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一章
真っ赤な太陽、真っ赤な視界
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じめったい梅雨も明け、じりじりと暑い夏が顔を出してきた。一歩外に出れば灼熱の日差しが身体に突き刺さる。歩いているだけで汗をかき、エアコンの効いた部屋に入ると天国に来たんじゃないかと感じるくらいに暑いこの季節。
僕は夏が嫌いだ。普段から視界が赤く何もかもが熱を持っているように感じる僕は夏になるとさらに暑さを増す。気付いた時からそうだったので普通の人より暑いかどうかはともかくとして、僕は、夏が嫌いだ。
午前10時30分。僕はまだ重いまぶたを寝たいという欲望に反してこじ開ける。いつもなら遅刻であるこの時間。だけど今日からはそんなことは気にせずに寝ていられる。何せ今日から夏休みなのだ。
「眠い」
カーテンが開いてなくても明るい部屋。もう朝だと主張してくる柔らかな朝陽を浴びながら少しずつ意識が覚醒していく。
ようやく意識がはっきりしてきた。そろそろリビングにでも行こうか、そう思って立ち上がろうとした時だった。
真横においていた携帯がまだ残っていた眠気を吹き飛ばす大きな電話音がなった。
「うるさ」
画面には小香花の文字。こんな朝早くから何の用だろうか。
「もしもし?」
「起きてるか~日南汰~」
「寝てたら電話でないよ」
「それはそうだ」
なんとも騒がしい声。毎朝こんなにハイテンションなのだろうか。だとしたら1日よく疲れを見せないもんだ。
「さあ~偉大なる夏休みのはじまりだよっ。まずはラジオ体操~~」
「やらんわ」
「続いて~~朝ごはんをしっかり食べましょう~~」
「まだ出来とらんわ」
「最後に~私と遊びましょう」
「出来へんわ・・・ってそれで電話したの?」
「モーニングコールって奴だよ?」
「さいですか」
「うんうん」
「まあ1時に日南汰の家の前に行くからそれまでに準備してね」
「随分余裕あるね」
「んじゃよろしく~~」
プツ。
有無を言わせず切れてしまった。
なんて自分勝手なんだ。いつも通りだけど。
「とりあえず、起きますか」
すっかり目を覚ました体を起こしリビングへと向かった。
時間の流れとは早いもので気付けば1時になろうとしていた。朝食兼昼食だったご飯を食べ終えソファで軽く横になっていた僕は時間を見て急いで服を着替えた。
「日南汰~~行くよ~~」
外から聞こえる大きな声。誤解のないようにいっておくけど僕の家にはちゃんとインターホンがある。
「近所迷惑だろ」
このままにしておくとお隣さんに悪いと感じ、小香花が騒ぎ出す前に家を出た。
「よ~し、じゃあ出発だ」
「どこ行くの?」
「それは着いてからのお楽しみ」
「大丈夫だよね?」
「へーきへーき」
心配している僕をよそに完全に浮かれている小香花の姿がこれからの出来事が平気ではないことを予感しているようだった。
僕は夏が嫌いだ。普段から視界が赤く何もかもが熱を持っているように感じる僕は夏になるとさらに暑さを増す。気付いた時からそうだったので普通の人より暑いかどうかはともかくとして、僕は、夏が嫌いだ。
午前10時30分。僕はまだ重いまぶたを寝たいという欲望に反してこじ開ける。いつもなら遅刻であるこの時間。だけど今日からはそんなことは気にせずに寝ていられる。何せ今日から夏休みなのだ。
「眠い」
カーテンが開いてなくても明るい部屋。もう朝だと主張してくる柔らかな朝陽を浴びながら少しずつ意識が覚醒していく。
ようやく意識がはっきりしてきた。そろそろリビングにでも行こうか、そう思って立ち上がろうとした時だった。
真横においていた携帯がまだ残っていた眠気を吹き飛ばす大きな電話音がなった。
「うるさ」
画面には小香花の文字。こんな朝早くから何の用だろうか。
「もしもし?」
「起きてるか~日南汰~」
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なんとも騒がしい声。毎朝こんなにハイテンションなのだろうか。だとしたら1日よく疲れを見せないもんだ。
「さあ~偉大なる夏休みのはじまりだよっ。まずはラジオ体操~~」
「やらんわ」
「続いて~~朝ごはんをしっかり食べましょう~~」
「まだ出来とらんわ」
「最後に~私と遊びましょう」
「出来へんわ・・・ってそれで電話したの?」
「モーニングコールって奴だよ?」
「さいですか」
「うんうん」
「まあ1時に日南汰の家の前に行くからそれまでに準備してね」
「随分余裕あるね」
「んじゃよろしく~~」
プツ。
有無を言わせず切れてしまった。
なんて自分勝手なんだ。いつも通りだけど。
「とりあえず、起きますか」
すっかり目を覚ました体を起こしリビングへと向かった。
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