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一人だけ?の、特別面接 2
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美月は重厚な扉の前で足を止めた。
そして、深呼吸をして心を落ち着かせてから、控えめに扉を叩く。
「どうぞ。入ってください」
中からはすぐに応えがあり、低く落ち着いた声が入室を促した。
「失礼します」
美月は扉を開けた――室内は、美しい年代物の細工であふれた、貴賓室のような部屋だった。
細工の素晴らしさに美月の心は一瞬浮き立つも、窓側に腰かけた四十代半ばほどの貫禄のある男性を見るや否やすぐに現実を思い出す。
彼は対面式の机の向こうで書類をめくっていたが、美月が入室した途端、すっとこちらに注視した。
「私はこの学園の理事を務めている緑雨だ。……君は?」
「わたしは!……星野美月です。アナウンスを聞いて、ここに来ました」
見るからに緊張でがちがちになった美月の対応に、緑雨は内心おやおや、と可哀想に思う。
まるで怯えて震えている子兎のようだな。
あまり苛めたくはないものだが、……仕方がない。これも仕事だ。
内に秘めた感情は欠片も顕さず、表上の厳しい表情を保ったまま、緑雨は淡々となおも問う。
「星野さん、君は何故ここに呼ばれたか、分かっているかね?」
その口調に一瞬美月は怯んだが、勢いよく頭を下げる。
「すみません!新入生対象の呼び出しに応じなかったからですよね?!以後絶対に気をつけます!本当にすみませんでした!」
一息に一生懸命言い募る美月の姿を見て、緑雨の雰囲気は少し和らぐ。
ふむ。教育者たるもの、心底悔いてなされた謝罪を受けたら、その件はもうそこで終わりにすべきだな。
……最も狙いはそもそも呼び出しに応じない人物のあぶり出しと実験を兼ねていたのだから、元々彼女には落ち度はない。
胸に広がる罪悪感は少しも見せずに、緑雨は重々しく頷いた。
「良い心掛けだ。ならば、その件はこれで終わりにしよう」
「あ、ありがとうございます!」
思いがけずあっさりと許されたことにほっと息を吐いた美月に、だが、と緑雨は続ける。
「参考までに何故そのような事態になったのか、教えてくれるかね?決してこの件はもう蒸し返したりもしない。謝罪は受け取ったのだから、怒りもしない。どうかありのままの真実を話して欲しい」
真摯に語りかける緑雨の口調と強い眼差しに圧倒され、美月は狼狽え口ごもった。
脳裏によぎるのは、つい先程大森と交わした似たような会話――果たして、美月はそのままあの時の会話を繰り返す。
「あの、その、……歓迎会に出されていたお料理やスイーツが素晴らしくて。夢中になっていて、気付けば帰りの時間になっていたのです」
うん、嘘は一つも言ってない、と美月は内心で呟き、緑雨の瞳を真摯に見つめ返した。
「……ふむ。そうか。そうだったのか。まあそれ程までに夢中になってもらえたならば、準備した甲斐があった。よし、分かった。では、次に明日のテストの説明に移ろう。一応、確認なのだが、星野さんはテストを受ける意思はあるのかね?」
「もちろんです!」
「そうか、ならば、こちらへ来給え」
美月は緑雨理事長の座っている前の机へと歩み寄った。
そして、深呼吸をして心を落ち着かせてから、控えめに扉を叩く。
「どうぞ。入ってください」
中からはすぐに応えがあり、低く落ち着いた声が入室を促した。
「失礼します」
美月は扉を開けた――室内は、美しい年代物の細工であふれた、貴賓室のような部屋だった。
細工の素晴らしさに美月の心は一瞬浮き立つも、窓側に腰かけた四十代半ばほどの貫禄のある男性を見るや否やすぐに現実を思い出す。
彼は対面式の机の向こうで書類をめくっていたが、美月が入室した途端、すっとこちらに注視した。
「私はこの学園の理事を務めている緑雨だ。……君は?」
「わたしは!……星野美月です。アナウンスを聞いて、ここに来ました」
見るからに緊張でがちがちになった美月の対応に、緑雨は内心おやおや、と可哀想に思う。
まるで怯えて震えている子兎のようだな。
あまり苛めたくはないものだが、……仕方がない。これも仕事だ。
内に秘めた感情は欠片も顕さず、表上の厳しい表情を保ったまま、緑雨は淡々となおも問う。
「星野さん、君は何故ここに呼ばれたか、分かっているかね?」
その口調に一瞬美月は怯んだが、勢いよく頭を下げる。
「すみません!新入生対象の呼び出しに応じなかったからですよね?!以後絶対に気をつけます!本当にすみませんでした!」
一息に一生懸命言い募る美月の姿を見て、緑雨の雰囲気は少し和らぐ。
ふむ。教育者たるもの、心底悔いてなされた謝罪を受けたら、その件はもうそこで終わりにすべきだな。
……最も狙いはそもそも呼び出しに応じない人物のあぶり出しと実験を兼ねていたのだから、元々彼女には落ち度はない。
胸に広がる罪悪感は少しも見せずに、緑雨は重々しく頷いた。
「良い心掛けだ。ならば、その件はこれで終わりにしよう」
「あ、ありがとうございます!」
思いがけずあっさりと許されたことにほっと息を吐いた美月に、だが、と緑雨は続ける。
「参考までに何故そのような事態になったのか、教えてくれるかね?決してこの件はもう蒸し返したりもしない。謝罪は受け取ったのだから、怒りもしない。どうかありのままの真実を話して欲しい」
真摯に語りかける緑雨の口調と強い眼差しに圧倒され、美月は狼狽え口ごもった。
脳裏によぎるのは、つい先程大森と交わした似たような会話――果たして、美月はそのままあの時の会話を繰り返す。
「あの、その、……歓迎会に出されていたお料理やスイーツが素晴らしくて。夢中になっていて、気付けば帰りの時間になっていたのです」
うん、嘘は一つも言ってない、と美月は内心で呟き、緑雨の瞳を真摯に見つめ返した。
「……ふむ。そうか。そうだったのか。まあそれ程までに夢中になってもらえたならば、準備した甲斐があった。よし、分かった。では、次に明日のテストの説明に移ろう。一応、確認なのだが、星野さんはテストを受ける意思はあるのかね?」
「もちろんです!」
「そうか、ならば、こちらへ来給え」
美月は緑雨理事長の座っている前の机へと歩み寄った。
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