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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
5:雰囲気を壊す者
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しばらく二人で抱き合っていたけど、それを遠慮なく壊す人がいる。
「はいはいはーい。お邪魔しますよー!」
ロンだ。
「ローラン」
シュロムがロンの本名を咎めるように呼ぶ。
あの事件の際に、本来の正体を明かしたロン。それ以降、シュロムはロンを本名で呼ぶようになった。
元々仕事中はこっちで呼ぶことも多かったらしい。
まあ、ロンと言うのは、ローランでも、ローレンスでも愛称の一つだから親しい人の中だけではロンと呼ぶ事もあったから半々とは言っていたが。
ただ、ロンは、この離宮が完成した時に元の仕事……シュロムの護衛兼付き人に戻ったので、離宮付きから意識を変えさせる為にローラン呼びに戻したそうだ。
それでも、ロン自体は今まで通りだし、こうやって雰囲気壊していくんだけど。
というより、シュロム付きに変わっても、シュロムの帰ってくる場所はここだし、ロンも毎日のようにこの離宮に帰ってくるし、当然のごとく使用人部屋の一室を自室にしている。
そう、何も変わっていなかった。ロンはロンである。たぶん、僕もシュロムも勝てないままだと思う。
「えー、なんですか陛下。どうせ、ディロス様と夜のお茶会すると思って持ってきてあげたのに」
「……はぁ」
ロンの持ったトレイには確かにお茶が入っているであろうポットとカップがある。シュロムと一緒に帰ってきた時に玄関で別れて取りに行っていたのだろう。
それを見てシュロムはため息を吐いていた。……わかる。そうなるよね。
「もういい……ディロス、座って話そう」
「そうだね」
シュロムが疲れているように見えるけど、あれで執務中はしっかり働くから表でも裏でも大事な右腕だそうな。
まあ、それは前の離宮での働きを見れば明らかではあるよね。
ただ、その分私生活でからかわれてるの見るとちょっと大変そう。今では見慣れた光景だけど。
「そういえば……今日は、遅かったね」
「ああ……少しな」
シュロムと向かい合うようにテーブルを挟んで座る。
その間にもロンがお茶をカップに注いでいるから仕事に抜かりはない。
……なんで、常にこうしないのか。モリーにも影響が出てきてるのがちょっと困る。
ちらりと、入り口の壁に控えるモリーへと視線を向ければ、満面の笑みを返された。義理だというのに本当に似てきた親子だと思う。
二人とも仕事はちゃんとするんだよ。ちゃんとね。
お茶を入れ終わったロンがモリーの横に並んだのを見送ってシュロムに視線を戻す。
「シュロムのところでも何かあったの?」
「まあな……」
おそらくシュロムも話したい事があったのだろうとあたりを尋ねると、ため息を吐きながら頷く。
「イデアルの学友との交遊が再開しただろう」
「うん。今日も楽しかったみたいだよ」
「それは良かった。……それで、貴族達から交遊も再開したことだし、そろそろ婚約者も決める時期ではないかと言われたんだ」
あ、これはシュロムもシュロムで大変な問題を抱えてきてしまっていたようだった。
「はいはいはーい。お邪魔しますよー!」
ロンだ。
「ローラン」
シュロムがロンの本名を咎めるように呼ぶ。
あの事件の際に、本来の正体を明かしたロン。それ以降、シュロムはロンを本名で呼ぶようになった。
元々仕事中はこっちで呼ぶことも多かったらしい。
まあ、ロンと言うのは、ローランでも、ローレンスでも愛称の一つだから親しい人の中だけではロンと呼ぶ事もあったから半々とは言っていたが。
ただ、ロンは、この離宮が完成した時に元の仕事……シュロムの護衛兼付き人に戻ったので、離宮付きから意識を変えさせる為にローラン呼びに戻したそうだ。
それでも、ロン自体は今まで通りだし、こうやって雰囲気壊していくんだけど。
というより、シュロム付きに変わっても、シュロムの帰ってくる場所はここだし、ロンも毎日のようにこの離宮に帰ってくるし、当然のごとく使用人部屋の一室を自室にしている。
そう、何も変わっていなかった。ロンはロンである。たぶん、僕もシュロムも勝てないままだと思う。
「えー、なんですか陛下。どうせ、ディロス様と夜のお茶会すると思って持ってきてあげたのに」
「……はぁ」
ロンの持ったトレイには確かにお茶が入っているであろうポットとカップがある。シュロムと一緒に帰ってきた時に玄関で別れて取りに行っていたのだろう。
それを見てシュロムはため息を吐いていた。……わかる。そうなるよね。
「もういい……ディロス、座って話そう」
「そうだね」
シュロムが疲れているように見えるけど、あれで執務中はしっかり働くから表でも裏でも大事な右腕だそうな。
まあ、それは前の離宮での働きを見れば明らかではあるよね。
ただ、その分私生活でからかわれてるの見るとちょっと大変そう。今では見慣れた光景だけど。
「そういえば……今日は、遅かったね」
「ああ……少しな」
シュロムと向かい合うようにテーブルを挟んで座る。
その間にもロンがお茶をカップに注いでいるから仕事に抜かりはない。
……なんで、常にこうしないのか。モリーにも影響が出てきてるのがちょっと困る。
ちらりと、入り口の壁に控えるモリーへと視線を向ければ、満面の笑みを返された。義理だというのに本当に似てきた親子だと思う。
二人とも仕事はちゃんとするんだよ。ちゃんとね。
お茶を入れ終わったロンがモリーの横に並んだのを見送ってシュロムに視線を戻す。
「シュロムのところでも何かあったの?」
「まあな……」
おそらくシュロムも話したい事があったのだろうとあたりを尋ねると、ため息を吐きながら頷く。
「イデアルの学友との交遊が再開しただろう」
「うん。今日も楽しかったみたいだよ」
「それは良かった。……それで、貴族達から交遊も再開したことだし、そろそろ婚約者も決める時期ではないかと言われたんだ」
あ、これはシュロムもシュロムで大変な問題を抱えてきてしまっていたようだった。
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