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第一部:番外編

ヘルト視点2:弟子、自覚、自己嫌悪

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 ほんの少し目に生気を戻したエルツを弟子にして、家の中説明したり、昼飯を屋台に買いに行って、昼飯くったりして、夕方になった。

 部屋で過ごさせていたエルツを先に風呂に入らせたのだが……。

「なっ、なんだその服!? 露出多くないか!?」

 エルツが来ていたのは胸元が大きく開いたシャツ。

 鞄に入っていた時は、畳まれて気づかなかったが、ヒラヒラしている作りといい……明らかに愛玩用の性奴隷に着せるような服だった。

 そして、問題はここからだ。

 シャツの合間から覗いたエルツの胸元。

 鍛えられていない薄い男の胸板ではあったが、目が惹き付けられた。

 元々エルツは綺麗な顔をしている。黒髪だから絶世の美人って訳じゃないが中性的で都会であれば、男女ともに人気のある顔だろう。

 風呂上がりで妙な艶っぽさとその服の露出の多さで、子供子供と思っていたエルツが成人している事、性奴隷としての教育を受けていたということを意識してしまったのだ。

 おかげで、年甲斐もなく思春期の童貞みたいな反応をしてしまったのは消してしまいたい記憶だ。

 それなりに経験値はあるし、男女ともにモテた自覚もある。

 それなのにそんな態度を取ってしまった。

 正直、認識してしまえばタイプだったのだ。

 繊細でありながらも黒髪特有の妖艶な雰囲気とエルツ自身のどこか幼げな雰囲気。

 相反しながらも両立するその魅力的な姿。

 劣情を覚えると同時に、自分自身を軽蔑した。

 そんな目的で買った訳じゃない。と。

 態度をなんとかごまかして、自分の服をエルツに与える。

 そして、逃げるように自分も風呂へと入った。

 そこからは自己嫌悪と自問自答の繰り返しだ。

 なんで気づいちまったのか、なんで気づかないままでいなかったのか。そんな思いばかりが駆け巡る。

「どんな顔で顔合わせたらいいんだ……」

 弟子だって言った口で、タイプだって言えるわけもねぇ。

 それに、あいつは奴隷だ。俺から求められたら拒否権はねぇ。

 隷属魔法の契約は、俺のモノであるというだけにしてあるから、俺からの要求を拒む事だってできる。

 できるが、奴隷として教育されたエルツどんなことだって受け入れるだろう。

 俺からはなにもできねぇ。しちゃいけねぇ。

 俺は、あいつの主人で師匠なんだから。

 エルツをできるだけ早く一人前にして、できるだけ早く解放してやらないと……と、決意した。
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