暑い景色と冷たい温もり

撫でたココ

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間章

朱華莉と小香花

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 時は夏休みまで遡る。

 日南汰と照亜紀が2人で課題を取り組んでいたと同様に、小香花のところにも朱華莉から連絡が来ていた。

件名 無題

本文 暇だから小香花の家に行きたいんだけど、いい?
   課題をやるという名目でどうだろうか、、、

 久しぶりの女友だちとの約束。もともと友だちが多くない小香花にとってとても嬉しい誘いだった。

件名 無題

本文 いいよ。じゃあ、今から学校集合で

 こうして、2人で遊び、もとい課題をすることになった。


「小香花ってさ結局、日南汰とはどういう関係なの?まだ出会った頃と進展はないの?」

 やらない課題を広げ、お菓子パーティーとなっている机の惨状には目をつむり、女子トークを始める。

「実はね~~~~~~~付き合ってるんだっ!」

「師匠~~~~~~~~~~~~」

 女子トークにはあるはずのない大声量で叫ばれた師匠という言葉。どこがで聞いたことのあるトーンで呼ばれたそれが今後にまで至る。

「師匠っ、師匠~~」

「師匠ってなんだよ、師匠って」

「いやこれはもう師匠と呼ぶしかないです。呼ばせてください」

「困ったな~~師匠か~~弟子ができちゃうか~~でも悪くないっ」

「師匠~~」

「そこまで言われると照れるな~~」

 クシャッと顔を縮め笑った顔からは自然と涙が溢れて来ていた。一筋の涙。投げたボールが自然の摂理でただ落ちることのように違和感なく流れる。

「師匠どうしたんです?」

「えっ、あっ、なんでだろ、おかしいな」

 バカを言い合える友だちが出来た。なにか、しでかしても笑って慰めてくれるような友だちが出来た。何より、安心して隣に居られる友だちが出来た。

 そのことが、みんなにとっては普通であるそのことが純粋に嬉しかった。

「師匠、何かあるなら弟子が話を聞くです」

「ううん、なんでもない。ただ、嬉しくて」

 言葉とは反対に止まらない涙。一筋の涙は筋が繋がり線になりボロボロと雫を落とす。溢れ出る涙は大きな過去の出来事を象徴しているみたいだった。

「師匠話聞きます。聞かせてください」

 止まらない涙を落ち着かせて、打ち明けることに決めた。

「私ね少し人より変わってることがあって、それが突きつけられるのが嫌であんまり人と話さなかった。ある日ね女子の何人かがこっちに来て、それで、、、」

 1人でいる私をはみ出しものだって笑ったんだ。

 最後まで口には出来ず紡いだ言葉は途切れてしまう。まだ弱い自分がいて、まだ踏み出せない心がある。

「わかったよ。それで十分。」

「今の師匠にはこんなにいい弟子がいるんだから問題なしだね」

「うん、、、うん、ありがと」

 こんな友だちが周りにいてくれてよかった。

 そう思う小香花の顔は泣きながらもとても嬉しそうだった。
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