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一章
終わりで始まり
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夏休みが終わった。そして学校が始まった。
「日南汰~会いたかったよ~~」
朝一番に話しかけてきたのは言わずもがな小香花。こっちに駆け寄ってきてギュッと抱きしめられた。ものすごい強さで。
「痛い痛い痛い痛い」
「え~~なんで~~」
「しかも恥ずかしいから本当に。やめて」
「つれないな~~」
肩から腰にかけてをしっかりとホールドしていた小香花の体が解かれる。僕の胸の少し下あたりにあたっていたむっちりとした感覚が僕の頬を染めた。
「イチャつくなよ~~」
「見せつけかこのヤロー」
「俺と変われ石波~」
夏休みが終わって早々の学校。僕のクラスはなぜか冴えない僕を中心として盛り上がりを見せていた。
「だいたいさ夏休みも遊んだよね」
このつぶやきはみんなの罵声やらなんやらで聞こえることはなかった。
放課後。
「師匠~これからどっか行きましょうよ~~」
授業が終わり小香花のもとに駆け寄る朱華莉。夏休み以来あっていないけど、小香花となにかあったのだろうか。
「なんだ、私の愛弟子か。いいだろう。ではファミレスかな。ということで、日南汰も行こ~~」
こっそり帰ろうとしていた僕に牽制の一撃。やはりただでは帰らせてくれないみたいだ。
「じゃあ、照亜紀もだね」
逃げられるわけがないと判断した僕は照亜紀を道連れに小香花の供物となる。
「いや、僕は遠慮しておくよ。今度また誘って・・・」
「まあ、いいじゃん。一緒に行こうよ」
ここで逃げられるわけにはいかない。強引に理屈(駄々)をこねて無理矢理にこさせることにした。
「師匠~夏休みの課題がまだ終わらないのです」
学校が始まったというのに、まだ夏休みに取り残されている朱華莉。
「大丈夫だよ。私もまだ終わってないから」
此の期に及んで落とされた2つ目の爆弾。まだ夏休みは終わってないと思っているのか、それとも馬鹿なのか。
「師匠に手伝ったもらおうと思ったのに終わってないのですか師匠?」
「課題を課すなんて愚の骨頂。もうやってられるか~~」
周りの目なんて一切気にせず大声を張り上げる。一瞬凍りついた室内は何事もなかったように平静を取り戻した。
「いや、普通に先生に呼び出されると思うけど」
「助けて日南汰~~」
「お願いです師匠の師匠~~」
「・・・はぁ」
頑張って終わられせた人が結局は損する仕組みになっているのはなぜだろうか。
結局は僕は照亜紀にも手伝ってもらい女子2人の夏休みの課題を取り組んでいた。といっても解き方を教えたりするくらいで直接的なことは何もやってない。
刻々と時間は過ぎ去っていった。気づけば7時になっていた。店員の人のこっちを見る目もそろそろ怖くなり始めたので帰ることにした。
「じゃあ明日」
「またね~~」
「また明日」
各々が家路につき三々五々に散っていく中、朱華莉だけが足を止めたまま僕の方を見つめていた。
「帰らないの?」
「話がある」
「あぁ、うん」
「着いてきて」
返事を待たずしてすぐに歩き始める。僕は後ろからそれに着いていく。彼女は僕が着いてきてるか振り向いたりして確認せず黙々と目的地まで歩いた。
たどり着いたのは公園。ベンチと砂場しかない質素とも言えないほど何もない公園だ。
一直線でベンチまで行くと前にいた朱華莉がさきにそこに腰かけた。僕もそれに習うようにして隣に座る。
「話ってのは?」
「小香花のこと」
簡潔であり、それゆえ長くなってしまう話が朱華莉の言葉をきっかけに始まる。
「日南汰~会いたかったよ~~」
朝一番に話しかけてきたのは言わずもがな小香花。こっちに駆け寄ってきてギュッと抱きしめられた。ものすごい強さで。
「痛い痛い痛い痛い」
「え~~なんで~~」
「しかも恥ずかしいから本当に。やめて」
「つれないな~~」
肩から腰にかけてをしっかりとホールドしていた小香花の体が解かれる。僕の胸の少し下あたりにあたっていたむっちりとした感覚が僕の頬を染めた。
「イチャつくなよ~~」
「見せつけかこのヤロー」
「俺と変われ石波~」
夏休みが終わって早々の学校。僕のクラスはなぜか冴えない僕を中心として盛り上がりを見せていた。
「だいたいさ夏休みも遊んだよね」
このつぶやきはみんなの罵声やらなんやらで聞こえることはなかった。
放課後。
「師匠~これからどっか行きましょうよ~~」
授業が終わり小香花のもとに駆け寄る朱華莉。夏休み以来あっていないけど、小香花となにかあったのだろうか。
「なんだ、私の愛弟子か。いいだろう。ではファミレスかな。ということで、日南汰も行こ~~」
こっそり帰ろうとしていた僕に牽制の一撃。やはりただでは帰らせてくれないみたいだ。
「じゃあ、照亜紀もだね」
逃げられるわけがないと判断した僕は照亜紀を道連れに小香花の供物となる。
「いや、僕は遠慮しておくよ。今度また誘って・・・」
「まあ、いいじゃん。一緒に行こうよ」
ここで逃げられるわけにはいかない。強引に理屈(駄々)をこねて無理矢理にこさせることにした。
「師匠~夏休みの課題がまだ終わらないのです」
学校が始まったというのに、まだ夏休みに取り残されている朱華莉。
「大丈夫だよ。私もまだ終わってないから」
此の期に及んで落とされた2つ目の爆弾。まだ夏休みは終わってないと思っているのか、それとも馬鹿なのか。
「師匠に手伝ったもらおうと思ったのに終わってないのですか師匠?」
「課題を課すなんて愚の骨頂。もうやってられるか~~」
周りの目なんて一切気にせず大声を張り上げる。一瞬凍りついた室内は何事もなかったように平静を取り戻した。
「いや、普通に先生に呼び出されると思うけど」
「助けて日南汰~~」
「お願いです師匠の師匠~~」
「・・・はぁ」
頑張って終わられせた人が結局は損する仕組みになっているのはなぜだろうか。
結局は僕は照亜紀にも手伝ってもらい女子2人の夏休みの課題を取り組んでいた。といっても解き方を教えたりするくらいで直接的なことは何もやってない。
刻々と時間は過ぎ去っていった。気づけば7時になっていた。店員の人のこっちを見る目もそろそろ怖くなり始めたので帰ることにした。
「じゃあ明日」
「またね~~」
「また明日」
各々が家路につき三々五々に散っていく中、朱華莉だけが足を止めたまま僕の方を見つめていた。
「帰らないの?」
「話がある」
「あぁ、うん」
「着いてきて」
返事を待たずしてすぐに歩き始める。僕は後ろからそれに着いていく。彼女は僕が着いてきてるか振り向いたりして確認せず黙々と目的地まで歩いた。
たどり着いたのは公園。ベンチと砂場しかない質素とも言えないほど何もない公園だ。
一直線でベンチまで行くと前にいた朱華莉がさきにそこに腰かけた。僕もそれに習うようにして隣に座る。
「話ってのは?」
「小香花のこと」
簡潔であり、それゆえ長くなってしまう話が朱華莉の言葉をきっかけに始まる。
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