助けてお狐様!~大学デビューと共に幽世の戸を越えました~

海野璃音

文字の大きさ
30 / 83
三章:寝不足

30:助けてくれる神様の名前 ★

しおりを挟む
 前立腺を押しつぶされた瞬間……渉の絶叫が辺りへと響く。

「っあああああ⁉」

 与えられたのは、渉にとって未知の快楽。それは渉の背筋を伝い、脳を焼けつくような快楽だった。

「やだ、いやっ!あぁあっ!あっ!あぁあああっ⁉」

 ぐにぐにと、押し潰すような指の動きに渉は悲鳴じみた嬌声を上げ、逃げようと身を捩る。だが、その抵抗も虚しく、雄芯からこぼれた白濁が渉の顔を汚すだけだった。

「あぁあっ、ああっ!いやぁあああっ!」

 望まぬ快楽が絶えず湧き上がり、受け入れがたいその快楽に渉は涙を流しながら拒絶する。しかし、体は余すことなく快楽を受け入れ、その頂へと押し上げていった。

「あぁあ……ぁ……」

 繰り返される容赦のない快楽に、子供のように泣きじゃくっていた渉だが、徐々にその顔から表情が抜け落ちていく。 

「ぁ……」

 壊れたおもちゃのように、ビクリ……ビクリ……と体を震わせるだけになった渉は、ぼんやりと虚空を見つめる。

 だが、やがて果てのない快楽を受け入れたかのような甘い嬌声が漏れ始めた。

「……あっ!ぁあっ!んぁあっ!」

 快楽に媚びた声が響き、渉の体がしなやかに踊る。

(なんで、なんでこんな事になってるんだっけ……)

 幸か不幸か。快楽に浸る自分の体と切り離された思考で渉は考える。

(えっと……寝不足で、原因が家だって……誰が?)

 まるで頭に靄《もや》がかかったように霞む思考。誰かと一緒にいたはずなのに思い出せない事に渉は首を傾げた。

 だが、その誰かの言葉を少しだけ思い出す事ができたおかげで、今の状況が理解できた。

 寝不足の原因だと思われる無数の手に嬲られる体。与えられる快楽。

「やぁっ!あっ!あああっ!」

 自分のものではないように思える体が、嬌声を上げる姿を他人事のように感じながら、渉は諦めたように笑う。

(ははっ……寝る度に、こうやって犯されてたなら、寝不足になるのもそりゃそうだ……)

 自嘲し、自分自身を軽蔑した時……。

「あっ、ああっ!ちくび、きもちいっ!」

 白い手が胸の二つの突起を嬲り、その快楽を喜ぶように渉の体が卑猥な言葉を発した。

(やめろ、そんなこと言うんじゃないっ!)

 諦めかけていた渉だったが、あまりの自分との剥離に苛立つように心の中で叫ぶ。

(諦めたら、だめだ……諦めたら……そう言ったのは、誰だっけ?)

 抵抗するように霞《かすみ》がかった記憶をが繰り寄せようと渉は思考を巡らせる。

(だれ?誰?)

 心の中で、最も信頼し、助けてくれて来た面影が浮かぶ。だが、その姿は思い出せれど、名前が出てこない。

(そうだ、いつも助けてくれた人がいた。助けを呼べと言ってくれた人がいた)

 助けを求めれば、応えてくれる。そんな確信があるのに、言葉が出ない。

(思い出せ、思い出せ、思い出せ……!)

 輝く金髪。赤い瞳。古めかしくも明るく落ち着いた声。そして、その頭についた狐耳を思わせる狐のような笑み……だけど、渉にとって安心できる笑み。

(っ!)

 そこで、渉の頭の中を覆っていた靄《もや》が晴れる。

「穂!助けてっ!」

 離れていた心と体が重なり、白い手の影響を酷く受けていた体の主導権を取り返した渉が穂の名を叫んだ。

「穂!穂!っ、うぐっ……!」

 名を呼べば応えてくれると核心を持って何度も呼び続けていた渉の抵抗を咎めるように白い手は、渉の口に指をねじ込む。

(穂、たすけて!)

 それでも、渉は諦めることなく穂を呼び続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(2024.10.21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき
BL
俺の部屋の天井から降って来た超絶美形の男。 そいつはいきなり俺の唇を奪った。 その男いわく俺は『運命の相手』なのだと。 いや、意味分からんわ!! どうやら異世界からやって来たイケメン。 元の世界に戻るには運命の相手と結ばれないといけないらしい。 そんなこと俺には関係ねー!!と、思っていたのに… 平凡サラリーマンだった俺の人生、異世界人への嫁入りに!? そんなことある!?俺は男ですが!? イケメンたちとのわちゃわちゃに巻き込まれ、愛やら嫉妬やら友情やら…平凡生活からの一転!? スパダリ超絶美形×平凡サラリーマンとの嫁入りラブコメ!! メインの二人以外に、 ・腹黒×俺様 ・ワンコ×ツンデレインテリ眼鏡 が登場予定。 ※R18シーンに印は入れていないのでお気をつけください。 ※前半は日本舞台、後半は異世界が舞台になります。 ※こちらの作品はムーンライトノベルズにも掲載中。 ※完結保証。 ※ムーンさん用に一話あたりの文字数が多いため分割して掲載。 初日のみ4話、毎日6話更新します。 本編56話×分割2話+おまけの1話、合計113話。

恋なし、風呂付き、2LDK

蒼衣梅
BL
星座占いワースト一位だった。 面接落ちたっぽい。 彼氏に二股をかけられてた。しかも相手は女。でき婚するんだって。 占い通りワーストワンな一日の終わり。 「恋人のフリをして欲しい」 と、イケメンに攫われた。痴話喧嘩の最中、トイレから颯爽と、さらわれた。 「女ったらしエリート男」と「フラれたばっかの捨てられネコ」が始める偽同棲生活のお話。

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

処理中です...