(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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一人だけ?の、特別面接 1

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「星野さん、歓迎会の料理はどうだったかね?」

 大森拓実と名乗った研究員に歩きながら問われたとき、美月の頭の中には素晴らしかった料理、特にスイーツが過ぎる。
 束の間、心はあのパラダイスタイムへと戻り、美月は目を輝かせながら答えた。

「美味しかった――!すごく美味しかったです」

 美月の心からと分かる賛辞に、大森はそうだろう、そうだろうと満足そうに頷いた。

「それで、君はどうして呼び出しに応じなかったんだい?」

 銀縁眼鏡の向こうから美月の挙動を一つも見逃すまい、と光る鋭い眼差しで大森に見据えられ、美月はうっと答えに詰まった。

 なに?先生達だけでなく学園関係者の方々まで、この話は広がっているの?
 ……でも、自分でも訳の分からなかったあの時の事は話せないし、仮に話したとしても言い訳めいていて信じてもらえないかもしれない。
 どうしよう――――?

 狼狽えた美月は、つい、前の話題を繰り返した。

「あの、その、……お料理が美味しくて、すっごく美味しくて――」

 美月のその言葉を聞いた途端、大森の緊迫した雰囲気は微塵もなくなる。
 そして、美月の言葉を大森が引き継いだ。

「つい、呼び出しの時間を忘れてしまった――と?そうか、そうだったか~」

 満面の笑みで、うんうん、そうなってもおかしくは無いほどの出来栄えだった、と繰り返し呟く大森はひどく嬉しそうで、他の反論を持たない美月は敢えてその言葉を訂正しなかった。

 やがて、階段の上に着き、美月を待っていたらしい女性がこちらへ来るのを大森は手で制した。

「ああ君、私が星野さんを面接室へと連れて行くよ」
「め、面接室ですか?」

 美月が不安で上ずった声を出すと、大森は大丈夫、形だけだから、とからからと笑う。
 すっかり明るく、陽気にさえなった大森に、美月は自分の不安の素を問いかけた。

「あの、その……呼び出しに応じなかった場合、入学取り消し扱いになったりすることもあるんでしょうか?」
「まさか!そんなこと、あるわけない!だって君、明日からのテストに参加する気はあるだろう?」

 力強い大森の言葉に、美月はふっと身体の力が抜けた。

「そうなんですか?!良かった~!」

 飛び上がらんばかりに喜ぶ美月を見て、大森もにっこりと笑う。
 いつの間にか、二人は見事な龍の像が飾られている廊下まで来ていた。
 大森は龍の像の前で足を止め、その先にある重厚な扉を指し示した。

「あそこが君の面接室だよ。理事長が君を待っている筈だ」
「理事長?!何でですか?!」

 うまい具合に力の抜けていた美月の身体が、緊張でまたがちがちに固まる。

「……ああ、学園の教師達は皆明日の準備で忙しくしているからね。手の空く人がそれくらいだったんじゃないかな?」

 そんなわけないのに、大森は答えをはぐらかし、はっはっと声を上げて笑う。

「今の君のままで、大丈夫。健闘を祈る」

 最後の理事長発言ですっかり青ざめた美月は、それでも大森に連れて来てもらった礼を言い、深くお辞儀をしてから、ぎこちなく重厚な扉目指して真っすぐに進んで行った。

 その様子をホクホクしながら大森が見守っているとも知らずに――――

「入学取り消しになんて、するわけないだろう?折角の成功例を逃すか!――――それにしても、彼女、脇目もふらず、真っすぐ進んで行くな~よし!ありゃ全く視えてない!よ~しよし!」

 後ろでガッツポーズを決める大森の眼には、龍の像から扉まで両脇にずらりと並ぶ異形の姿がはっきりと映っていた――――




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