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一章
話ってのは
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「話ってのは?」
「小香花のこと」
蒸し暑い中に吹く心地よい風の中、空に浮かぶ月を眺めながら僕たちは話した。
「小香花がどうかした?」
「小香花には人に言えない秘密がある」
いつもは見ない深妙な面持ちに自然と身体が畏る。
「それを知ってるの?」
「ううん、知らない」
「じゃあ何を話そうとしてるの?」
「小香花を助けてあげてほしい。どうやらその役目は私ではダメみたい。他の誰でもない日南汰なら出来るんじゃないかなと思ってる。」
「いきなりどうした?」
「小香花がいつも強がりな小香花が泣いたんだよ。友だちが出来るっていう何気ない瞬間に。その時の姿は忘れられない。悲しそうで、嬉しそうだった。本当に友だちが出来たことで救われたんだと思う。それでも過去の出来事は消えない。私には話してくれなかったことを日南汰は知って受け入れなきゃいけない。」
「うん」
「小香花はきっとそれを望んでる」
「・・・」
「伝えたかったことはそれだけ」
言葉の末尾を発するのと同時に軽やかに立ち上がると僕の方に向き直って
「じゃあ」
そう一言告げると返事も待たずに歩いて行った。
見上げた空は日が落ちかけていて、下から覗き出る溢れ出したような光の筋が無数にのび、暗い暮れの空を静かに照らしていた。
「小香花のこと」
蒸し暑い中に吹く心地よい風の中、空に浮かぶ月を眺めながら僕たちは話した。
「小香花がどうかした?」
「小香花には人に言えない秘密がある」
いつもは見ない深妙な面持ちに自然と身体が畏る。
「それを知ってるの?」
「ううん、知らない」
「じゃあ何を話そうとしてるの?」
「小香花を助けてあげてほしい。どうやらその役目は私ではダメみたい。他の誰でもない日南汰なら出来るんじゃないかなと思ってる。」
「いきなりどうした?」
「小香花がいつも強がりな小香花が泣いたんだよ。友だちが出来るっていう何気ない瞬間に。その時の姿は忘れられない。悲しそうで、嬉しそうだった。本当に友だちが出来たことで救われたんだと思う。それでも過去の出来事は消えない。私には話してくれなかったことを日南汰は知って受け入れなきゃいけない。」
「うん」
「小香花はきっとそれを望んでる」
「・・・」
「伝えたかったことはそれだけ」
言葉の末尾を発するのと同時に軽やかに立ち上がると僕の方に向き直って
「じゃあ」
そう一言告げると返事も待たずに歩いて行った。
見上げた空は日が落ちかけていて、下から覗き出る溢れ出したような光の筋が無数にのび、暗い暮れの空を静かに照らしていた。
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