が潤う」
ジェラルドは私の手を取り、その甲に口づけをした。
「君は、我が領地の救世主だ。……ありがとう、キャンディ」
「っ……!」
真剣な眼差しで見つめられ、私は言葉に詰まった。
違う。
私はただ、タダ同然の原料で大儲けしたいだけなのに。
「雇用とか、村の発展とか、それは副産物であって……」
「照れるな。君のそういう、悪ぶっているのに根が優しいところも、俺は好きだ」
「だーかーらー! 誤解ですってば!」
私が真っ赤になって否定すればするほど、ジェラルドの目には「照れ隠しをする愛しい女性」として映るらしい。
「よし、帰ったら早速プロジェクトチームを立ち上げよう。君の指揮で、この領地を豊かにしてくれ」
「……ううっ、やりますよ! やりますけど!」
結果として儲かるなら文句はない。
だが、この「善人認定」される居心地の悪さはなんだろう。
(悪役令嬢として名を馳せた私が、聖女扱いなんて……営業妨害だわ!)
帰り道。
バスケットいっぱいに「シビレ苺」を詰め込みながら、私は複雑な心境だった。
一方、ジェラルドは「彼女は本当に領民思いだ」と完全に勘違いして、幸せそうに微笑んでいる。
すれ違う二人の思惑。
しかし、その結果としてアイゼンハルト領に新たな名産品「恋のシビレジャム(仮称)」が爆誕し、記録的な売上を叩き出すことになるのは、まだ少し先の話である。
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