君の瞳に映るのは希望か絶望か

撫でたココ

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新たな朝

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「んっ」

 目の前にあるのは、というか、口元にはパンがくわえられている。

 僕は一人椅子に座り、朝食をとっていた。 

 何がどうなったんだ。一瞬だけ自分が何なのかわからなくなった。しかし、

「また、助けてね。」

 ついさっきの記憶を思い出した。そして、何が起こっているのか、わからないということを再確認した。

「ここはどこ?」

 とは言ってみたものの、間違えなく自分の家である。食卓には目玉焼きとベーコンにトースト。白い平皿に目玉焼きとベーコンが。トーストはいつも木皿に乗せている。箸も見覚えがある。

 やっぱり自分の家で間違えないだろう。

「なんで、、、」

 口元から離して手に持っていたパンを木皿に一度戻す。

 そして、僕はさっきまでのことを思い起こした。

「なんで、ここに?」

 まるで意味がわからなかった。救急車で運ばれて、必死に治療にしてもらって、でも、病院まで間に合わなくて。彼女は死んだ。

 足の震えが止まらない。体に刻まれたあの瞬間の恐怖は本物だ。

 僕は恐れを抱きながら、机の上のリモコンに手を伸ばし、テレビをつけた。適当にニュースの報道をしているチャンネルをつけて、その日のトピックスを見る。いくつもある話題を一通りめ目で流し見たが、そこに昨日の事故はなかった。

 それよりも、僕を引き付けたのは、9月2日だという事実だった。

 夏休み明けの初日である9月1日、この日に僕は死んだはずの彼女に再開した。そこで驚きのあまり平静を失ってしまいカフェに行くことで彼女と授業をサボることになった。そのカフェで次の日である9月2日の日に買い物に行くと約束をした。9月2日。この日にまた彼女はなくなったはずだった。

 そして今、僕はその日の朝に戻ってきている。

「まさか、、、」

 そして、このような出来事は以前にもあった。日にちがずれていた感覚を覚えている。1度めの絶望を味わったあの時。もしかしたら、いや、きっと、あの時も今と同じようなことがおこっていたのかもしれない。

「そんなわけ、、、ないだろ。」

 あるはずがない。人が時間を遡るなんて。でも、だとしたらこの状況に説明がつかない。全てが僕の妄想の中なのか。それはそれで、ひどい出来事だ。でも、あの恐怖は、絶望は本物だ。

「学校に、学校に行けば、わかることだ。」

 全ての判断はそれからでも遅くはない。

 僕は、さっきつけたばかりのテレビを消し、残った朝ごはんにラップをかけて、急いで大学に行く準備をした。
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